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こんにちは。家電ジャーナルの鈴木です。
毎日使う冷蔵庫から突然、腐ったような不快な匂いが漂ってきたら、本当に食欲がなくなってしまいますよね。実は、僕が働く家電量販店の店頭でも「冷蔵庫の臭いが取れないから買い替えたい」というご相談は非常に多いんです。
多くの方が、原因が特定できないまま消臭剤を置くだけで済ませてしまっていますが、それだけでは根本的な解決にはなりません。野菜室の奥で溶けた野菜や、チルド室にこぼれた魚の汁、あるいは見えない場所にあるドレンホースの汚れなど、悪臭の発生源は多岐にわたります。
中には焦げ臭い匂いのように、故障や発火の前兆であるケースも潜んでいるため注意が必要です。
今回は、家電製品エンジニアとしての視点から、重曹やクエン酸、アルコール、漂白剤といった身近なアイテムを使って、あらゆる悪臭を元から断つ方法を徹底的に解説します。構造上の死角となりやすい場所の掃除方法も紹介しますので、ぜひ試してみてください。
この記事に書いてあること
- 酸性・アルカリ性の汚れを見極めた正しい洗剤の使い分け
- ドレンホースや蒸発皿など見えない場所の掃除テクニック
- 魚の生臭さや焦げ臭い匂いへの特化した対処法
- 悪臭を再発させないための予防と収納のコツ
冷蔵庫の腐った匂いを消す基本掃除と原因の分類

「とりあえず洗剤で拭けばいい」と思っていませんか?実は、冷蔵庫の悪臭除去において最も重要なのは、汚れの性質に合わせた「中和」という化学的なアプローチです。
ここでは、エンジニアとしての知識をベースに、効率的に匂いを消すための科学的な掃除手順を解説します。
悪臭の原因は食材の腐敗と菌の増殖
冷蔵庫を開けた瞬間に顔をしかめるような悪臭。この正体は、単一の物質ではなく、様々な要因が絡み合った「複合臭」であることがほとんどです。僕たちエンジニアが冷蔵庫の冷却構造を学ぶ際、まず徹底的に叩き込まれるのが「低温=無菌ではない」という事実です。
冷蔵庫内は通常2℃〜5℃に保たれていますが、この温度帯でも活動できる「低温細菌(サイクロフィル)」や「カビ(真菌)」にとっては、むしろ競合する他の菌がいないパラダイスになり得るのです。
悪臭の発生プロセスは、大きく分けて以下の2つのルートを辿ります。
1. 化学的な腐敗ガスの発生
食材そのものが酵素分解や酸化によって劣化し、揮発性のガスを放出します。
例えば、野菜が溶けた時に出る酸っぱい臭い(低級脂肪酸)や、肉のアミノ酸が分解されて発生するアンモニア臭などがこれに当たります。これらはガスなので、冷蔵庫内の冷気循環に乗って隅々まで拡散し、壁面のプラスチックに吸着されます。
2. 微生物によるバイオフィルム形成
庫内の湿気や結露水、こぼれたドリップ(肉汁)を栄養源として、シュードモナス属などの細菌が増殖します。これらは自分たちを守るためにヌルヌルとした粘液(バイオフィルム)を作り出し、そこから独特の腐敗臭やカビ臭(メチルイソボルネオールなど)を放ちます。このバイオフィルムは水拭き程度では除去しきれず、すぐに菌が再繁殖する原因となります。
さらに厄介なのが、冷蔵庫の内壁に使われているABS樹脂やポリプロピレンといった素材の特性です。これらは微細な多孔質構造(目に見えない小さな穴が無数にある状態)をしており、臭いの分子を吸着しやすい性質を持っています。
長期間放置された悪臭は、表面だけでなく素材の内部にまで「収着(しゅうちゃく)」してしまい、これが「掃除しても取れない頑固な臭い」の正体となります。だからこそ、単なる拭き掃除ではなく、汚れの化学的性質(pH)を見極め、中和分解するという科学的なアプローチが必要不可欠なのです。
重曹を使って酸性の腐敗臭を中和する
野菜室から漂う「酸っぱい漬物のような臭い」や、腐った卵のような臭い、あるいはなんとなく酸味を感じる汗のような臭い。これらは主に酸性の性質を持つ悪臭物質群です。具体的には、腐った野菜から出る「酢酸」や「酪酸」、卵の腐敗臭である「硫化水素」などが該当します。
中学校の理科の実験を思い出してください。「酸性」の物質を打ち消すには何が必要でしょうか?そうです、「アルカリ性」の物質です。酸性とアルカリ性が混ざると、互いの性質を打ち消し合い、水と塩(えん)という無臭の物質に変化します。これを「中和反応」と呼びます。

家庭で使える最も安全で効果的な弱アルカリ性の洗浄剤、それが重曹(炭酸水素ナトリウム)です。
| 使用形態 | 作り方・使い方 | おすすめの用途 |
| 重曹水スプレー | 水100mlに重曹小さじ1杯(約5g)を溶かす。 スプレーボトルに入れて使用。 | 日常的な拭き掃除、壁面全体の消臭、軽い汚れの除去。 |
| 重曹ペースト | 重曹と水を2:1〜3:1の割合で混ぜてドロドロにする。 汚れに乗せて放置する。 | こびりついた食品カス、パッキンの隙間の黒ずみ、取れにくい着色汚れ。 |
| 置き型(粉末) | 空き瓶などの広口容器に粉末を入れ、ガーゼで蓋をする。 庫内の隅に置く。 | 空間の消臭、湿気取り。 2〜3ヶ月で交換し、古い粉は掃除に使う。 |

掃除の手順としては、まず庫内の食材を出し、重曹水をたっぷり吹きかけた布で拭き上げていきます。特に野菜室の底面や、調味料ポケットの底などは酸性汚れが溜まりやすいホットスポットです。重曹には研磨作用もあるため、こびりついた汚れを物理的に削り落とす効果も期待できます。
ただし、重曹を使う際には一つだけ注意点があります。重曹を溶かした水は乾くと白い粉として残ることがあります。これは重曹の結晶ですので害はありませんが、見た目が悪くなるため、掃除の最後には必ずお湯で絞った布で「仕上げ拭き」を行ってください。これで酸性の悪臭は驚くほどスッキリと消え去ります。
クエン酸でアルカリ性の汚れを落とす

「冷蔵庫がなんとなく生臭い」「トイレのようなアンモニア臭がする」。もしあなたの冷蔵庫がこのような臭いを発しているなら、それはアルカリ性の悪臭物質が原因です。
主な犯人は、肉や魚の動物性タンパク質が分解されて発生する「アンモニア」や「トリメチルアミン」です。これらはアルカリ性の性質を持っているため、先ほどの重曹(アルカリ性)を使っても、アルカリ同士で反発し合い、中和反応が起きません。つまり、汚れは落ちても臭いは残ってしまうのです。
ここで登場するのが、酸性の性質を持つクエン酸(またはお酢)です。
使用する「クエン酸スプレー」の黄金比率は、水200mlに対してクエン酸小さじ1杯(約5g)です。これをスプレーボトルによく溶かして使用します。特に、チルド室(肉や魚を入れる場所)や、製氷機の給水タンク周りは重点的に攻めましょう。
製氷機周辺によく見られる白いガリガリとした汚れは、水道水に含まれるカルシウムなどが固まった「水垢(アルカリ性)」ですので、クエン酸を使えば化学反応で溶け出し、臭いと共に汚れも一掃できます。
金属部品への使用は要注意!
クエン酸はその名の通り「酸」です。冷蔵庫のドアヒンジ(蝶番)や棚受けのレール、ネジなどの金属部品に酸が付着したまま放置すると、急速にサビが進行する原因になります。
金属部分に誤ってスプレーしてしまった場合は、ただちに水拭きを行い、成分を完全に除去してください。また、大理石などの天然石素材にも酸は厳禁ですが、冷蔵庫内で使われることは稀でしょう。
お酢を使う場合は、穀物酢などを水で2倍程度に薄めて使います。ただし、お酢自体にツンとした独特の臭いがあるため、匂いに敏感な方は無臭のクエン酸を使うことを強くおすすめします。クエン酸で拭き上げた後は、不思議なくらい生臭さが消え、空気が澄んだように感じられるはずです。
アルコール除菌で菌を死滅させる掃除
重曹とクエン酸による「中和洗浄」で汚れと臭いの成分を取り除いたら、次はいよいよ悪臭の工場である「菌」そのものを叩くフェーズに入ります。ここで最強のパートナーとなるのが消毒用エタノール(アルコール)です。
なぜ水拭きではダメなのか?それは、菌の多くが水分を好むからです。水拭きをして庫内が湿った状態が続くと、残ったわずかな汚れを餌にして、再び菌が爆発的に増殖してしまいます。これを防ぐためには、「殺菌力」と「揮発性(乾きやすさ)」を兼ね備えたアルコールが最適解なのです。
市販のアルコール除菌スプレーを選ぶ際は、アルコール濃度が70%〜80%程度のものを選んでください。この濃度が最も浸透圧による殺菌効果が高く、菌の細胞膜を破壊して死滅させることができます。濃度が高すぎても低すぎても効果が落ちるというのが、化学の面白いところです。
正しい拭き上げの作法
アルコールを使う際は、「往復拭き」を避けてください。ゴシゴシと往復させると、拭き取った菌をまた塗り広げてしまうことになります。
正しくは、「一方向に拭き切る」こと。布の面をこまめに変えながら、奥から手前へ、上から下へと、汚れと菌を追い出すように拭いていきます。この「一方通行」の原則を守るだけで、除菌のレベルは格段に上がります。

ただし、エンジニアとして一つだけ注意喚起をしておきます。冷蔵庫の操作パネルやハンドル部分などに使われている一部のプラスチック(スチロール樹脂など)やアクリル素材は、高濃度のアルコールに長時間触れると、「ケミカルクラック」と呼ばれる微細なひび割れを起こしたり、表面が白く曇ったりすることがあります。
スプレーを直接吹きかけるのではなく、一度柔らかい布に吹き付けてから拭き、すぐに乾拭きをするように心がけてください。これで、菌のいない清潔な環境が完成します。
キッチンハイター等の漂白剤の活用法
通常の掃除では太刀打ちできない「ラスボス級」の汚れが存在します。それが、ゴムパッキンの奥深くまで根を張った「黒カビ」や、ドレンパン(蒸発皿)に蓄積した「ヘドロ」です。これらは物理的に擦っても取れず、アルコールでも死滅しきらないことがあります。
ここで投入するのが最終兵器、塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)です。代表的な製品には「キッチンハイター」や「カビキラー」があります。これらの薬剤が持つ強力な酸化力は、微生物の細胞壁を瞬時に破壊し、色素ごと分解して漂白する力を持っています。
パッキンの黒カビ除去には、「湿布法」が有効です。
- 塩素系漂白剤を水で薄める(製品の表示に従う)、またはジェルタイプのカビ取り剤を用意する。
- キッチンペーパーをこより状にし、漂白剤液に浸す。
- カビが生えているパッキンの溝に、そのペーパーを密着させるように貼り付ける。
- 15分〜30分ほど放置して、成分を浸透させる。
- ペーパーを取り除き、水拭きを2回以上繰り返して成分を完全に除去する。
この方法は劇的に効きますが、ゴム素材へのダメージもゼロではありません。長時間放置しすぎるとゴムが劣化して硬くなり、冷気漏れの原因になるので、時間は必ず守ってください。
【絶対厳守】混ぜるな危険
このセクションで最も重要な警告です。先ほど紹介した酸性の「クエン酸(またはお酢)」と、塩素系の「漂白剤」を同時に使ったり、混ざるような状態で使用したりすることは絶対に避けてください。
混ざると化学反応を起こし、有毒な塩素ガス(Cl2)が発生します。これは吸い込むと呼吸器系に重篤なダメージを与え、最悪の場合命に関わります。「午前中にクエン酸で掃除したから、午後は漂白剤で」という場合でも、成分が残っていると反応する可能性があります。
使用する日は完全に分けるか、間に徹底的な水洗いと乾燥を挟むことを強く推奨します。
通常清掃で冷蔵庫の腐った匂いを消すことができない時

「棚も壁も、パッキンまで全部完璧に拭いた。それでもまだ、どこからともなく腐った匂いがする…」。もしあなたが今、この状況に陥っているなら、問題は目に見える表面ではなく、冷蔵庫の「構造内部」や「死角」に潜んでいます。
ここからは、私たちエンジニアが修理やメンテナンスの際に見る視点で、分解しないと気付きにくいディープな汚染源へのアプローチ方法を解説します。これを知っているかどうかで、冷蔵庫を買い替えるか、あと5年使い続けられるかが決まると言っても過言ではありません。
魚の汁による強烈な生臭さを取る方法
冷蔵庫のトラブルで最も心が折れそうになるのが、魚のドリップ(汁)をこぼしてしまった時です。魚の腐敗臭の主成分である「トリメチルアミン」は、極めて揮発性が高く、少量こぼしただけでも庫内の空気循環ファンに乗って全体に拡散します。
さらに悪いことに、この成分はプラスチック素材に対して強い親和性(なじみやすさ)を持っており、単に表面を拭いただけでは樹脂の微細な隙間に居座り続けます。「拭いたのに臭う」のは、臭いがプラスチックに染み込んでいるからです。
この強敵に対するアプローチは、「熱」と「化学」の合わせ技です。
- 吸着除去: まず、こぼれた直後ならキッチンペーパーで液体を吸い取ります。絶対に擦って広げないでください。
- 部品の取り外し: 汁が付着した棚板やケースは、可能な限り冷蔵庫から取り外します。
- 熱湯洗浄: ここがポイントです。トリメチルアミンは揮発性ですが、水溶性でもあります。お風呂のシャワー温度(約40〜50℃)のお湯をかけながら、中性洗剤で洗い流してください。熱を加えることで、揮発を促進させつつ洗い流すことができます。
(※熱湯すぎるとプラスチックが変形・破損する恐れがあるので、必ず耐熱温度を確認し、60℃以上のお湯は避けてください。) - クエン酸パック: 洗浄後も臭いが残る場合は、クエン酸水を浸したキッチンペーパーでパックし、しばらく置いてから洗い流します。
最後に、庫内に戻す前に完全に乾燥させます。それでも空気中に臭いが残っている場合は、消臭効果の高い「茶殻(カテキン)」や「ドリップ後のコーヒーかす」を小皿に入れて庫内に数日置いてみてください。これらは多孔質構造をしており、残存する臭気分子を物理的に吸着して封じ込めてくれます。
ドレンホースの詰まりと汚れを除去
「冷蔵庫の臭いが下水っぽい」「野菜室の下の床がいつも濡れている」。このような症状がある場合、ほぼ間違いなく「ドレンホース(排水管)」のトラブルです。
冷蔵庫は冷却時に発生する結露水を、庫内の排水口から背面の蒸発皿へと誘導するために、内部に長いホースを通しています。このホースの中は常に水が流れており、カビや水垢、そして流れ込んだ小さな野菜くずなどが蓄積しやすい環境にあります。これらが詰まってヘドロ化すると、排水が逆流し、庫内に汚水が溢れ出したり、ホースを通じて下水のような腐敗臭が庫内に充満したりします。
【プロ直伝の対処ステップ】
- 排水口の位置確認: 多くの機種では、野菜室の奥や、冷蔵室の最下段の奥に小さな穴(排水口)があります。取扱説明書で位置を確認してください。
- 通水テスト: コップ一杯の水を排水口にゆっくり注いでみます。スムーズに流れていけば詰まりはありませんが、水が溜まってくるようなら詰まっています。
- 物理的除去: 詰まりがある場合、ホームセンターなどで売られている「ドレンホースクリーナー(細長いワイヤーブラシ)」を使用します。これを排水口から差し込み、優しく出し入れして内部のヘドロを掻き出します。
- 仕上げ洗浄: 詰まりが解消したら、薄めた塩素系漂白剤を少量流し込み、ホース内部を殺菌します。
無理は禁物です
ワイヤーを無理やり押し込むと、内部でホースが接続部から外れてしまうリスクがあります。もしホースが外れると、水が機内に漏れ出し、電気部品のショートや床への水漏れという大事故に繋がります。
「硬くて入らないな」と感じたら、無理をせずメーカーのサービスマンに依頼してください。数千円〜1万円程度の出費になりますが、冷蔵庫を壊すよりはずっと安上がりです。
背面のドレンパンや蒸発皿を掃除する
「キッチンに入ると、冷蔵庫の裏あたりからモワッとした変な臭いがする」。この犯人は、冷蔵庫の背面下部にある「ドレンパン(蒸発皿)」である可能性が非常に高いです。
ドレンパンは、先ほどのドレンホースを通って排出された水を受け止め、コンプレッサー(圧縮機)の熱を利用して蒸発させるための受け皿です。通常は水が蒸発して無くなりますが、湿度が高い時期や、汚れが溜まっていると、水が腐ってヘドロ化し、強烈な悪臭を放ちます。
さらに最悪なことに、この温かくて湿った場所は、ゴキブリなどの害虫にとって絶好の隠れ家や水飲み場になってしまうこともあります。
掃除の方法
- アクセス: 冷蔵庫の前面下にある脚カバー(キックプレート)を外して引き出すタイプや、冷蔵庫を前に動かして背面のカバーを外すタイプなどがあります。最近の機種では、ユーザーが簡単に取り外せない「内蔵式」も増えています。
- 洗浄: 取り外せるタイプなら、お風呂場などで塩素系漂白剤を使って丸洗いするのがベストです。こびりついたヘドロやカビを根こそぎ落としましょう。
- 取り外せない場合: 隙間から汚れが見える場合は、割り箸に布を巻き付けたものなどで、溜まった汚水を吸い取り、汚れを拭き取ります。
三菱電機のFAQやクチコミ掲示板などでも、「背面からのアンモニア臭や異臭は、蒸発皿の汚れが大半の原因」と指摘されています。見落としがちな場所ですが、臭いの元凶としてはトップクラスに重要です。
野菜室の底に溜まる野菜くずとカビ
灯台下暗しとはよく言ったもので、意外と見落とされているのが「野菜室のケースを外した、その下の床面」です。
野菜室は泥付きの野菜を入れるため、土壌菌(ボツリヌス菌などを含む土の菌)やカビの胞子が持ち込まれやすい場所です。さらに、野菜から出る水分で湿度は高めに保たれています。掃除の際、透明なプラスチックケースを取り出して洗う方は多いですが、そのケースが乗っていた「本体側の底面」まで拭いていますか?
ここには、ケースの隙間から落ちた玉ねぎの薄皮や、乾燥した野菜くず、そして謎の黒いゴミが堆積しています。これらが結露水を含んで腐敗し、カビ(特にクラドスポリウムという黒カビの一種)の温床となります。このカビは喘息やアレルギーの原因にもなり得るため、衛生上非常に好ましくありません。
掃除の際は、必ずケースをすべて取り外し、本体の底の底まで手を伸ばしてください。ここでも「アルコール除菌」が有効です。掃除機でゴミを吸い取った後、アルコールをたっぷり含ませた布で拭き上げれば、カビの再発を強力に防ぐことができます。
焦げ臭い匂いは故障の可能性が高い

最後に、これは掃除のアドバイスではありませんが、命に関わる最も重要な警告をします。
もし、冷蔵庫からする臭いが「腐った臭い」や「酸っぱい臭い」ではなく、「焦げ臭い」「プラスチックが溶けたような臭い」「油っぽい機械の臭い」であった場合。これは汚れではありません。内部の故障、あるいは発火の前兆です。
消費者庁の事故情報データバンクには、冷蔵庫の異臭発生後に発煙・発火した事例が数多く報告されています。主な原因としては以下のようなものが挙げられます。
- 始動リレーの不具合: コンプレッサーを動かすための部品が過熱し、発煙する。
- トラッキング現象: 電源プラグや配線にホコリが溜まり、湿気を吸ってショートする。
- ファンモーターの故障: 冷気を循環させるファンの軸が固着し、モーターが焼き付いて焦げ臭い匂いを出す。(出典:消費者庁『事故情報データバンクシステム』)
特に「長年(10年以上)使っている冷蔵庫」でこの症状が出たら危険信号です。この臭いがした瞬間にやるべきことは、掃除ではありません。
- 直ちに電源プラグを抜く。
- 部屋の換気をする。
- メーカーの修理窓口に連絡する、または買い替えを検討する。
「様子を見よう」と通電し続けることが、火災事故につながります。嗅覚による違和感は、機械からのSOSだと思って即座に対応してください。
冷蔵庫の匂いに関するよくある質問
Q1. 冷蔵庫の匂い取りには何が一番効きますか?
A. 匂いの種類によります。野菜の腐敗臭などの「酸性臭」には重曹、魚などの生臭い「アルカリ性臭」にはクエン酸やお酢が効果的です。日常的な予防には、備長炭や活性炭を使用した置き型脱臭剤がおすすめです。
Q2. 掃除しても冷蔵庫の臭いが取れない時はどうすればいいですか?
A. 目に見えない場所が原因かもしれません。背面の蒸発皿(ドレンパン)の汚れや、排水ホースの詰まりを確認してください。それでも取れない場合は、壁面の断熱材に臭いが染み込んでいる可能性があり、この場合は買い替えの検討時期となります。
Q3. 冷凍庫の氷が臭くなる原因は何ですか?
A. 主に「製氷タンクのカビ」か「庫内の食品からの匂い移り」です。給水タンクは週に1回水洗いし、匂いの強い食品は密閉容器に入れましょう。古い氷を全て捨て、製氷機洗浄剤を使って掃除すると改善します。
Q4. キムチやニンニクの強い匂いを防ぐ方法はありますか?
A. プラスチック容器は匂いの分子を通してしまうため、ガラス製やホーロー製の密閉容器に移し替えてください。さらに、容器の上から「アルミホイル」で包むと、ガス透過性がほぼゼロになり、強力に臭い漏れを防げます。
Q5. 脱臭剤は冷蔵庫のどこに置くのが効果的ですか?
A. 冷気は上から下へ流れるため、冷気の吹き出し口付近や、空気の通り道になる場所に置くと循環効率が良いです。ただし、特定の食材の匂いを抑えたい場合は、その食材のすぐ近くに置くのが最も効果的です。
冷蔵庫の腐った匂いを消すための対策方法まとめ

冷蔵庫の悪臭は、単なる不快感にとどまらず、食中毒のリスクや、最悪の場合は火災の前兆である可能性も含んでいます。しかし、臭いの「種類(酸性かアルカリ性か)」と「発生源(場所)」さえ特定できれば、エンジニア的視点で論理的に解決することが可能です。
放置すればするほど、臭いは断熱材の奥深くまで染み込み、プロのクリーニングでも除去不可能になってしまいます。「なんか臭うな」と思ったその日が、掃除のベストタイミングです。
| 臭いの種類・症状 | 原因の可能性 | 最適な対策アイテム |
| 酸っぱい臭い、野菜の腐敗臭 | 野菜くず、ドリップ(酸性) | 重曹水で中和+拭き掃除 |
| 生臭い、アンモニア臭 | 肉・魚の汁、水垢(アルカリ性) | クエン酸水で中和+拭き掃除 |
| カビ臭い、ドブのような臭い | パッキンのカビ、ドレン系のヘドロ | 塩素系漂白剤、ドレン清掃 |
| 掃除しても消えない臭い | 菌の増殖、壁面への吸着 | アルコール除菌、脱臭剤(炭) |
| 焦げ臭い、機械油の臭い | 電気部品の故障、ショート | 電源を抜いて修理依頼 |
冷蔵庫は、私たちの食の安全を守る最後の砦(とりで)です。庫内が清潔になれば、食材も長持ちしますし、何より毎日気持ちよく料理ができますよね。
今回の記事が、あなたのキッチンの悩みを解消する手助けになれば、家電オタクとしてこれ以上嬉しいことはありません。ぜひ、週末にでもゴム手袋をはめて、冷蔵庫の大掃除にチャレンジしてみてください!