引っ越し後の冷蔵庫電源はいつ入れる?冷えるまでの時間とトラブル回避も解説

PR

引っ越し後の冷蔵庫電源はいつ入れる?冷えるまでの時間とトラブル回避も解説

こんにちは。家電ジャーナルの鈴木です。

引っ越し当日は荷解きや手続きで目が回るような忙しさですよね。そんな中、新居に運ばれた冷蔵庫を見て「あれ、これってコンセントすぐ差していいんだっけ?」と手が止まってしまうこと、よくあります。

実は冷蔵庫の電源を入れるタイミングは、運搬中に横積みにしたかどうかや、メーカーの仕様によって大きく異なるんです。中身の食材をいつ戻すか、電源を入れてから冷えるまでどれくらいかかるかも気になるところですし、アース線の取り付けや水抜き作業など、やるべきことは意外と多いもの。

間違ったタイミングで電源を入れて故障させてしまわないよう、正しい知識で大切な家電を守りましょう。

この記事に書いてあること

  • メーカーや運搬状況ごとの正しい電源投入タイミングが明確に分かる
  • 電源を入れてから庫内が冷えるまでの具体的な時間目安を理解できる
  • 運搬前の水抜きや霜取りなど故障を防ぐための必須準備が分かる
  • 設置直後の異音や側面の発熱などよくあるトラブルの正体が分かる

引っ越し後の冷蔵庫の電源はいつ入れるのが正解か

コンセントを差すタイミングは、まず冷蔵庫がどのように運ばれてきたかを確認することから始まるという章タイトル画像。
まずは「どう運ばれてきたか」を確認

新居に到着して冷蔵庫が指定の場所に設置されたら、食材を早く戻したい気持ちから一刻も早く電源を入れて冷やし始めたいところですよね。特に夏場の引っ越しでは、クーラーボックスの氷も溶けかかっているでしょうから、その焦る気持ちは痛いほど分かります。

でも、ここで少しだけ深呼吸をして待ってください。ここでの一瞬の判断ミスが、最悪の場合「冷蔵庫の心臓部であるコンプレッサーの故障」に繋がり、買い替えで十数万円の出費…なんてことになりかねません。

まずは、あなたの冷蔵庫がここに来るまでに「どのように運ばれてきたか」、そして「お使いのメーカーが何を推奨しているか」を冷静に整理しましょう。正解は一つではなく、状況によって異なるのです。

冷蔵庫を横積み運搬した際の放置時間とリスク

冷蔵庫を立てて運んだ場合と横積みにした場合の比較図。横積みにするとコンプレッサー内のオイルが配管に流れ込み、故障の原因になる様子。
運搬方法で変わる!冷蔵庫内部のオイルの状態

まず、冷蔵庫運搬の大原則をお伝えします。冷蔵庫は「立てたまま(正立状態)」で運ぶのが絶対の基本です。しかし、現実の引っ越し現場では、階段が狭かったり、廊下の天井が低かったり、あるいはトラックへの積み込みスペースの都合などで、やむを得ず「横積み(横に寝かせた状態)」や「斜め45度以上の急な傾斜」で運ばれるケースが稀にあります。

もし、あなたの冷蔵庫が一度でも横に寝かされて運ばれてきた場合、設置後にすぐ電源を入れるのは絶対にNGです。これはメーカーや機種を問わず、全ての冷蔵庫に共通する「禁止事項」です。

なぜ「横積み」がいけないのか、エンジニアの視点で少し詳しく解説しますね。冷蔵庫の冷却システムを動かしている「コンプレッサー(圧縮機)」という黒いタンクのような部品があります。この中には、モーターやピストンをスムーズに動かすための「潤滑オイル(冷凍機油)」が封入されています。通常、このオイルはコンプレッサーの底に溜まっています。

ところが、冷蔵庫を横に倒すと、このオイルが本来あるべき場所から溢れ出し、冷媒ガスが流れる細い配管(冷却サイクル)の方へと流れ込んでしまうのです。これを「オイル上がり」と呼んだりします。

この状態でいきなり電源を入れるとどうなるでしょうか?

  1. 液圧縮(リキッドコンプレッション): 本来、気体のガスを圧縮するためのピストン部分に、圧縮できない液体であるオイルが大量に入り込みます。これを無理やり圧縮しようとして、バルブやピストンが破損します。
  2. キャピラリーチューブの閉塞: 冷蔵庫には冷媒を噴射するための髪の毛のように細い管(キャピラリーチューブ)があります。ここに粘度の高いオイルが詰まると、ガスが循環できなくなり、「コンプレッサーは動いているのに全く冷えない」という致命的な故障を引き起こします。

一度配管に流れ出たオイルが、重力によって自然にコンプレッサーの底に戻ってくるまでには、かなりの時間がかかります。

横積み後の待機時間目安

もし横積みで運搬された場合は、最低でも半日(12時間)〜24時間はコンセントを差さずに静置してください。

ネット上には「1時間で十分」という意見もありますが、粘度の高いオイルが細い配管から完全に戻りきるには、1時間では不十分なケースが多いです。リスクを完全に避けるなら、丸一日待つのが僕の推奨です。その間、食材は諦めるかクーラーボックスで凌ぐしかありませんが、冷蔵庫を壊すよりはマシです。

一方で、プロの引っ越し業者さんが専用のベルトなどを使い、終始「正立状態(立てたまま)」で丁寧に運んでくれた場合はどうでしょうか。実は、最近の主要メーカーの冷蔵庫(特にここ10〜15年のモデル)は、立てて運んだのであれば「設置後すぐ電源を入れてOK」という設計になっているものがほとんどです。

昔の冷蔵庫は「ガスを安定させるために数時間待つ」のが常識でしたが、技術の進歩によりコンプレッサーの信頼性が向上し、制御プログラムも賢くなったため、待機時間は不要になりつつあります。ただし、メーカーによって微妙にニュアンスが異なるので、以下の表で確認してください。

メーカー正立運搬時の電源投入エンジニア視点での補足・詳細
パナソニックすぐ入れてOK「設置後すぐに電源プラグをコンセントに差し込んでください」と明記されています。
ただし、位置調整などで一度プラグを抜いた場合は、再投入まで7分待つ必要があります。
三菱電機すぐ入れてOKこちらも即時投入が推奨されています。
早期に冷却を開始することで、食材の傷みを防ぐ設計思想です。
シャープすぐ入れてOK最新機種は即時OKですが、古い機種や一部の海外生産モデルについては説明書の確認が必要です。
日立10分以上待つ(推奨)「据え付け直後は10分以上待ってから」という記述が見られる場合があります。
振動で不安定になった冷媒の状態を落ち着かせるための安全マージンです。
東芝5分以上待つ即時OKの機種もありますが、圧縮機保護タイマーの関係で、念のため5分程度待ってから入れるのが確実な運用です。

結論として、「確実に立てて運んだ自信がある」なら、パナソニックや三菱電機などはすぐに電源を入れて大丈夫です。

しかし、「搬入の時に少し斜めになりすぎたかも?」「業者がどう運んだか見ていなかった」という不安が少しでもあるなら、念のため「1時間」ほど待ってから電源を入れるのが最も安全な選択と言えるでしょう。1時間のロスで冷蔵庫の寿命が守れるなら安いものです。

鈴木
鈴木

以下の記事で冷蔵庫を横向きで運搬した時の対処法やリスクについて詳しく解説しています。
>>冷蔵庫を横にしたら何時間待つ?故障リスクと対処法を解説

設置後に冷蔵庫の電源を入れてから冷えるまで

季節ごとの冷却時間の違い。夏場は冷えるまで24時間以上かかることもあり、冬場は2〜4時間で冷えるという目安のイラスト。
夏場は要注意!冷蔵庫が冷えるまでの時間目安

「よし、コンセントを差した!これで安心!」と思っていませんか?実は、冷蔵庫のスイッチを入れてから、実際に食材を安全に入れられる温度まで冷えるには、皆さんが想像している以上に長い時間がかかります。ここを誤解していると、せっかく新居に持ってきた食材を腐らせてしまうことになります。

カタログや取扱説明書を見ると、冷却時間の目安として「通常4〜6時間」と書かれていることが多いです。しかし、これはあくまで「JIS規格で定められた特定の条件下(周囲温度が適度で、ドアの開閉がなく、中身が空っぽの状態)」での話です。実際の引っ越し環境、特に季節によっては、この時間は大きく変動します。

季節ごとの冷却時間のリアル(現場の感覚値)

  1. 冬場(室温10℃〜20℃前後):
    比較的早く冷えます。電源投入から2〜3時間もすれば、庫内に手を入れた時にヒンヤリとした冷気を感じられるでしょう。4時間後には冷蔵室の食材を戻し始めても大丈夫な場合が多いです。
  2. 夏場(室温30℃以上):
    ここが要注意です。真夏の閉め切った新居や、エアコンがまだ効いていないキッチンでは、冷蔵庫の放熱効率が極端に落ちます。庫内が規定の温度(冷蔵室約3〜6℃、冷凍室約-18℃以下)に達するまで、24時間以上(丸一日)かかることも珍しくありません。

なぜこれほど時間がかかるのでしょうか。冷蔵庫は単に「中の空気」を冷やすだけでなく、常温になっている「プラスチックの棚板」「ガラスのトレー」「断熱材を含めた分厚い壁(筐体)」そのものを冷やし込む必要があるからです。これらには大きな「熱容量」があり、それらが冷え切るまでは、庫内の空気温度もなかなか安定しません。

僕が店頭でお客様にアドバイスする際は、「夏場の引っ越しなら、電源を入れてから半日は食材を入れない覚悟でいてください」とお伝えしています。特にやってはいけないのが、「まだ冷え切っていない冷蔵庫に、常温のペットボトルや食材をぎっしり詰め込むこと」です。

これをやると、食材が持っている熱が負荷となり、冷蔵庫は悲鳴を上げます。いつまで経っても温度が下がらず、コンプレッサーはずっとフル稼働し続け、最悪の場合はオーバーヒートして停止してしまうこともあります。

効率よく冷やすためのコツ

  1. 最初は空運転で: 電源を入れたら、まずは中身を入れずに空の状態で運転させます。
  2. 給水タンクの水は後で: 自動製氷用の水タンクを入れると、その水を冷やすためにエネルギーが使われます。庫内が冷えるまではタンクをセットしないのが裏技です。
  3. 冷凍室を優先確認: 冷蔵室よりも冷凍室の方が早く冷える傾向があります。まず冷凍室の冷え具合(製氷皿の水が凍るかなど)を確認し、冷凍食品から順次戻していくのがスムーズです。

「電源を入れたのに全然冷えない!」と慌ててメーカーに電話する前に、まずは半日〜24時間、ドアを開けずにじっくり様子を見てあげてくださいね。

冷蔵庫のアース線接続と設置環境の注意点

引っ越しの設置作業中、電源プラグからピョロッと出ている「緑と黄色の細い線」を見て、「これ、繋がなきゃダメなの?面倒くさいな…」と思ったことはありませんか?このアース線(接地線)、結論から言うと「絶対に繋いでください」。

「今まで繋いでなかったけど平気だったよ」という方もいるかもしれません。確かに、日本の冷蔵庫は優秀なので、アースを繋がなくても普通に動きますし、すぐに事故が起きるわけではありません。しかし、アース線は言わば「命綱」であり「保険」なのです。

冷蔵庫が置かれるキッチンは、水や湿気が非常に多い場所です。電気製品にとって水は大敵。万が一、長年の使用で内部の絶縁が劣化したり、ネズミやゴキブリなどの侵入で配線が齧られたりして「漏電」が発生したとしましょう。この時、アース線が繋がっていない状態で冷蔵庫の金属部分に触れると、漏れた電気が全てあなたの体を通って床(大地)へ流れようとします。これが感電です。

アース線が繋がっていれば、電気は人体よりも抵抗の低いアース線を通って地面に逃げてくれるため、感電を防ぐことができます。また、最近の冷蔵庫はインバーター制御といって、高速でスイッチングを行う回路を使っています。ここからは微弱な電磁波ノイズが発生するのですが、アースにはこのノイズを逃がし、近くにあるWi-Fiルーターやテレビ、ラジオへの電波干渉を防ぐ効果も期待できます。

取り付け方は、一度覚えてしまえばとても簡単です。

アース線の接続手順(ネジ式の場合)

  1. 安全確保: まず冷蔵庫の電源プラグをコンセントから抜きます。
  2. カバーを開ける: コンセントの下にあるアース端子のカバーをマイナスドライバーなどで開けます(パカッと開くタイプが多いです)。
  3. 緩める: 中にあるネジをドライバーで左に回して少し緩めます(外しきる必要はありません)。
  4. 差し込む: アース線の先端の銅線部分を、ネジと座金の隙間に差し込みます。被覆(緑色のビニール)を挟まないように注意してください。
  5. 締める: ネジを右に回してしっかり締め込み、銅線が抜けないことを確認します。
  6. 閉じる: カバーを元通りに閉めます。

最近増えている「ワンタッチ式」ならもっと簡単で、カバーを開けて穴に銅線を差し込み、蓋を閉めるだけでロックされます。

もし、古い物件などでコンセントにアース端子がない場合はどうすればいいでしょうか?間違っても水道管やガス管に巻きつけてはいけません(ガス爆発や水道管の電食のリスクがあり、法令で禁止されています)。

この場合は、電気工事士の資格を持つ業者に依頼してアース工事をするか、工事不要の漏電遮断器(ビリビリガードなど)をコンセントに噛ませることで、感電リスクを低減させることができます。

安全に関わる部分ですので、ぜひ適切な対策をとってください。(出典:一般財団法人 家電製品協会『家電製品を安全にお使いいただくために』)

一度抜いた電源プラグを再投入する際の待機時間

冷蔵庫のコンセントを一度抜いた場合、すぐに差すとモーターに負担がかかるため、最低10分待ってから差すべきという注意喚起のイラスト。
コンセントを抜いたら次は「10分待つ」が鉄則

引っ越し当日は、設置場所の微調整のために「一度コンセントを差したけど、やっぱりちょっと右にずらしたいから抜こう」というシチュエーションがよく発生します。この「差して、すぐ抜いて、またすぐ差す」という行為、実は冷蔵庫にとっては自殺行為に近いほど危険なことをご存知でしょうか?

これには、冷蔵庫の冷却サイクルの圧力バランスが関係しています。

冷蔵庫が運転している最中、コンプレッサーはガスをギュウギュウに圧縮して送り出しています。つまり、コンプレッサーの出口側(高圧側)には非常に高い圧力がかかっており、逆に入口側(低圧側)は圧力が低い状態になっています。この状態で電源を切ると、コンプレッサーは止まりますが、配管内の圧力差はすぐには無くなりません。

もし、この「高圧側が高いまま」の状態ですぐに電源を入れ直してコンプレッサーを再起動しようとすると、コンプレッサーのモーターは高い圧力に逆らってピストンを押し出さなければなりません。これには通常の何倍もの巨大な力(始動トルク)が必要になります。

しかし、モーターの力には限界があるため、ピストンを押し出すことができず、モーターが唸るだけで動かない「拘束状態(ロック)」に陥ります。

こうなると、モーターに過大な電流が流れ続け、内部の保護装置(オーバーロードリレー)が作動して緊急停止するか、最悪の場合は基板のヒューズが飛んだり、コンプレッサー自体が焼き付いて故障したりします。

「魔法の10分ルール」を守ろう

一度コンセントを抜いたら、最低でも5分、できれば10分間は絶対に再投入しないでください。

この10分間の間に、高圧側のガスが細い管を通って徐々に低圧側へ流れ、配管内の圧力が均一(バランスが取れた状態)になります。圧力が均一になれば、モーターは軽い力でスムーズに再起動できるのです。

パナソニックや日立などの取扱説明書にも、「電源プラグを抜いたあと、すぐに差し込まないでください」という警告とともに、具体的な待機時間が記載されています。掃除の時やブレーカーが落ちた時にも使える知識ですので、ぜひ「冷蔵庫の電源は、切ったら10分待つ」と覚えておいてくださいね。

設置直後に冷蔵庫の側面が熱くなる現象の解説

無事に設置を終えて電源を入れ、しばらくしてから冷蔵庫の側面にふと触れたとき、「熱っ!!」と驚いた経験はありませんか?人肌どころではなく、50℃〜60℃くらいの、ずっと触っているのが辛いくらいの熱さになることがあります。

引っ越し直後の不安な時期にこれがあると、「運搬中にどこか壊れたんじゃないか?」「漏電して発熱してる?」とパニックになってしまう方が非常に多いです。

ですが、安心してください。これは故障ではなく、「ホットサイド現象」と呼ばれる、正常かつ必要な動作です。

鈴木
鈴木

この熱の正体を理解するには、冷蔵庫の仕組みを知る必要があります。冷蔵庫は「冷やす機械」だと思われていますが、物理的には「庫内の熱を奪って、外に捨てる機械(ヒートポンプ)」です。庫内を冷やせば冷やすほど、その分の熱エネルギーを外に放出しなければなりません。

昔の冷蔵庫は、背面に黒い網のようなパイプ(放熱器)がむき出しになっていて、そこから熱を逃していました。しかし、今の冷蔵庫はデザイン性を高めたり、壁際に設置しやすくしたりするために、この放熱パイプを「本体の側面や天井面の内部」に埋め込んでいるのです。

特に引っ越し直後は、庫内が常温の状態から一気に冷やし込むため、コンプレッサーはフルパワーで稼働し続けます。つまり、放熱の量も最大級になります。そのため、放熱パイプが埋まっている側面が一時的にかなり高温になるのです。

冷蔵庫の側面が熱くなるのは放熱のためで正常であること、および緑色のアース線は感電防止のために必ず繋ぐべきであることを解説したイラスト。
故障じゃない?側面の発熱とアース線の役割

また、冷蔵庫の前面(ドアのパッキンが接触する部分)も熱くなることがありますが、これは「露付き防止パイプ」といって、温かい空気が触れて結露するのを防ぐために、わざと温かい冷媒を通しているためです。

ユーザーができる対処法

基本的には「正常」なので放置で構いませんが、効率よく放熱させてあげることで、電気代を抑え、早く冷やすことができます。

  1. 隙間の確保: 冷蔵庫の左右には5mm以上、上部には50mm以上(機種により異なります)の隙間を空けてください。ここが塞がっていると熱が逃げ場を失い、冷却効率が悪化します。
  2. モノを置かない: 冷蔵庫の上にダンボールなどを積み上げたり、側面にマグネットで紙を大量に貼ったりすると、放熱の妨げになります。特に設置直後のフル稼働時は、周囲をスッキリさせてあげましょう。

庫内が冷えて運転が安定すれば、側面の熱さも自然と落ち着いてきますので、過度な心配は無用ですよ。

引っ越しと冷蔵庫の電源をいつ入れるかに関連する準備

引っ越し前の準備と注意点、水漏れや故障を防ぐためのポイントという章タイトル画像。
水漏れや故障を防ぐための準備ポイント

ここまでは「新居に着いてからの話」をしてきましたが、実は引っ越しにおける冷蔵庫トラブルの8割は、「運ぶ前の準備不足」に原因があります。検索してこの記事にたどり着いたあなたが、もし「これから引っ越し準備をする」というタイミングなら、本当にラッキーです。

電源を入れるタイミングを気にするのも大切ですが、それ以上に重要なのが「水抜き」と「霜取り」です。ここをサボると、運搬中に水漏れして新居の床を汚したり、トラックの中で他の荷物を水浸しにしたり、あるいは新居で電源を入れた後に異臭が発生したりと、散々な目に遭います。

引っ越しに向けた冷蔵庫の中身整理と準備

当たり前のことですが、冷蔵庫の中身は空っぽにして運ばなければなりません。「入れたままでも運べるでしょ?」と思うかもしれませんが、重量が増して作業員の負担になるだけでなく、棚板やトレーが内部で暴れて破損する原因になります。何より、運送約款で生鮮食品の運搬は拒否されるのが一般的です。

理想的なスケジュールとしては、引っ越しの1週間〜2週間前から「食べきり計画」を立てましょう。新たに調味料や冷凍食品を買うのを控え、今あるものを消費するメニューに切り替えます。

それでもどうしても使い切れなかった調味料(醤油、ドレッシングなど)や、捨てたくない高価な冷凍食品が残ってしまった場合はどうすればいいでしょうか?

これらは、ご自身でクーラーボックスや発泡スチロールの箱を用意し、運搬する必要があります。引っ越し業者は基本的に食品の品質保証ができないため、トラックには載せてくれません(載せてくれたとしても、夏場のトラック内は高温になるため食品は全滅します)。

先ほど「新居で電源を入れてもすぐには冷えない」とお話ししましたよね。実はこのクーラーボックスは、移動中だけでなく、「新居で冷蔵庫が冷えるまでの避難場所」として非常に重要な役割を果たします。

したがって、クーラーボックスには食品だけでなく、保冷剤やドライアイスを「これでもか」というくらい多めに入れておくことを強くお勧めします。もし保冷剤が足りなければ、ペットボトルにお茶や水を入れて凍らせたものを何本か作っておくと、最強の保冷剤になりますし、溶ければ飲み物として飲めるので一石二鳥ですよ。

運搬トラブルを防ぐ冷蔵庫の水抜き手順

水漏れ事故を防ぐための準備手順。前日の夜にコンセントを抜いて霜を溶かし、当日の搬出前にタンクと製氷機の水を捨てる流れ。
引っ越し前日〜当日の水抜き・霜取りスケジュール

引っ越し準備の中で最も重要で、かつ最も忘れられがちなのが「水抜き(ドレン排水)」です。これは、冷蔵庫内部に溜まった水を排出し、運搬中の水漏れを防ぐ作業のことです。

「え?冷蔵庫の中に水なんて溜まってるの?」と驚く方もいるかもしれません。通常、冷蔵庫内で発生した除霜水(溶けた霜の水)は、背面の蒸発皿に溜まり、コンプレッサーの熱で自然に蒸発する仕組みになっています。そのため、普段使っている分には水を見ることはありません。

しかし、電源を切って冷却が止まると蒸発もしなくなりますし、運搬のために冷蔵庫を傾けると、蒸発皿に残っていた水がチャプンと溢れ出してくるのです。これが、引っ越し当日に玄関やトラックの荷台、最悪の場合は新居の無垢フローリングを汚してしまう「謎の水」の正体です。

主な水抜き箇所と手順

  1. 蒸発皿(ドレンパン)の水捨て
    冷蔵庫の背面下部、または前面の下部カバー(キックプレート)の内側にある受け皿を確認します。水が溜まっていれば捨ててください。
    最近の大型機種では蒸発皿が固定されていて外せないものもあります。
    その場合は、運搬時に本体を後ろに傾けて排水口から水を抜く作業が必要になりますが、これは重労働なので引っ越し業者のスタッフにお願いするのが無難です。事前に「水抜きが必要なタイプかも」と伝えておくとスムーズです。
  2. 製氷機・給水タンクの水捨て
    冷蔵室にある給水タンクの水を捨てるのは皆さんやりますが、見落としがちなのが「製氷皿」と「内部パイプ」の水です。ここは次のセクションで詳しく解説します。

水抜きを怠ると、水漏れだけでなく、運搬中に内部の基板やモーターに水がかかって故障する原因にもなります。「たかが水」と侮らず、確実に処理しておきましょう。

自動製氷機の水抜きとメーカー別の操作方法

特に盲点なのが自動製氷機です。給水タンクを空にしただけでは、タンクから製氷皿へ水を送るパイプの中や、製氷皿自体に水や氷が残ったままになっています。これが運搬中に溶けたり漏れたりするのです。

この隠れた水を排出するために、各メーカーは冷蔵庫に「製氷機水抜きモード」や「製氷おそうじ機能」を搭載しています。普段は絶対に使わない機能なので知らない方が大半ですが、引っ越しの時だけは大活躍します。

代表的なメーカーの操作例を挙げておきます(※機種によって操作ボタンが異なる場合があるので、必ずご自身の機種の取扱説明書を確認してください。「型番 + 水抜き」や「型番 + 引っ越し」で検索するとすぐに出てきます)。

メーカー操作の例(機種により異なります)
パナソニック給水タンクをセットし、製氷室のドアを開けた状態で操作パネルの「製氷停止」ボタンを長押し、または「製氷おそうじ」機能を実行。
その後、製氷ケースに落ちた水や氷を捨てる。
三菱電機製氷室の「製氷停止」ボタンを約5秒間長押しする等の操作で、製氷皿を水平にして水を落とすモードがある。
その後、給水タンクと製氷皿(洗えるタイプなら)を洗って乾燥させる。
日立給水タンクを空にしてセットし、操作パネルの「製氷おそうじ」を選択。
約3〜4分間ポンプが作動し、経路内の水を製氷ケースに排出してくれる。

この操作を行うと、製氷皿に残っていた水や氷がゴロンと製氷ケース(氷を貯めるところ)に落ちてきます。これを忘れずに捨て、ケースとタンクをタオルで拭き上げて乾燥させて完了です。

もし説明書が見つからず、操作方法がどうしても分からない場合は、少なくとも「給水タンクを空にする」ことと、「できれば製氷機能をオフにして数時間待ち、製氷皿の氷ができきったタイミングで捨てる」などの対策をしておきましょう。

前日までに済ませる霜取りと電源オフの時期

「引っ越しの何時間前に電源を切ればいいですか?」という質問も非常に多いですが、僕の答えは明確です。「前日の夜(搬出の15〜24時間前)」にはプラグを抜いてください。

「当日の朝まで使いたい」という気持ちは分かりますが、それはあまりにもリスクが高いです。その理由は「霜(しも)」です。冷凍室の奥にある冷却器には、運転中に空気中の水分が凍りついた霜がびっしりと付着しています。電源を切るとこの霜が溶け始めますが、完全に溶けて水になり、蒸発皿に落ち切るまでにはかなりの時間を要します。

最近の冷蔵庫は省エネのために断熱性能がものすごく高くなっています。これは「冷気が逃げにくい」というメリットである反面、電源を切っても「庫内の温度が上がりにくく、霜がなかなか溶けない」というデメリットにもなるのです。冬場だと、電源を切ってから霜が溶けるまで半日以上かかることもザラにあります。

もし当日の朝に電源を切ったとしましょう。霜はまだカチカチに凍ったままです。その状態でトラックに積み込まれます。すると、真夏のトラックの荷台の暑さや、運搬の振動で、移動中に急速に霜が溶け出します。結果、トラックの中で水漏れが発生し、一緒に積んでいた布団やダンボール、高級なソファが水浸し…という悲劇が起こるのです。

こうした事故を防ぐための正しい手順は以下の通りです。

  1. 前日(24時間前推奨): 電源プラグを抜く。
  2. ドア開放: 冷蔵庫のドアを全開にし、タオルなどを挟んで閉まらないようにする(庫内温度を上げて霜を早く溶かし、カビを防ぐため)。
  3. タオル準備: 溶けた水が庫内に溢れてくる可能性があるので、床や庫内にタオルを敷いておく。
  4. 当日朝: 蒸発皿に溜まった水を捨て、庫内を拭き上げる。

ここまでやっておけば、引っ越し業者さんにも「完璧ですね!」と感謝されること間違いなしです。

冷蔵庫の電源を入れるタイミングに関するよくある質問

Q1. メーカーによって電源を入れるタイミングは違いますか?

A. はい、異なります。パナソニックや三菱電機などは基本的に「設置後すぐに入れてOK」ですが、日立や東芝などの一部機種では、冷媒の状態を安定させるために「5分〜10分待つ」ことが推奨される場合があります。確実な情報は取扱説明書をご確認ください。

Q2. 電源を入れてから食材を入れるタイミングはいつがベストですか?

A. 電源投入直後はまだ常温です。実際に冷えるまで、夏場は「半日〜24時間」、冬場でも「2〜3時間」程度かかります。トラブルを防ぐため、庫内に手を入れて冷気を感じてから食材を戻すのが安全です。

Q3. コンセントを一度抜いてしまった場合、すぐ差し直してもいいですか?

A. いいえ、すぐには差し込まないでください。コンプレッサーに過度な負荷がかかり故障の原因になります。一度プラグを抜いた場合は、圧力が下がるまで「5分〜10分」ほど待ってから再投入してください。

Q4. もし冷蔵庫を横にして運んだ場合、電源を入れるタイミングはどうなりますか?

A. 横積みや大きく傾けて運搬した場合は、冷却オイルが配管から戻るのを待つため、設置後「半日〜24時間」は電源を入れずに静置してください。すぐに電源を入れると致命的な故障につながる恐れがあります。

Q5. 電源を入れた直後、冷蔵庫の側面が熱くなるのは大丈夫ですか?

A. はい、正常な動作です。「ホットサイド現象」といって、庫内を冷やすための熱を側面から放出しています。設置直後はフル稼働するため特に熱くなりますが、庫内が冷えれば自然と温度は下がります。

引っ越しの冷蔵庫の電源はいつ入れるかの総括

運搬後の待機時間、冷却時間、事前の水抜き準備、コンセントの抜き差しルールをまとめたチェックリスト。
引っ越し後の冷蔵庫設置トラブル回避まとめ

長くなりましたが、冷蔵庫の引っ越しに関する「正解」は見えましたでしょうか?最後に、特に重要なポイントをもう一度おさらいしておきましょう。

  1. 電源投入タイミング: 「正立運搬」なら基本すぐOK(不安なら1時間待機)。「横積み運搬」された場合は、コンプレッサー保護のため半日〜24時間は絶対に待つ。
  2. 再投入のルール: プラグを一度抜いたら、圧力が下がるまで5〜10分待ってから差す(全メーカー共通)。
  3. 冷却時間: 電源を入れてもすぐには冷えない。特に夏場は24時間かかることもあるので、食材を戻すのは冷気を感じてから。
  4. 事前の準備: 水漏れ事故を防ぐため、前日には電源を切り、製氷機を含む徹底的な水抜きを行う。

冷蔵庫は、私たちの食生活と健康を支えてくれる、なくてはならないパートナーです。引っ越しという大きなイベントで無理をさせて壊してしまわないよう、少しだけ労わってあげてください。正しい手順で運べば、新居でもまた長く活躍してくれるはずです。

この記事が、あなたの引っ越しの不安を解消し、スムーズな新生活のスタートに役立つことを願っています。もし何か不明点があれば、取扱説明書を確認するか、メーカーのサポートセンターに問い合わせるのが一番確実ですよ。それでは、良いお引越しを!