冷蔵庫マットの必要性は絶対?賃貸や新築で後悔しない選び方

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冷蔵庫マットの必要性は絶対?賃貸や新築で後悔しない選び方

こんにちは。家電ジャーナルの鈴木です。

新生活のスタートや引っ越しのタイミングで、「冷蔵庫マットは本当に必要なの?」と迷う方は非常に多いですよね。

「新築のフローリングを絶対に傷つけたくない」という強い思いがある一方で、ネットで検索すると「敷くとカビが生える」「ゴキブリの巣になる」「そもそもいらない」といったネガティブな意見も目につき、余計に混乱してしまいます。

特に賃貸にお住まいの方なら、退去時の原状回復費用がどうなるかも気になるところでしょうし、床暖房に対応しているかどうかも見落とせないポイントです。

僕自身も以前は懐疑的でしたが、ある「決定的なリスク」を知ってからは、間違いなく必須アイテムだと確信するようになりました。

この記事では、床材との相性や衛生面での不安要素をひとつずつ解き明かし、絶対に後悔しないための選び方について、僕の実体験を交えてお話しします。

記事のポイント

  • 賃貸や新築で冷蔵庫マットを敷くべき本当の理由
  • 「いらない」派が懸念するカビや虫のリスクと正しい対策
  • 床暖房やクッションフロアに適した素材の選び方
  • 僕がアイリスオーヤマなどのポリカーボネート製を推す理由

賃貸や新築で冷蔵庫マットの必要性が高い理由

結論から言うと、僕は冷蔵庫マットの導入を強くおすすめしています。特に賃貸住宅や新築の戸建てにおいては、敷かないことで発生するリスクがあまりにも大きいからです。

「たかがマット」と思うかもしれませんが、数年後に冷蔵庫を動かしたときの床の状態は、マットの有無で雲泥の差が出ます。まずは、なぜこれほどまでに必要性が叫ばれているのか、その理由を深掘りしていきましょう。

賃貸の退去費用を抑える

国土交通省のガイドラインに基づき、冷蔵庫による床のへこみは貸主負担だが、傷や変色、カビは入居者負担になることを解説した図。
賃貸における原状回復の落とし穴

賃貸暮らしの方にとって、引っ越しの際に最も気にかかるのが「退去時の原状回復費用」ですよね。敷金がどれくらい戻ってくるのか、あるいは追加請求があるのか、これは死活問題です。「冷蔵庫を置いていた場所の床がへこんでしまったら、弁償しなければならないの?」という不安を持つ方も多いでしょう。

まず、基本的なルールを確認しておきましょう。国土交通省が定めている「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によれば、冷蔵庫やテレビといった家具・家電の設置による床の「へこみ」は、通常損耗(普通に生活していて自然にできる消耗)とみなされます。

つまり、単に重さで床がへこんだだけであれば、原則として借主(入居者)が修繕費用を負担する必要はなく、貸主(大家さん)の負担となるのです。

(出典:国土交通省『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』

これを聞くと、「なんだ、じゃあマットなんていらないのでは?」と思いますよね? しかし、ここには大きな落とし穴があります。ガイドラインで免責されるのはあくまで「へこみ」だけです。

もしも冷蔵庫の脚で床に「深い傷(スクラッチ)」をつけてしまったり、ゴム脚の成分が移って「変色(シミ)」させてしまったり、あるいは水漏れや結露を放置して「カビ・腐食」させてしまった場合はどうでしょうか。

これらは「入居者の管理不十分(善管注意義務違反)」、つまりあなたの過失とみなされる可能性が極めて高いのです。

特にクッションフロア(CF)のような柔らかい床材の場合、冷蔵庫の設置や移動の際に少し引きずっただけで、表面が破けたりえぐれたりすることがあります。また、後述するゴム汚染による変色は、クリーニングでは絶対に落ちないため、床材の全面張り替えという高額請求に直結します。

数千円のマットをケチったばかりに、退去時に数万円から十数万円の請求をされるリスクを背負うのは、あまりにも割に合いません。マットを敷くことは、こうした「予期せぬ過失」を防ぎ、確実に敷金を守るための安価で賢い保険と言えるのです。

新築の床を傷から守る

150kg近い冷蔵庫の重さが4点の脚に集中して床がへこむ仕組みと、マットを敷くことで圧力を面に分散させる効果を示した図。
冷蔵庫の重さと床への集中荷重

念願のマイホームを手に入れ、ピカピカの新築フローリングに足を踏み入れた瞬間の感動は何物にも代えがたいですよね。しかし、その美しい床に、数百キログラムもの鉄の塊である冷蔵庫を「直置き」することに、抵抗を感じない人はいないはずです。

実際に、近年の家庭用冷蔵庫は高機能化と大容量化が進んでおり、ファミリー向けの400L〜600Lクラスでは、本体重量だけで100kgを超え、食材を満載した状態では総重量が150kg近くに達することも珍しくありません。

物理的な視点から見てみましょう。日本の住宅で一般的に使われている「複合フローリング」は、合板の基材の表面に薄い化粧板やシートを貼り付けた構造になっています。

表面のコーティング技術は進化しており、日常的な擦り傷には強くなっていますが、一点に集中する持続的な高荷重には強くありません。冷蔵庫の4つの脚(またはキャスター)という極めて小さな面積に100kg以上の荷重が集中すると、接地圧は凄まじいものになります。

この圧力が数年、十数年とかかり続けると、表面の硬い層を突き破ることはなくても、その下の基材(木材繊維)が徐々に押し潰され、不可逆的なダメージを受けます。これを防ぐためには、物理的に「荷重を分散させる」しかありません。硬質のマットを敷くことで、点にかかる力を面全体に広げ、単位面積あたりの圧力を劇的に下げるのです。

また、設置作業時のリスクも無視できません。プロの配送業者がどんなに慎重に作業しても、微調整のために冷蔵庫を動かす際、キャスターに噛み込んだ微細な砂粒ひとつで、フローリングに鋭利な「ガリ傷」が入ることがあります。

新築の床についた最初の傷が、一生消えない深い傷になる……そんな悲劇を防ぐためにも、搬入前にマットを敷いておくことは、精神衛生上きわめて重要です。資産価値を守るという意味でも、最初からガードを固めておくことは非常に合理的です。

いらないという意見の真実

PVC(ビニール)製マットに含まれる可塑剤が溶け出し、床と癒着したり黄色く変色したりするメカニズムを解説した図。
安価なPVCマットによる床の変色トラブル

ネットで検索すると、「冷蔵庫マットはいらない」「敷いて後悔した」という声をちらほら見かけます。これから買おうとしている人にとっては不安になりますよね。

鈴木
鈴木

僕も徹底的にリサーチしましたが、実はこれらのネガティブな意見の多くは、「マットの選び方を間違えた」あるいは「間違った素材を使ってしまった」ケースがほとんどだということが分かりました。

最も典型的な失敗例が、「安価なビニール(PVC)製のマット」や「ゴム製のマット」を使用してしまったパターンです。これらは、導入コストは安いものの、長期間の使用において致命的な欠点を持っています。それが「化学変化による汚染」です。

少し専門的な話をすると、柔らかい塩化ビニル製品(クッションフロアやソフトマット)には、柔軟性を持たせるために「可塑剤(かそざい)」という添加剤が含まれています。

この可塑剤を含んだ素材同士、あるいはゴム製品が長時間接触し、さらに圧力が加わると、成分が接触面を超えて相手側に移動する現象が起きます。これを「可塑剤移行(マイグレーション)」と呼びます。

この現象が起きると、床材が黄色や茶色に変色したり、マットがドロドロに溶けて床と完全に癒着(くっついて離れない状態)したりします。

これは表面の汚れではなく、床材の素材そのものが変質・染色されてしまっているため、洗剤で拭いても絶対に取れませんし、削り取ることもできません。

「床を守るためにマットを敷いたのに、マットの成分が溶け出して床をダメにした」という、本末転倒な悲劇がここで生まれるのです。

「いらない派」の人たちは、こうした質の悪いマットによる被害を経験したか、あるいはその情報を見て「マット=悪」と判断してしまっていることが多いのです。しかし、後述する「ポリカーボネート製」のような化学的に安定した素材を選べば、このリスクはほぼ回避できます。つまり、悪いのはマットそのものではなく、「素材の選定ミス」なのです。

注意:ゴム製品は絶対にNG!
冷蔵庫の脚についている黒いゴムや、ホームセンターで売っている「防振ゴム」を、クッションフロアに直置きするのは絶対に避けてください。
「ゴム汚染」と呼ばれる現象により、接触部分が真っ黒に変色し、二度と消えなくなります。防振ゴムを使う場合は、必ず間にプラスチック板や紙を挟んで絶縁してください。

へこみ防止のメリット

先ほどのセクションで「賃貸ならへこみは弁償しなくていい」とお伝えしましたが、それでも僕は「へこませないに越したことはない」と考えています。なぜなら、一度できた深いへこみは、生活する上で地味ながらも確実なストレスになるからです。

特に、賃貸物件のキッチンや洗面所で広く採用されている「クッションフロア(CF)」は要注意です。この素材は発泡層を含んでおり、踏み心地が柔らかいのが特徴ですが、物理的には「粘弾性体」としての性質を持っています。

短時間の荷重ならゴムのように元に戻りますが、冷蔵庫のように年単位で重い荷重がかかり続けると、素材内部の高分子鎖が滑り、恒久的な変形が生じます。これを「クリープ変形」と呼びます。

クリープ変形で深く沈み込んでしまった床は、冷蔵庫を撤去しても二度と元の平らな状態には戻りません。見た目がボコボコして悪いのはもちろんですが、実用上の問題も生じます。

例えば、将来的に冷蔵庫を買い替えた際、新しい冷蔵庫の脚の位置が前のへこみと微妙にずれていると、冷蔵庫が傾いて設置されてしまうのです。冷蔵庫が傾いていると、ドアが勝手に開いてしまったり、冷却装置のコンプレッサーに負荷がかかって異音の原因になったりします。

硬質のマットを敷く最大のメリットは、この荷重を「点」から「面」へと分散できることです。脚の設置面積がわずか数平方センチメートルであるのに対し、マット全体で受け止めれば接地圧は何十分の一にも軽減されます。

これにより、クッションフロアのような柔らかい床材であっても、致命的なクリープ変形を防ぐことが可能になるのです。退去時にお金がかからないとしても、住んでいる間の快適性や、次の設置のスムーズさを考えれば、へこみ防止には十分な価値があります。

デメリットのカビ対策

冷蔵庫マット導入における唯一にして最大のリスク、そして「マット不要論」のもう一つの大きな根拠となっているのが「カビ」の問題です。ここに関しては、僕も正直にリスクをお伝えしなければなりません。

キッチンはただでさえ湿度が高い場所です。さらに冷蔵庫は、内部を冷やすために外部へ熱を放出しており、冷たい空気と暖かい空気がぶつかる場所では結露が生じやすくなります。もし、飲み物をこぼしたり、結露した水滴がマットと床の間の微細な隙間に入り込んでしまったらどうなるでしょうか。

毛細管現象によって奥深くまで浸透した水分は、マットによって蓋をされているため蒸発できず、逃げ場を失います。そこへホコリや食品カスといった栄養分があれば、カビにとっては天国のような環境となります。何年も放置した後に冷蔵庫をどけたら、床一面がカビで真っ黒になっていた……という話は、決して脅しではありません。

しかし、これも対策を知っていれば防げる問題です。まず重要なのは「敷きっぱなしにしない」という意識です。とは言っても、重い冷蔵庫を頻繁に動かすのは無理ですよね。そこで推奨されるのが、以下の2点です。

  1. 透明度の高いマットを選ぶこと: 半透明や色のついたマットだと床の異変に気づけませんが、クリアなポリカーボネート製なら、水が入ったりカビが生え始めたりした際にすぐに視認できます。
  2. かさ上げスタンドの併用: カビがどうしても心配な方は、シート状のマットではなく、冷蔵庫の脚の下に敷くブロック状の「かさ上げ台(例:あしあげ隊など)」を使用するか、マットの上にかさ上げ台を置いて併用することをお勧めします。
    これにより床と冷蔵庫の間に数センチの空間が生まれ、通気性が劇的に向上します。空気が流れれば湿気は滞留せず、カビのリスクは激減します。

カビが怖いからといって床の保護を放棄するのではなく、「カビさせない素材と構造」を取り入れるのが正解です。定期的に(例えば年に一度の大掃除で)懐中電灯で下を照らしてチェックするだけでも、最悪の事態は防げます。

冷蔵庫マットの必要性を実感するには

では、リスクを回避しつつ床を守るためには、具体的にどんなマットを選べばいいのでしょうか。

市場には様々な製品が溢れていますが、僕がこれまでの経験と調査から自信を持っておすすめするのは、アイリスオーヤマなどで販売されている「ポリカーボネート製」のマットです。なぜこれ一択なのか、その理由を詳細に解説します。

おすすめはポリカーボネート

ゴキブリやカビのリスクがある「悲劇のPVC製」と、耐久性が高く安全な「正解のポリカーボネート製」を対比させたイラスト。
PVC製とポリカーボネート製の比較

冷蔵庫マットの素材は大きく分けて「PVC(塩化ビニル)」「ゴム」「ポリカーボネート」の3種類がありますが、現在選ぶべきなのは間違いなく「ポリカーボネート」です。

これは航空機の窓や防弾ガラス、スーツケースなどにも使われるエンジニアリング・プラスチックの一種で、プラスチックの中でも最高クラスの耐衝撃性を持っています。ハンマーで叩いても割れないほどの強度です。

素材ポリカーボネートPVC(塩化ビニル)ゴム
強度(硬さ)非常に硬い柔らかい弾力あり
変色リスク極めて低い高い(可塑剤移行)激高(ゴム汚染)
耐熱性約120℃60〜80℃程度製品による
価格3,000円〜1,500円〜1,000円〜
冷蔵庫マットの素材別性能比較表

表を見れば一目瞭然ですが、ポリカーボネートは「硬さ」と「化学的安定性」において他の素材を圧倒しています。ペラペラのビニールシートとは違い、しっかりとした板状の硬さがあるため、重い冷蔵庫が乗ってもキャスターが沈み込むことがありません。これにより、床への荷重分散効果が最大限に発揮されます。

また、アイリスオーヤマなどの大手メーカー製ポリカーボネートマットは、可塑剤を含まない製品が多いため、長期間敷きっぱなしにしても床への色移りや癒着のリスクが極めて低いのが特徴です。

鈴木
鈴木

僕も実際に自宅で使用していますが、設置から数年経っても透明度はそのままで、黄ばみも全く見られません。

価格はPVC製より少し高くなりますが、床をダメにするリスクを考えれば、ここへの投資は絶対に惜しむべきではないですね!

ゴキブリや虫が寄り付かない

透明度の高いマットで床の異変を発見することや、かさ上げ台との併用で通気性を確保し、カビや虫の発生を防ぐ方法を示した図。
カビと虫を防ぐための対策

「マットの下がゴキブリの巣になる」……想像するだけでゾッとする話ですが、これは実際に起こり得るリスクです。なぜなら、ゴキブリ(特にチャバネゴキブリ)は「暗くて」「狭くて」「暖かくて」「湿気がある」場所を好む習性があるからです。冷蔵庫の下は、コンプレッサーの熱と結露による湿気があり、まさに好条件が揃っています。

ここで問題になるのがマットの形状です。柔らかいPVCやビニール製のマットは、経年劣化で端がめくれ上がったり、重みで歪んで反り返ったりしやすい性質があります。こうしてできた「床とマットの間のわずかな隙間」こそが、ゴキブリにとって最も安心できる隠れ家(コロニー)となってしまうのです。

その点、ポリカーボネート製のマットは非常に硬質であるため、反り返りやめくれがほとんど発生しません。床に対してフラットに密着するため、虫が入り込む物理的な隙間を与えないのです。さらに、表面がガラスのようにツルツルしているため、汚れが付着しても拭き取りやすく、虫のエサとなるゴミや油汚れの滞留を防ぎやすいというメリットもあります。

もしあなたが極度の虫嫌いで、万全を期したいのであれば、先ほど紹介した「かさ上げ台」の併用を強くお勧めします。マットの上にさらに脚付きの台を置いて冷蔵庫を持ち上げることで、床下に5〜10cmほどの明確な空間が生まれます。

こうなると、そこはもう「狭い隙間」ではなくなり、風通しの良い空間となります。何より、掃除機のノズルやクイックルワイパーが奥まで届くようになるため、ホコリやゴミを定期的に除去でき、ゴキブリが住み着く環境を根本から破壊することができます。

床暖房でも使える耐熱性

最近の戸建てや分譲マンションでは、キッチンの足元まで床暖房が入っているケースが増えています。ここで注意しなければならないのが「耐熱温度」です。安価なプラスチックやビニール製のマットの中には、耐熱温度が60℃〜70℃程度のものがあります。

床暖房自体はそこまで高温にはなりませんが、冷蔵庫の放熱と合わさることでマットが軟化・変形したり、最悪の場合、溶けてフローリングのワックスと反応し、ガッチリと張り付いてしまったりする事故が報告されています。

対して、ポリカーボネートの耐熱温度は約120℃〜130℃と非常に高温です。これは沸騰したお湯をかけても変形しないレベルであり、床暖房の熱程度ではびくともしません。さらに、ポリカーボネートには「自己消火性」という優れた特性があります。これは、万が一火がついても、火源がなくなれば自然に火が消える性質のことです。

火気を扱うキッチン周りで使用するアイテムとして、この安全性は非常に心強いポイントです。燃え広がりやすい石油製品のマットを敷くよりも、防災の観点からもポリカーボネート製を選ぶべき理由がここにあります。

サイズ選びと設置方法

冷蔵庫マットのサイズはひと回り大きいものを選ぶこと、設置は必ず搬入前に行うことの重要性を解説したカレンダーとイラスト。
失敗しないマット選びの2つの絶対ルール

さあ、ポリカーボネート製マットを買おうと決めたあなた。最後に絶対に失敗してはいけないのが「サイズ選び」です。「大は小を兼ねる」と言いますが、冷蔵庫マットに関してはまさにその通り。いや、むしろ「小は無意味」と言っても過言ではありません。

必ず冷蔵庫のカタログや仕様書で「幅」と「奥行き」を確認し、それよりも「ひと回り(数センチ以上)大きいサイズ」を選んでください。

もしギリギリのサイズを選んでしまうと、設置の際に少しでもズレたときに、キャスターがマットの端に乗っかってしまう可能性があります。これでは段差で冷蔵庫が傾いて危険ですし、キャスターに集中荷重がかかってマットが割れたり、端から床に圧力が伝わって傷がついたりします。

メーカーごとにS(200L以下)、M(~500L)、L(~600L)、LL(600L以上)といったサイズ展開がされていますが、表記サイズ(cm)を実測値と照らし合わせることが重要です。特に奥行きは、放熱スペースを含めた設置位置を考慮して、余裕のあるものを選びましょう。

設置のタイミングは「搬入前」一択!

冷蔵庫マットは、絶対に新しい冷蔵庫が届く前に用意しておいてください。配送業者さんは、到着時にマットがあれば「あ、ここに敷くんですね」と手際よくその上に設置してくれます。

しかし、後から自分で敷こうとすると、100kg超の冷蔵庫を持ち上げなければならず、大人2人でも腰を痛めるレベルの重労働になります。事実上、後からの設置は不可能だと思ってください。

冷蔵庫マットに関するよくある質問

Q1. 冷蔵庫を設置した後からでもマットを敷くことはできますか?

A. 自力で行うのは非常に困難で危険です。冷蔵庫は空の状態でも100kg近くあるため、持ち上げて敷くには大人2〜3人の力と技術が必要です。無理をすると床を傷つけたり腰を痛めたりする原因になります。どうしても後から敷きたい場合は、便利屋などの専門業者に依頼するか、家具移動用の専用リフター(ジャッキ)を使用することをお勧めします。

Q2. 100円ショップのマットやジョイントマットで代用してもいいですか?

A. 推奨しません。100均のマットや一般的なジョイントマットは耐荷重性が低く、冷蔵庫の重みに耐えられずに潰れたり破損したりします。また、長期間圧力がかかると素材が床に癒着(張り付き)したり、色移りしたりするリスクが高いため、結果的に修繕費用が高くつく可能性があります。

Q3. マットの下にカビが生えてしまった場合の対処法は?

A. 軽度のカビであれば、消毒用エタノール(アルコール)を含ませた布で拭き取ることで除去できます。カビキラーなどの塩素系漂白剤は床材を変色させる恐れがあるため、フローリングやクッションフロアには使用しないでください。黒ずみが床材の内部まで浸透している場合は、専門業者による補修が必要になります。

Q4. ニトリやカインズなどのホームセンターで買う際の注意点は?

A. 必ず「素材」と「耐熱温度」を確認してください。パッケージに「ポリカーボネート製」と記載があり、かつ「床暖房対応(耐熱120℃前後)」となっているものが安全です。安価な「塩化ビニル(PVC)樹脂」製のものは変形や変色のリスクがあるため、長期使用には不向きです。

結論:冷蔵庫マットの必要性は絶対にある

冷蔵庫マットは単なるアクセサリーではなく、数千円で家の資産価値を守る「保険」であるという結論を示したシールドのイラスト。
未来の後悔を防ぐ賢い保険

いろいろと詳しくお話ししてきましたが、僕の結論として、冷蔵庫マットの必要性は「絶対にあり」です。

数千円(高くても5,000円程度)の初期投資で、退去時の高額な原状回復トラブル、新築フローリングへの不可逆的なダメージ、そして床の変色や腐食といったリスクを未然に防げるなら、これほどコストパフォーマンスの良い保険はありません。

「いらない」という意見もありますが、それは多くの場合、不適切な素材を選んでしまった結果の失敗談です。

もし迷っているなら、悪いことは言いません。「透明で硬いポリカーボネート製」を選んでください。そして可能であれば、信頼できるメーカー(アイリスオーヤマなど)の製品を選びましょう。

これさえ敷いておけば、数年後に冷蔵庫を動かしたとき、「敷いておいて本当によかった」と心から思える日が必ず来ます。床の傷に怯えることなく、安心して新しい生活を楽しんでくださいね。