冷蔵庫は冷えないのに冷凍庫は冷える|原因と修理・買い替え判断

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冷蔵庫は冷えないのに冷凍庫は冷える|原因と修理・買い替え判断

こんにちは。家電ジャーナルの鈴木です。

いつもは当たり前のように冷えている冷蔵庫が、ある日突然「冷蔵室だけぬるい気がする」という状態になったら、誰でも焦りますよね。特に、冷凍室に入っているアイスクリームや冷凍食品はカチコチに凍っているのに、冷蔵室のビールや野菜、卵だけが冷えていないという奇妙な現象。

実はこれ、僕が働いている家電量販店の店頭でも、お客様から毎日のように相談を受ける「冷蔵庫トラブルあるある」の筆頭なんです。「完全に壊れたわけではなさそうだけど、故障なの?」「修理したら高いの?」と不安になりますよね。

この現象は、コンプレッサーという心臓部が生きているからこそ起こる症状で、原因はかなり特定しやすいんです。

今回は、現役販売員兼エンジニアの視点から、この不可解な症状の正体と、プロが教える解決策を徹底的に解説します。

この記事に書いてあること

  • 冷凍室だけ冷えて冷蔵室が冷えない原因は主に3つの部品にある
  • メーカー別のエラーコードやランプ点滅で故障箇所を特定する方法
  • 自分でできる電源リセットや霜取りといった応急処置の具体的な手順
  • 高額になりがちな修理代と省エネ性能を比較した買い替えの基準

冷蔵庫は冷えないのに冷凍庫は冷える時の3つの原因

冷蔵室だけ冷えず冷凍庫は冷える状態の図解。心臓部であるコンプレッサーは正常に稼働しているため、全故障ではなく、冷気を運ぶ「道」や「ファン」のトラブルである可能性が高いことを解説するイラスト。
冷凍庫は冷えるなら心臓部(コンプレッサー)は正常

「冷凍庫はガンガンに冷えているのに、なぜか冷蔵室だけが常温に戻っていく」
この不思議な現象、実は冷蔵庫の構造を知ると「なるほど」と納得できる理由があるんです。

結論から言うと、冷気を作るエンジン(コンプレッサー)は元気なのに、冷気を運ぶ「道」や「運び屋」がトラブっている状態なんですね。もしコンプレッサーが壊れていたら、冷凍室も含めて全室が冷えなくなりますから、ある意味で「最悪の事態」は免れているとも言えます。

では、一体何が起きているのか? エンジニア視点でそのメカニズムを3つに分解して解説します。

霜取りセンサーやヒーターの故障

冷凍庫(工場)で作った冷気をファン(トラック)とダクト(道)を使って冷蔵室(家)へ届ける仕組みのイラスト解説。霜詰まりやファン故障のイメージ。
冷蔵庫の冷気が届く仕組みと故障箇所

一番多い原因がこれ、「霜(フロスト)」による冷気の渋滞です。
皆さんは、冷蔵庫の冷気がどこで作られているかご存じですか? 実は、一般的な家庭用冷蔵庫(ファン式)の場合、冷気を作っている「冷却器(エバポレーター)」という部品は、冷凍室の奥にひとつだけ付いています。

冷蔵庫は、このたったひとつの冷却器で作られたマイナス20℃以下の冷気を、ファンを使って上段の冷蔵室や野菜室へとお裾分けすることで冷やしているんです。しかし、この冷却器は非常に冷たくなるため、空気中の水分が結露して、放っておくとすぐに氷の塊(霜)で覆われてしまいます。

通常は、冷蔵庫が自動的に「霜取りセンサー」で霜を検知し、「霜取りヒーター」で定期的に氷を溶かしているのですが、これらの部品が故障するとどうなるでしょう?

霜取り機能が働かなくなると、冷却器に付いた氷が溶けずに成長し続け、最終的には巨大な氷の壁となってしまいます。この氷が、冷蔵室へと続く「冷気の通り道(ダクト)」を物理的に塞いでしまうのです。

結果、冷気の発生源に近い冷凍室だけは氷からの冷気で冷えますが、遠くにある冷蔵室には風が一切届かなくなり、温度が上昇してしまいます。

もし、冷凍室の奥の壁を目視して、うっすらと雪のような霜が付着していたり、ケースを引き出した奥に氷が見えたりする場合は、この「霜取り機能の故障」が濃厚です。これは自然治癒することがなく、修理しない限り氷は増え続けます。

冷却ファンの異音や回らない症状

次に考えられるのが、冷気を庫内全体に送る「冷却ファン」の不調です。
先ほどお話しした通り、冷蔵庫は冷凍室で作った冷たい空気を、ファン(扇風機のようなプロペラ)で循環させています。これを「強制対流」と呼びます。

もしこのファンモーターが寿命で回らなくなったり、基板からの信号が途絶えたりすると、強制的に風を送ることができなくなります。そうなると、空気の移動は「重力」だけが頼りになります。

冷たい空気は重いため、下にある冷凍室には自然と溜まります(滞留します)。しかし、上にある冷蔵室へは、ファンで力強く押し上げない限り、冷気は絶対に届きません。これが「下(冷凍)は冷えるけど、上(冷蔵)は冷えない」という、上下で温度差がくっきり分かれる状況を作り出す原因です。

故障のサインかも?

故障する直前に、庫内から「ブーン」「ガラガラ」「カラカラ」といった異音が聞こえていませんでしたか?
これは、ファンの軸がブレていたり、成長した霜がファンの羽根に接触していたりする音です。

もし異音がして、その後パタリと音が止んで無音になったなら、ファンモーターが完全にロックして停止した可能性が高いです。

冷蔵室のドアを開けて、ドアスイッチ(庫内灯のスイッチ)指で押しても奥から風の音がしなければ、ファン停止確定です。

ダンパーの凍結による冷気の遮断

3つ目は、冷蔵室専用のドアマンである「ダンパー」のトラブルです。
ダンパーとは、冷蔵室と冷凍室の間にある「冷気の通り道」に設置された、電動の仕切り弁のことです。この弁は、冷蔵室の温度センサーと連動してパタパタと動いています。

  • 冷蔵室が設定温度より暑いとき → ダンパーが開く(冷気を入れる)
  • 冷蔵室が冷えすぎたとき → ダンパーが閉じる(冷気を遮断する)

このダンパーが、何らかの原因で「閉じたまま」動かなくなってしまう(閉鎖固着)ことがあります。モーターの故障やギアの破損もありますが、意外と多いのが「隙間に水滴が入り込んで凍りつき、接着剤のように弁を固定してしまう」ケースです。

こうなると、いくらコンプレッサーが元気に冷気を作り、ファンが正常に風を送っていたとしても、冷蔵室への入り口が物理的に閉ざされているので、冷蔵室は絶対に冷えません。まるで、エアコンの風が出ているのに部屋のドアを閉め切っているような状態ですね。

鈴木
鈴木

逆にダンパーが「開いたまま」壊れると、冷凍室のマイナス20℃の冷気が冷蔵室に入り続け、ビールが凍ったり野菜がシャーベットになったりします。

今回は「冷えない」症状なので、「閉じたまま」の故障が疑われます。

日立やパナソニックのエラー確認

PanasonicのH35/U10エラーコードや、日立・シャープ等のランプ点滅・鍵マークによる故障サインの確認方法。
主要メーカー別・冷蔵庫のエラー表示確認

「原因はわかったけど、結局うちの冷蔵庫はどこが悪いの?」
そう思った方、まずは冷蔵庫の自己診断機能をチェックしましょう。最近の冷蔵庫は非常に賢く、不具合が起きると操作パネルにエラーコードを表示して教えてくれます。

パナソニックの場合
操作パネルの温度表示部分に、「H」や「U」から始まる英数字が表示されていませんか?

コード内容プロの解説・対策
U10ドア開放異常ドアがしっかり閉まっていません。
食品の挟まりやパッキンの汚れを確認してください。
H35冷却ファン/霜取り異常今回の症状のドンピシャです。
ファンが回っていないか、霜取りができずにロックしています。修理が必要です。
H28/H29機械室ファン異常背面のコンプレッサーを冷やすファンが止まっています。
放熱できず冷却力が落ちます。

特に「H35」が出ている場合、先ほどお話ししたファンや霜取り系のトラブルである可能性が非常に高く、部品交換がほぼ必須となります。


日立の場合
日立は液晶表示がないモデルの場合、「鍵マーク」や「冷蔵」などの文字ランプが点滅する回数で知らせてくれます。

  • 鍵マークが12回点滅:庫内ファンモーターの異常。ファンが回っていません。
  • 鍵マークが4回点滅:霜取り制御の異常。霜が取れていません。

点滅のパターンは機種によって異なりますが、取扱説明書やスマホで「日立 冷蔵庫 点滅 ○回」と検索すると、すぐに詳細な原因がわかりますよ。

シャープ等のランプ点滅と診断

シャープの冷蔵庫、特にプラズマクラスター搭載モデルなども、ランプの点滅パターンで故障箇所を教えてくれます。

よくあるのが、庫内の温度調節ランプ(弱・中・強)などが「5つ同時にパカパカ点滅」したりするパターン。これは基板やセンサー系の総合的な異常を示していることが多いです。また、エラー表示が出なくても、冷蔵室の奥から「コンコン」「カチカチ」というノックのような音が聞こえる場合は、ダンパーが動こうとして動けない(氷に引っかかっている)音である可能性が高いです。

注意点

「エラーランプが点いていないから故障じゃない」とは限りません。センサー自体がボケてしまっている場合や、完全に壊れる手前の段階ではエラーが出ないこともあります。

あくまで「出たらラッキー(特定しやすい)」くらいの目安として捉えてくださいね。

冷蔵庫は冷えないのに冷凍庫は冷える時の対処法

「原因はわかった。でも、修理を頼むと時間がかかるし、自分で直せるなら今すぐ直したい!」
その気持ち、痛いほどわかります。食材がダメになる前にどうにかしたいですよね。

もし部品が物理的に破損していたら交換しかありませんが、一時的なコンピューターの誤作動や、軽い氷詰まりなら、ユーザー自身のアクションで劇的に復旧することもあるんです。

僕が店頭でお客様に「修理を呼ぶ前に一度だけ試してみてください」とこっそり教える応急処置をお伝えします。

コンセントを抜く電源リセット

コンセントを抜いてリセットする手順。コンプレッサー保護のため、必ず10分以上待ってから差し直す必要があるという注意喚起。
冷蔵庫の電源リセットと待機時間

まず最初に試してほしいのが、家電トラブルシューティングの基本、「再起動(電源リセット)」です。
冷蔵庫の頭脳であるマイコンが、落雷やノイズ、長期間の連続運転で一時的にバグを起こし、ダンパーの開閉タイミングがずれたり、ファンの回転指令が出せなくなったりしているだけの可能性があります。

手順は極めてシンプル。電源プラグをコンセントから抜くだけです。

【絶対厳守】すぐに差さないで!

ここが一番重要です。プラグを抜いたら、必ず10分以上待ってから差し直してください。

コンプレッサーが動いている直後は、配管内のガス圧が非常に高くなっています。この状態でいきなり再通電すると、コンプレッサーのモーターに過大な負荷がかかり、ヒューズが飛んだり、最悪の場合コンプレッサーが焼き付いて完全に故障したりします。

圧力が安定するまで、最低でも5分、できれば10分間のクールダウンが必要です。

10分後にプラグを差し込み、半日ほど様子を見てください。もしこれで冷蔵室が冷えてくれば、一時的な制御トラブルだったということで解決です。

扉を開けて霜を溶かす応急処置

冷蔵庫の中身をクーラーボックスへ移し、全てのドアを開けて24時間放置する手順。氷が溶けて水漏れするため床にタオルを敷く図解。
24時間扉全開による霜取り手順

「電源リセットしても直らなかった…」
その場合、内部のダクトが氷でガチガチに詰まっている可能性が高いです。これを解消する最強(かつ荒療治)な方法が、「24時間全開放」です。

中途半端に電源を切るだけでなく、すべてのドアを開け放って、丸一日(24時間)放置します。庫内の断熱性能は非常に高いため、ドアを閉めたままだと中の氷が溶けるのに2~3日かかってしまいます。ドアを開けて外気を取り込み、庫内の氷を完全に溶かしきることで、塞がっていた風の通り道を復活させる作戦です。

準備するもの・手順

  1. クーラーボックス:食品はすべて退避させます。
  2. バスタオル数枚:ここが重要です。内部の大量の氷が溶けると、背面の蒸発皿から水が溢れ出し、床が水浸しになるリスクがあります。冷蔵庫の下や庫内にタオルを敷き詰めてください。
  3. 扇風機:庫内に向けて風を当て続けると、氷が溶けるスピードを早めることができます。

この作業を行って、冷蔵庫の下から水が出てきたり、タオルがびしょ濡れになったりすれば、それだけ大量の氷が詰まっていた証拠です。24時間後に再度電源を入れ、冷えるようになれば、「霜取り系のトラブル」か、あるいは「ドアの半開きによる一時的な着霜」が原因だったとわかります。

部品交換にかかる修理代の相場

「リセットしてもダメ、霜取りして一旦直ったけど数日でまた冷えなくなった…」
残念ながら、こうなると部品自体の寿命・故障ですので、プロによる修理が必要です。メーカーに出張修理を依頼した場合、どれくらいの費用がかかるのか、2025年時点での相場をまとめてみました。

修理箇所費用目安(部品+技術+出張費)修理にかかる時間
センサー類交換1.5万円 ~ 2.5万円30分 ~ 1時間
冷却ファン交換2.0万円 ~ 3.5万円1時間 ~ 1.5時間
霜取りヒーター交換2.0万円 ~ 3.5万円1.5時間 ~ 2時間
基板交換2.5万円 ~ 4.5万円30分 ~ 1時間
冷媒ガス・コンプレッサー6.0万円 ~ 10万円超2時間以上(持ち帰り修理の場合も)

「冷蔵庫冷えない・冷凍庫冷える」のケースだと、ファンモーターや霜取りヒーターの交換になることが多いため、だいたい2万円~3.5万円くらいの見積もりになることが一般的です。

寿命を考慮した買い替えの判断

修理代を聞いて「うっ、高い…2万円もするのか」と思いましたよね。
ここで冷静に判断するために重要なのが、その冷蔵庫が「購入してから何年目か」という点です。

実は、家電メーカーが修理用の部品を保有している期間(補修用性能部品の保有期間)は、製造打ち切りから「9年」と決められていることがほとんどです。

(出典:Panasonic『補修用性能部品の保有期間』

もしお使いの冷蔵庫が購入から10年近く経っているなら、今回2万円かけて修理しても、半年後に別の部品(例えば心臓部のコンプレッサーなど)が壊れる可能性があります。しかも、その時には「もう部品がないので直せません」と断られるリスクが高いのです。

また、最新の冷蔵庫は10年前のモデルに比べて、断熱材の性能やインバータ制御の技術が飛躍的に向上しており、省エネ性能が格段に上がっています。400L〜500Lクラスの冷蔵庫なら、年間で3,000円〜5,000円近く電気代が変わることも珍しくありません。

私の結論:修理か買い替えかのボーダーライン

  • 購入から9年以内:修理を検討する価値あり。特に高機能モデルなら直したほうが安上がりです。
  • 購入から10年以上:迷わず買い替えをおすすめします。修理代を新しい冷蔵庫の購入資金に充てるのが、長期的には絶対にお得で安心です。

冷蔵庫は冷えないの故障に関連するよくある質問

Q1. 冷蔵庫は冷えないのに電気はつくのは故障ですか?

A. 庫内の照明と冷却システムは別の回路で動いているため、コンプレッサーが故障して冷えなくなっても電気(照明)だけはつくケースが多々あります。この場合、ガス漏れや霜取り機能の故障が疑われます。
より詳しい原因や確認ポイントについては、冷蔵庫が冷えないのに電気はつく原因と対処法の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。

Q2. 冷蔵庫は冷えないのに側面はずっと熱いのはなぜですか?

A. 側面が熱いのは、心臓部であるコンプレッサーが一生懸命動いている(放熱している)証拠です。コンプレッサーは動いているのに庫内が冷えない場合、「冷媒ガス漏れ」や「配管詰まり」の可能性があります。この場合、修理が高額になるため買い替えの検討が必要です。

Q3. 冷蔵庫は冷えないのに「ブーン」という音だけうるさいのは?

A. 冷却ファンに氷(霜)が接触している音か、冷えないためコンプレッサーが無理をして高速回転している音の可能性があります。特に、異音がした後に急に静かになり、そこから冷えなくなった場合は、ファンモーターの寿命やロックが疑われます。

Q4. 冷蔵庫は冷えないのにコンセントを抜くと直ることがあるのはなぜ?

A. 一時的な制御基板の誤作動(エラー)がリセットされたか、電源を切ったことでダクトを塞いでいた霜が溶けたためです。ただし、部品が故障している場合は数日〜数週間で同じ症状(冷えない)が再発する可能性が高いです。

冷蔵庫は冷えないが冷凍庫は冷える時の総まとめ

購入から9年以内なら部品在庫があるため修理、10年以上なら部品欠品リスクと省エネ性能を考慮して買い替えを推奨する分岐チャート。
冷蔵庫の修理vs買い替え判断チャート

今回は、冷蔵庫における「非対称冷却障害(冷凍室はOK、冷蔵室はNG)」について、原因から対処法まで詳しく解説しました。

  • 主な原因は「霜によるダクト詰まり」「冷却ファンの故障」「ダンパーの不具合」。
  • エラーコード(H35や点滅)が出ていないか確認する。
  • まずは「電源プラグを抜いて10分待つリセット」を試す。
  • 余裕があれば「24時間扉全開」で氷を溶かしきる荒療治もアリ。
  • それでもダメなら、購入年数(9年が目安)に合わせて修理か買い替えを決断する。

冷蔵庫が使えないと、食材はダメになるし、冷たい飲み物も飲めないしで、本当にストレスが溜まりますよね。この記事が、あなたの冷蔵庫トラブル解決のヒントになり、冷静な判断の手助けになれば嬉しいです。

もし「もう寿命かな…」と思って買い替えを検討される際は、ぜひ僕の他の記事も参考にしてみてくださいね。あなたのライフスタイルにぴったりの一台が見つかるはずです。

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