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こんにちは。家電ジャーナルの鈴木です。
最近の洗濯機には当たり前のように付いている機能ですが、実際に使ってみて「あれ、思ったより乾かないな」とか「なんとなく臭う気がする」と感じたことはありませんか。実は、僕も以前はそう感じていました。
洗濯機の部屋干しコースにあるデメリットや、縦型とドラム式での違い、電気代や時間に関する疑問を解消したいと考えている方は多いはずです。
せっかくの機能なのに、使い方が合っていないと逆にストレスになってしまうこともありますよね。
この記事では、そんな部屋干しコースに関する悩みを、僕自身の経験や調べた情報を交えながらわかりやすくお話ししていきたいと思います。
この記事に書いてあること
- 縦型洗濯機の送風機能が完全に乾かない理由とその構造
- 部屋干し臭が発生してしまう5時間の壁と菌の繁殖原因
- 乾燥方式によって天と地ほど変わる電気代のコスト差
- タオルのゴワつきを防ぎ快適に仕上げるための具体的対策
洗濯機の部屋干しコースにあるデメリットと原因

多くのユーザーが「部屋干しコース」に対して抱く不満やデメリットには、実は明確な理由があります。
洗濯機が故障しているわけではなく、そもそもの仕組みや物理的な限界、そして使用環境とのミスマッチが原因であることがほとんどです。
ここでは、なぜ期待通りに乾かないのか、なぜ臭いが発生してしまうのか、その根本的なメカニズムを深掘りして解説していきます。
縦型の部屋干しコースは乾かない仕組みなのか

縦型洗濯機をお使いの方で、「部屋干しコースで3時間運転したのに、蓋を開けたらまだ衣類が湿っていた」という経験をされた方は非常に多いのではないでしょうか。
初めてこの機能を使った時、僕も「これ、壊れてるんじゃないか?」と本気で疑った記憶があります。
しかし、結論から言うと、これは故障ではありません。縦型洗濯機の多くに搭載されている「部屋干しコース(風乾燥)」は、そもそも「衣類を完全に乾かすための機能ではない」からです。
この機能の正体は、メーカーによって「風乾燥」「エアジェット乾燥」「チューブドライ」など様々な呼び方をされていますが、その仕組みは共通しています。洗濯槽を高速回転させて強力な遠心力を発生させ、同時に蓋の吸気口から大量の空気(室内の風)を取り込んで衣類に当てるというものです。
ここで重要なのが、「ヒーター(熱源)を使っていない」という点です。ドライヤーで言えば、「冷風(COOL)」モードだけで髪を乾かそうとしているのと同じ状態なんですね。
熱を使わないため、衣類に含まれる水分を蒸発させるエネルギーが圧倒的に不足しています。あくまで、遠心力で水分を振り飛ばし、風を当てて表面の水分を少し飛ばすことしかできません。
そのため、取扱説明書をよく読むと、「化繊衣類(ジャージや合成繊維の肌着など)で3kgまで」といった非常に厳しい制限が書かれていることがほとんどです。吸水性の高い綿素材のタオルや、厚手のパーカーなどを詰め込んでこのコースを使っても、物理的に乾くはずがないのです。
ここがポイント
縦型洗濯機の「風乾燥」は、乾燥機というよりも「スーパー脱水モード」と捉えるのが正解です。
干す時間を短縮するために水分を限界まで減らすのが目的であり、取り出してそのまま着られる状態にする機能ではありません。
この「乾燥機だと思って使ったら、ただの長時間の脱水だった」という認識のギャップこそが、ユーザーが感じる最大のデメリットの正体です。まずはこの機能の限界を正しく理解することが、ストレスを減らす第一歩になります。
部屋干しコースで時間がかかる理由と限界
「部屋干しコース」を使うと、通常の洗濯コースに比べて運転時間が大幅に延びます。機種や設定にもよりますが、脱水工程だけで1時間から3時間近く回り続けることも珍しくありません。
「これだけ時間をかけたんだから、さぞかしカラッと乾いているだろう」と期待するのも無理はないですが、現実はそう甘くありません。なぜこれほど時間がかかるのに、乾きムラがあったり湿っていたりするのでしょうか。
最大の理由は、この機能が「設置環境の空気の状態に100%依存する」からです。先ほどお伝えした通り、縦型の送風乾燥は室内の空気を取り込んで衣類に当てます。

つまり、梅雨時や雨の日など、室内の湿度が80%や90%あるような状況では、湿気を含んだ重たい空気を衣類にぶつけ続けているだけになります。
これでは、水分が衣類から空気中へ移動することができず、いくら時間をかけても乾きません。
これを専門用語で「飽和水蒸気量」の問題と言いますが、空気中には温度ごとに含むことのできる水分の限界量があります。
湿気が既に充満している部屋では、コップの水が溢れそうな状態なので、それ以上衣類の水分を受け入れるスペースがないのです。
逆に、冬場の乾燥した時期であれば多少マシになりますが、今度は気温が低いため、やはり水分の蒸発効率は上がりません。
さらに見落としがちなのが、排水環境によるボトルネックです。乾燥運転中、洗濯機からは水分を含んだ空気が排出されたり、遠心分離された水が排水ホースを通って流れていきます。
もし、ご自宅の排水口(排水トラップ)に糸くずや汚れが詰まり気味だったり、排水ホースが本体の下で押しつぶされていたりすると、水や湿気がスムーズに抜けず、洗濯槽内に逆戻りしてしまいます。これでは、サウナの中で洗濯物を乾かそうとしているようなものです。
「3時間回しても乾かない」という場合、洗濯機の性能不足だけでなく、部屋の湿度や排水環境といった物理的な制約が壁になっているケースが非常に多いのです。
この「環境依存性の高さ」も、部屋干しコースの大きなデメリットと言えるでしょう。
部屋干し特有の臭いが発生する原因とは

部屋干しの悩みとして、乾燥性能と同じくらい深刻なのが「臭い」です。「洗い立てのはずなのに、雑巾のような臭いがする」「生乾きの嫌な臭いが部屋中に充満する」といった経験は誰にでもあると思います。
この不快な臭い、実は単なる「湿った布の匂い」ではなく、目に見えない細菌が繁殖している証拠なのです。
この臭いの主犯格とされているのが、「モラクセラ菌(Moraxella osloensis)」という常在菌です。この菌は、私たちの家庭内のどこにでも存在するありふれた菌ですが、衣類に残った水分と、洗濯で落としきれなかった皮脂やタンパク質汚れを餌にして爆発的に増殖します。
そして、増殖する過程で代謝産物として「4-メチル-3-ヘキセン酸」という揮発性の物質を出します。これが、あの雑巾のような悪臭の正体です。
ここで決定的に重要になるのが「時間」です。どんなに洗浄力の高い洗剤を使っても、菌をゼロにすることは不可能です。しかし、菌が増殖して臭い物質を出し始めるまでにはタイムラグがあります。
運命の「5時間の壁」
多くの研究や実験において、洗濯終了後、衣類が乾くまでに「5時間」を超えると、モラクセラ菌の増殖スピードが急激に上がり、臭いが発生するリスクが跳ね上がることが分かっています。
縦型洗濯機の「部屋干しコース(送風乾燥)」の最大の弱点はここにあります。この機能は完全乾燥させずに「半乾き」状態で終了することが多く、そこからさらにハンガーにかけて室内干しを行います。
すると、洗濯機の中での運転時間(数時間)+室内に干している時間(数時間)で、トータルの乾燥時間が容易に5時間を超えてしまうのです。
つまり、中途半端に時間をかけて乾かそうとすることが、皮肉にも菌にとって最高の培養環境を提供することになってしまいます。
さらに、洗濯機自体の汚れも無視できません。
洗濯槽の裏側には、洗剤の溶け残りやカビが結合した「バイオフィルム」が形成されやすいのですが、乾燥機能を使って槽内の温度と湿度が上がると、これらのカビや菌が活性化します。
汚れた洗濯槽で風乾燥を行うことは、カビの胞子をたっぷり含んだ風を、洗ったばかりの衣類に吹き付け続けているのと同じこと。これでは、臭いが取れるどころか、新たな汚染源となってしまいます。
乾燥機能を使うと電気代が高いという落とし穴

「部屋干しコース」や乾燥機能を頻繁に使うようになると、気になるのが電気代です。特に最近はエネルギー価格が高騰しているので、家計への影響は切実ですよね。しかし、同じ「乾燥」という名前が付いていても、洗濯機のタイプによって電気代には天と地ほどの差があることをご存知でしょうか。
最も注意が必要なのが、縦型洗濯乾燥機や、一部の低価格帯のドラム式洗濯機に採用されている「ヒーター式」の乾燥機能です。
これは、ドライヤーのような強力な電熱線ヒーターで空気を熱し、その熱風を衣類に当てて乾かす方式です。仕組みは単純ですが、消費電力が非常に大きく、1200W前後の電力を数時間にわたって使い続けます。
さらに、ヒーター式には「水冷除湿方式」というタイプがあり、これは乾燥中に湿った空気を冷やすために水道水を使い続けます。つまり、電気代だけでなく水道代までもが跳ね上がるのです。
| 乾燥方式 | 1回あたりのコスト目安 | 月間コスト(毎日使用) | 特徴 |
| 送風乾燥(ヒーターなし) | 約1.5円〜 | 約45円 | コストはほぼモーター代のみ。 乾かない。 |
| ヒーター式(縦型など) | 約50円〜100円 | 約1,500円〜3,000円 | 非常に高コスト。 ドライヤーを3時間使う感覚。 |
| ヒートポンプ式(ドラム式上位) | 約20円〜30円 | 約600円〜900円 | 省エネ。 エアコンの除湿と同じ原理で効率的。 |
※電気代は目安単価31円/kWh(税込)にて試算(出典:公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会)
表を見ていただければ分かる通り、ヒーター式の乾燥を毎日使うと、洗濯のみの場合(月額数百円)と比較して、電気代が10倍以上に膨れ上がる可能性があります。
僕の知人でも、「便利だから」と毎日乾燥まで回していたら、電気代の請求が前の月の倍になっていて青ざめたという人がいました。
「部屋干しコース」を利用する際は、自分の洗濯機がどの方式なのかを必ず確認し、コスト意識を持って運用しないと、経済的なデメリットが家計を直撃することになります。
衣類が縮むリスクとヒーター式の弊害
電気代の問題と並んで、ユーザーを悩ませるのが「衣類の傷み」です。特にヒーター式の乾燥機能を使う場合、槽内の温度は一時的に80℃近くまで上昇することがあります。この高温は、衣類の繊維にとって非常に過酷な環境です。
多くの衣類、特に綿製品やウールなどの天然素材は、熱を加えると繊維の中のタンパク質が変性したり、水分が急激に失われることで収縮しようとする性質があります。

お気に入りのTシャツが子供服のように縮んでしまったり、ニットがフェルトのように硬くなってしまった経験はありませんか?あれは完全に熱によるダメージです。
一度縮んでしまった繊維は、基本的には元に戻りません。
また、縦型洗濯機の構造的な問題もあります。ドラム式は衣類を上から下へ落とす「タンブリング」という動きで空気を含ませながら乾かしますが、縦型は遠心力で衣類が槽の壁面に張り付きがちです。張り付いた状態で高温の熱風を受け続けると、その部分だけ過剰に乾いて生地が劣化したり、取れないシワが定着したりします。
さらに、長時間の温風と回転による摩擦は、繊維の表面を毛羽立たせ、生地を痩せさせます。
タオルなどは新品の時はふっくらしていても、ヒーター乾燥を繰り返すうちにパイルが抜け落ち、薄くて硬い布になってしまいがちです。
「部屋干しコース」は便利ですが、大切な衣類やデリケートな素材には絶対に使わない、というのが賢い選択です。日常着とそうでないものを分ける手間が発生するのも、隠れたデメリットと言えるでしょう。
洗濯機の部屋干しコースのデメリット解消と活用法

ここまで、洗濯機の部屋干しコースがいかに「完璧ではない」か、そして数々のデメリットがあるかをお話ししてきました。
「じゃあ、結局使わない方がいいの?」と思われた方もいるかもしれませんが、そうではありません。機能の特性を正しく理解し、ちょっとした工夫を加えることで、デメリットを最小限に抑え、メリットを享受することは十分に可能です。
ここからは、僕自身が実践している具体的な対策や、目からウロコの活用法をご紹介します。
部屋干しコースはいらない?不要論の真実
縦型洗濯機の「送風乾燥(風乾燥)」に関しては、「全然乾かないし、時間もかかるから不要だ」という極論もよく耳にします。確かに、これを「乾燥機」として期待すると失望しかありません。しかし、視点を変えて「部屋干しのアシスト機能」として捉え直すと、非常に優秀なツールになります。
例えば、夜洗濯派の方には特におすすめです。夜に洗濯をして、部屋干しコースで1時間ほど水分をしっかり飛ばしてから部屋に干しておけば、翌朝にはかなり乾いた状態になっています。
朝起きてから外に出すとしても、干す時間を大幅に短縮できます。また、厚手のトレーナーやジーンズのポケット部分など、普通に脱水しただけでは乾きにくい箇所も、風乾燥を通すことで乾きムラが減ります。
また、「全部を乾かそうとしない」のもコツです。洗濯物の中から、乾きにくい厚手のものだけをピックアップして部屋干しコースにかけ、薄手のシャツや下着は通常の脱水で干す。こうすることで容量オーバーを防ぎ、風が効率よく当たるようになります。
僕のおすすめの最強セット
部屋干しコースの最大のパートナーは「サーキュレーター」です。洗濯機の風機能だけに頼らず、干した直後からサーキュレーターで下から風を当て続け、空気を循環させます。
これにより、衣類の周りにまとわりつく湿った空気の層を吹き飛ばし、「5時間の壁」をクリアする確率がグッと上がります。
臭いを防ぐ効果的な洗剤と使い方のコツ

臭いの原因が「モラクセラ菌」である以上、対策は「菌を減らす」ことと「菌を増やさない」ことに尽きます。そこで僕が強くおすすめしたいのが、洗剤の選び方と使い方です。
部屋干しの際は、通常の液体洗剤だけでなく、ぜひ「酸素系漂白剤(粉末タイプ)」を併用してください。「ワイドハイター」などの製品名で売られていますが、成分表示に「過炭酸ナトリウム」と書かれているものがベストです。
粉末の酸素系漂白剤は、水に溶けると活性酸素を出し、その強力な酸化力で繊維の奥に入り込んだタンパク質汚れを分解し、菌を除去します。色柄物にも使えるので、普段の洗濯にスプーン1杯足すだけで、部屋干し臭のリスクが劇的に下がります。
それでも臭いが取れない頑固なタオルやTシャツがある場合は、必殺技の「つけ置き洗い」を試してみてください。
- 洗面器やバケツに40℃〜50℃くらいのお湯を溜める(お風呂の残り湯より少し熱めが良いです)。
- 酸素系漂白剤を規定量溶かす。
- 臭う衣類を20分〜1時間ほど浸け置く。
- その後、洗剤液ごと洗濯機に入れていつも通り洗う。
熱と漂白成分のダブルパンチで、蓄積した菌を一網打尽にできます。これを月に一度やるだけでも、タオルの寿命が延びますよ。
また、洗濯槽クリーナーによる定期的なメンテナンスも必須です。月に一度は塩素系クリーナー等で槽洗浄を行い、カビの温床をリセットしましょう。
洗濯機がキレイでなければ、どんなに高級な洗剤を使っても意味がありません。
洗濯槽の掃除については以下の記事で詳しく解説しています。
>>洗濯機のワカメがなくならない!オキシクリーン掃除の注意点
ドラム式なら部屋干しコースの悩みは解決する
もし、あなたがこれから洗濯機の買い替えを検討していて、予算に少し余裕があるなら、思い切って「ヒートポンプ式」のドラム式洗濯機を選ぶことを強くおすすめします。これは、部屋干しコースのデメリットを根本から解決する唯一の手段と言っても過言ではありません。
ヒートポンプ式は、エアコンの除湿機能と同じ原理で、湿気を含んだ空気を熱交換器で除湿しながら、60℃前後の低温風で乾かします。ヒーター式のように80℃以上の高温にならないため、衣類の縮みや傷みが劇的に少なくなります。そして何より、エネルギー効率が良いため、電気代がヒーター式の半分〜3分の1程度で済みます。
ドラム式の場合、「部屋干しコース」という特別な機能を使うまでもなく、標準の「洗濯〜乾燥」コースのボタンを一つ押すだけで、2〜3時間後にはフワフワに乾いた状態で出てきます。「干す」という家事そのものが消滅するのです。
もちろん初期費用は高いですし、本体サイズも大きくなりますが、毎日の「干す手間」「取り込む手間」「乾かないストレス」「臭いの不安」から完全に解放される価値は計り知れません。僕もドラム式に変えてから、部屋干しの悩みとは無縁になりました。

ドラム式と縦型の比較については以下の記事で詳細に解説しています。
>>洗濯機はドラム式か縦型か?洗浄力と電気代を比べて最高の選択を
柔軟剤の使いすぎは逆効果になる理由

部屋干し臭を誤魔化そうとして、香りの強い柔軟剤を規定量より多く入れている方はいませんか?実はこれ、完全に逆効果になっている可能性が高いんです。
柔軟剤の主成分は「陽イオン界面活性剤」というもので、繊維の表面を油分の膜でコーティングすることで、滑らかさや香りを与えます。しかし、このコーティングが厚くなりすぎると、繊維が本来持っている「吸水性」が失われてしまいます。タオルが水を吸わなくなるのはこのためです。
吸水性が落ちると、脱水工程で水分が十分に抜けきらず、繊維の奥に水分が残りやすくなります。その結果、乾燥時間が余計にかかってしまい、菌が増殖する「5時間の壁」を超えてしまうのです。また、過剰な柔軟剤成分やすすぎ残しは、それ自体が菌の餌にもなります。
部屋干しをする時や、臭いが気になる時こそ、あえて「柔軟剤を使わない」あるいは「量を半分にする」という勇気を持ってください。代わりに、すすぎの時に「クエン酸」を小さじ1杯ほど入れると、石鹸カスを中和し、ふんわりと仕上げることができます。香りではなく、清潔さで臭いを防ぐという意識転換が大切です。
部屋干しコースでタオルがゴワゴワになる対策
縦型洗濯機の送風乾燥などを使うと、タオルが「バリバリ」「ゴワゴワ」に硬くなってしまうことがあります。顔を拭くときに痛いですよね。これは、強い遠心力で洗濯槽の壁に押し付けられたタオルのパイル(ループ状の繊維)が、ぺちゃんこに寝た状態で固定されて乾いてしまうことが原因です。
これを防ぎ、ホテルのようなふんわり感を取り戻すには、干す直前の「パイル起こし」という物理的な一手間が最強の対策になります。
パイル起こしのやり方(魔法の10回)
- 脱水や送風乾燥が終わったらタオルを取り出す。
- タオルの両端を両手でしっかりと持つ。
- 空気を切るように、バサッ!バサッ!と強めに10回〜20回ほど振る。
- パイルが立ち上がったのを確認してから干す。
たったこれだけの動作ですが、効果は絶大です。遠心力で寝てしまったパイル一本一本に空気が入り込み、立ち上がった状態で乾くため、乾燥機を使わなくても驚くほど柔らかく仕上がります。
柔軟剤を入れるよりも、この「振って干す」作業の方が、タオルの柔らかさには直結します。ぜひ今日の洗濯から試してみてください。
よくある質問:洗濯機の部屋干しコースのデメリットに関するQ&A
Q. ヒーター式の乾燥機能は電気代が高いと聞きましたが本当ですか?
A. はい、本当です。特に縦型洗濯乾燥機に多いヒーター式は、ドライヤーのような熱風を長時間使い続けるため、毎日使用すると電気代が月額で1,500円〜3,000円ほど上がる可能性があります。コストを抑えたい場合は「急ぎの時だけ使う」といったスポット利用をおすすめします。
Q. 夜に部屋干しコースを使っても近所迷惑になりませんか?
A. 騒音トラブルになるリスクがあります。特に縦型洗濯機の「送風乾燥(部屋干しコース)」は、水分を飛ばすために脱水槽を長時間高速回転させるため、通常の洗濯よりも「キーン」という高い回転音が響きやすくなります。集合住宅の場合、深夜の使用は避けたほうが無難です。
Q. 「部屋干し用」と書かれた洗剤を使わないと臭くなりますか?
A. 必須ではありませんが、使ったほうが安心です。部屋干し用洗剤は抗菌剤が多く配合されており、菌の増殖を抑える力が強いからです。ただ、手持ちの洗剤でも「酸素系漂白剤(粉末)」を併用すれば、部屋干し用洗剤と同等以上の消臭・除菌効果が期待できます。
Q. 浴室乾燥機と洗濯機の部屋干し機能、どっちがお得ですか?
A. 金額の安さなら「洗濯機の送風機能(ヒーターなし)」が圧倒的にお得です(1回数円)。しかし、確実に乾く速さと仕上がりを求めるなら、コストはかかりますが「浴室乾燥機」に軍配が上がります。洗濯機で少し水分を飛ばしてから、浴室乾燥で仕上げると、時間とコストのバランスが良くなります。
洗濯機の部屋干しコースのデメリットと付き合う方法まとめ
洗濯機の部屋干しコースには、確かに「乾ききらない」「時間がかかる」「電気代がかかる」「衣類が傷む」といった構造的なデメリットが存在します。
しかし、これらは「使えない機能」だからではなく、私たちがその特性や限界を知らずに、過度な期待をしてしまっていたことによるミスマッチが大きいのです。
自分の持っている洗濯機がヒーター式なのか送風のみなのかを正しく理解し、「完全乾燥は目指さず、予備乾燥として使う」「サーキュレーターや酸素系漂白剤と組み合わせる」「タオルは振ってから干す」といった運用での工夫を行えば、部屋干しコースは家事を助ける心強い味方になります。
大切なのは、機械に全てを任せきりにするのではなく、ちょっとした人間の知恵で補ってあげることです。
「今日は雨だから送風機能でアシストしよう」「臭いが気になるから今日はつけ置きしよう」といった柔軟な対応で、ストレスのない快適な洗濯ライフを送ってくださいね。