PR
こんにちは。家電ジャーナルの鈴木です。
ふとエアコンの風が「カビ臭いな」と感じて吹き出し口から中を覗き込んだとき、奥にあるファンにびっしりと黒いカビが付着しているのを見て、思わず息を止めてしまった経験はありませんか?あの衝撃的な光景を見てしまうと、もう今まで通りの気持ちで深呼吸なんてできませんよね。
「家族にこんな汚れた空気を吸わせていたなんて…」と罪悪感すら覚えるかもしれません。
市販の洗浄スプレーを吹きかけてみたり、割り箸にティッシュを巻き付けて突っ込んでみたりと、誰もが一度は試行錯誤するものです。しかし、構造上、奥に入り込んだカビは表面的な掃除では絶対に落ちません。
「いっそのこと、このファンを取り外してバケツで丸洗いしたい!」そう考えるのは、清潔を求める人として極めて正常な反応です。
実は僕も、家電業界に入る前、自宅のエアコンの汚れに愕然とし、見よう見まねで分解を試みて痛い目を見た経験があります。だからこそ、皆さんの「なんとかしたい」という焦る気持ちが痛いほどよく分かります。
しかし、現在は販売員として、そして技術的な構造を知るエンジニアとして断言できます。シロッコファンの取り外しは、エアコンメンテナンスにおける「最高難度のDIY」であり、メーカーや機種選びの段階から勝負は決まっているのです。
この記事では、カタログスペックには決して載らない「メンテナンス性」という裏側の視点から、各メーカーの分解難易度や、プロだけが知る構造上の罠、そして失敗しないための具体的な手順を包み隠さずお話しします。
あなたのエアコンが「天国(分解可能)」か「地獄(分解困難)」か、まずはそこから見極めていきましょう。
この記事に書いてあること
- 自分の家のエアコンが「自分で洗える機種」かどうかの見極め方がわかります
- 三菱、ダイキン、パナソニックなど主要メーカーごとの内部構造と分解リスクを完全に理解できます
- シロッコファンを外すために絶対に必要な「精度の高い工具」と、その工学的な理由を学べます
- ネジが固着して回らない、ファンが抜けないといった「絶体絶命のピンチ」への対処法を知れます
エアコンのシロッコファンの外し方とメーカー別難易度
「エアコンのファンを外す」と一口に言っても、実はメーカーや製造年、シリーズによってその難易度は天と地ほどの差があります。ある機種はドライバー1本で15分あれば外せますが、ある機種はプロが特殊工具を使っても1時間以上かかり、最悪の場合は破損のリスクと隣り合わせの作業になります。
ここでは、主要メーカーの設計思想(フィロソフィー)と構造的な特徴を深掘りし、あなたが持っているエアコンがどの難易度ランクに位置するのかを解説していきます。
三菱は簡単?メーカーごとの構造と難易度

結論から申し上げます。もしあなたがこれからエアコンを購入する、あるいは現在使用しているエアコンが三菱電機の「霧ヶ峰」シリーズであるなら、あなたは非常に幸運です。初めての分解洗浄に挑戦するなら、三菱製が圧倒的に、そして唯一無二の「正解」だからです。
なぜ三菱だけがこれほどまでにDIYユーザーや清掃業者から支持されるのか。その理由は、設計段階でメンテナンス性を最優先に考慮した「ドレンパン分離型」という構造を採用している点に尽きます。
通常のエアコンは、熱交換器(アルミフィン)で発生した結露水を受ける「ドレンパン(水受け皿)」が、本体のプラスチック枠(ケーシング)と一体成型されており、外すことができません。しかし、三菱の多くの機種(および富士通ゼネラルの一部機種)は、このドレンパンが独立したパーツとして設計されており、ネジやツメを外すだけで手前にガボッと取り外すことができるのです。
ドレンパンが外れると何が起きるか。シロッコファンの真下に広大な空間が生まれます。つまり、ファンをモーター軸から外した後、知恵の輪のような複雑な動きをすることなく、そのまま真下へストンと引き抜くことが可能になるのです。
この「熱交換器を一切動かさずにファンが抜ける」という事実こそが、エンジニア視点で見ても革命的なのです。熱交換器に繋がる冷媒配管に一切のストレスを掛けないため、ガス漏れのリスクが理論上ゼロに近く、安全性は段違いです。
「はずせるボディ」などのキャッチコピーは伊達ではありません。前面パネル、ルーバー、本体カバー、そしてドレンパンと、まるでプラモデルのように順序よく分解できる設計美は、エンジニアとして感動すら覚えます。
ただし、ドレンホースとドレンパンの接続部分には水が残っていることが多いので、外す瞬間にバケツを用意しておくのを忘れないでくださいね。
ダイキンや東芝で必要な左抜きの技術
さて、ここからが本題であり、多くのDIYチャレンジャーが挫折する壁です。ダイキン、東芝、シャープ、そして日立の多くの機種は、残念ながら「ドレンパン一体型」という構造をしています。これは、水受け皿が本体の背骨となるケーシングと一体化しており、破壊しない限り外れない設計です。
「なぜそんな不親切な設計にするの?」と思われるかもしれませんが、これは部品点数の削減によるコストダウンや、つなぎ目を無くすことによる水漏れリスクの低減という、メーカー側の合理的な理由があります。
しかし、メンテナンスする側からすれば悪夢です。ドレンパンが外れないため、ファンの下にはプラスチックの壁があり、下方向には絶対に抜けません。そこで必要になるのが、プロのクリーニング業者が使う奥義「左抜き(ひだりぬき)」という手法です。
手順はこうです。まず、室内機の左側の化粧パネル(側板)や電装パーツを全て取り外します。次に、熱交換器を左側で支えている「ホルダー」と呼ばれる部品のネジを外し、熱交換器の左端をフリーな状態にします。そして、ここからが最大の難所です。左手で熱交換器の左端を慎重に持ち上げ、生じた数センチの隙間に、右手で掴んだシロッコファンを滑り込ませ、左真横へ引き抜くのです。
ガス漏れリスクに注意
この「熱交換器を持ち上げる」という行為は、構造工学的に非常に危険です。熱交換器の右側は、室外機へと繋がる硬い銅管(冷媒配管)で固定されています。左側を持ち上げると、この右側の接続部を支点として銅管を「曲げる」力が加わります。
銅管は金属疲労に弱く、無理な角度まで持ち上げると簡単にクラック(亀裂)が入ったり、接合部のロウ付けが割れたりします。
もし「プシュー」という音が聞こえたら、それは冷媒ガスが漏れ出した音であり、そのエアコンは即座にただの送風機と化します。修理費用は数万円コースです。「左抜き」は、このリスクと隣り合わせの高等技術であることを忘れないでください。
パナソニックのお掃除機能付きは要注意
「うちは良いエアコンを買ったから大丈夫」と思っている方、ちょっと待ってください。もしそのエアコンがパナソニック製の「お掃除機能付き(お掃除ロボット搭載機)」、特に「Eolia(エオリア)」の上位モデルだとしたら、DIYでの分解は今すぐ考え直すべきかもしれません。難易度は「高い」を通り越して「激ムズ」、プロの業者ですら追加料金を請求する、あるいは依頼を断るレベルの機種が存在します。
最大の障壁は、ファンの前に鎮座する巨大な「お掃除ロボットユニット」です。このユニットは、フィルターのホコリを吸い取って外に排出するための複雑な機構を持っており、制御基板から伸びる配線(ハーネス)の数は尋常ではありません。ファンに到達するためには、まずこのユニットを丸ごと取り外す必要があるのですが、これがまさに「配線の迷宮」です。
まず、基板ボックスの中で絡み合う無数のコネクターを、正しい順序で抜かなければなりません。コネクターは極小で、無理に引っ張れば断線し、ラジオペンチで掴めばプラスチックのハウジングが割れます。さらに、配線は「手で適当に押し込む」のではなく、ミリ単位で設計されたルートを通ってフックに掛けられており、これを一度解くと、元通りに戻す(配回しを再現する)のは至難の業です。
組み立て時に配線が一本でも浮いていると、カバーが閉まらなかったり、無理に閉めて配線を挟み込み、ショートして発火したりする事故に繋がります。
隠しネジと特殊工具の罠
パナソニックの意地悪なところは、一見して分からない場所に「隠しネジ」があることです。ダストボックスの裏側や、ルーバーモーターのさらに奥など、懐中電灯で照らさないと見えない場所に固定ネジがあります。
さらに、一部の機種(CS-280DFL等)では、シロッコファンを固定しているネジが非常に固く、かつプラス溝が浅いために、通常のドライバーでは確実にナメてしまう仕様のものがあります。
これには「8mmのディープソケットレンチ」という特殊工具が正解なのですが、それを知らずに挑んで玉砕するDIYユーザーが後を絶ちません。
作業に必要な六角レンチなどの工具

「弘法筆を選ばず」と言いますが、エアコン分解においてその格言は通用しません。「道具の良し悪しが成功の8割を決める」、これが真実です。特にシロッコファンの分解において、絶対にケチってはいけない道具があります。それが「六角レンチ(ヘキサゴンレンチ)」です。
シロッコファンは、モーターの回転軸に対して「イモネジ(セットスクリュー)」と呼ばれる小さなネジで固定されています。このネジは、回転の遠心力で緩まないよう、工場出荷時に非常に強いトルクで締め付けられています。さらに、長年の使用による結露と乾燥の繰り返しで、ネジとネジ穴は錆びて固着しています。
ここに、100円ショップで買ったような精度の甘い六角レンチを差し込むとどうなるか。レンチとネジ穴の間にわずかな「遊び(隙間)」があるため、力を込めた瞬間に接触点に応力が集中し、柔らかい材質のレンチがねじれるか、あるいはネジ穴の内側が削れて円形に変形してしまいます。これを「ナメる」と言います。
一度ナメてしまったイモネジを、狭いファン内部で取り外すことは、プロでもほぼ不可能です。その時点で「完全分解」の夢は絶たれます。
| 必須工具名 | 規格・仕様 | 解説・推奨理由 |
| 高品質な六角レンチ | 2.5mm / 3mm | PB SWISS TOOLSやWeraなどのブランド品を強く推奨。 寸法精度が桁違いで、ネジ穴に「吸い付く」ような感覚があります。 ボールポイント側ではなく、本締め側を使ってください。 |
| 貫通プラスドライバー | No.2 / 軸長150mm以上 | ケーシングの奥にあるネジに届かせるため、軸の長いものが必要です。 ネジが固い場合、ハンマーで柄を叩いて衝撃を与えられる「貫通タイプ」だと安心です。 |
| ソケットレンチ | 8mm / ディープタイプ | 前述のパナソニック製などで必要。 プラスドライバーで回そうとせず、最初からこれを使えば失敗しません。 |
| 浸透潤滑剤 | KURE 5-56 / ラスペネ | 「転ばぬ先の杖」です。 回す前にひと吹きして時間を置くだけで、固着したネジが嘘のように回ることがあります。 |
エアコンのシロッコファンの外し方で失敗しない注意点
ここまで、メーカーごとの構造や必要な道具について解説してきましたが、いざ実際に作業を始めると、マニュアル通りにはいかない「予期せぬトラブル」に必ず直面します。エアコンは設置環境や使用年数によって内部の状態が全く異なるため、教科書通りの手順が通用しないことが多々あるのです。
ここからは、僕自身が過去に何度も冷や汗をかいた経験をもとに、作業中にぶつかる具体的な「壁」と、その乗り越え方を詳しく解説していきます。「無理をすれば壊れる」、これが家電分解における鉄則です。この章を読んで、引き返す勇気を持つ判断材料にしてください。
ネジが固着して回らない時の対処法

シロッコファン分解の最初の関門にして、最大の難所。それが「イモネジの固着」です。特に、購入してから5年以上一度もメンテナンスをしていないエアコンや、キッチンの近くに設置されていて油煙を吸い込んでいるエアコンの場合、ネジとネジ穴が錆や油汚れで完全に一体化してしまっていることがよくあります。ここに六角レンチを差し込んで、ちょっとやそっと力を入れたくらいではビクともしません。
ここで絶対にやってはいけないのが、「力任せに回すこと」です。焦って渾身の力でレンチを回そうとすると、固着したネジは回らずに、レンチとの接触面だけが削れ、六角形の穴が円形に潰れてしまいます。これを「ネジをナメる」と言いますが、こうなるともう絶望的です。
埋没しているイモネジを外側からペンチで掴むことは不可能ですし、ドリルでネジを破壊して取り除くといった高度な切削加工技術が必要になります。事実上、DIYでの分解はそこでゲームオーバーとなります。
では、固着していると感じたらどうすればいいのか。正解は「化学と物理の力」を借りることです。まず、KURE 5-56やラスペネといった「浸透潤滑剤」をネジの隙間にたっぷりと吹き付けます。そして、ここからが重要なのですが、すぐに回そうとせず、最低でも15分、できれば1時間ほど放置してください。潤滑剤がミクロの隙間に浸透し、錆の結合を内側から解きほぐしてくれるのを待つのです。
時間を置いても回らない場合は、物理的な衝撃を与えます。貫通ドライバー(金属の芯が柄まで通っているドライバー)の先端をネジ穴に当て、ハンマーで柄尻を「コン、コン」と軽く叩きます。この振動によって錆の固着に亀裂が入り、回るようになることがあります。
それでもダメなら、ドライヤーでファンボス(ネジ周辺のプラスチック部分)を温め、熱膨張を利用して隙間を作る方法もありますが、プラスチックを変形させないよう細心の注意が必要です。「固いな」と思ったら、無理せず時間をかける。これが鉄則です。
ファンが軸から抜けない場合の解決策
苦労してイモネジを緩めることに成功し、「よし、これで抜ける!」と思ってファンを引っ張ったのに、まるで接着剤で固定されているかのように全く動かない…。これも非常に多いトラブルパターンです。
原因の多くは「異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)」や、カビやホコリが水分を含んでセメントのように固まる現象です。モーターの回転軸(ステンレスや鉄)と、ファンの軸受け(真鍮や鉄)の間で微細なサビが発生し、両者が強固にロックされてしまうのです。
この状態で、ファンを力任せにグイグイ引っ張るのは非常に危険です。ファン自体はプラスチックなので多少の弾力がありますが、その奥にあるファンモーターは精密部品です。軸方向への強い引っ張り負荷がかかると、モーター内部の軸受け(ベアリング)が損傷したり、軸そのものが歪んだりしてしまいます。
その結果、苦労して掃除した後に組み立てて電源を入れると、「キュルキュル」「ゴゴゴ」といった異音が発生するようになり、最悪の場合はモーター交換(部品代だけで1万円以上)が必要になります。
対処法としては、まず軸とファンの隙間に潤滑剤を注入し、再び時間を置きます。その後、ファンを単に手前に引くのではなく、回転方向に小刻みに揺すったり、上下左右に優しく揺さぶったりしながら、じわじわと固着を剥がしていきます。「1ミリ動いた!」という感触があれば勝ち目があります。
しかし、何をしても全く動かない場合は、残念ながらそのエアコンは「分解不能」と判断すべきです。モーターを壊してまでファンを外すメリットはありません。プロの業者でも、固着がひどい場合は分解を断念して洗浄のみに切り替えることがあります。引き際を見極めるのも、DIYにおける重要なスキルの一つです。
外さないで100均ブラシで掃除する方法

「機種が難易度の高い一体型だった」「ネジが固着して外せなかった」「壊すのが怖くて分解を断念した」。そんな場合でも、諦める必要はありません。ファンを取り外さなくても、工夫次第で十分に綺麗にすることは可能です。ここで活躍するのが、意外にも100円ショップの掃除グッズです。
シロッコファンの羽根は湾曲しており、その内側にカビが溜まるため、通常のブラシでは届きません。そこでおすすめなのが、ダイソーやセリアで売られている「注ぎ口洗いブラシ」や「隙間ブラシ」です。これらは細くて柄に柔軟性があるため、ファンの羽根の隙間に差し込みやすく、奥の汚れを掻き出すのに適しています。
また、少し予算を出せるなら、ホームセンターなどで売っている「ファンファン」や「親方棒」といったシロッコファン専用の掃除グッズを使うと、羽根のカーブにフィットしてごっそりと汚れを削ぎ落とすことができます。
ただし、ブラシで擦るだけでは汚れが下に落ちるだけで、完全には除去できません。ここで組み合わせたいのが「加圧式噴霧器(蓄圧式スプレー)」です。園芸コーナーで1000円〜2000円程度で売られています。ブラシで汚れを浮かせた後、この噴霧器で水を勢いよく吹き付け、汚れを洗い流すのです。
このとき、絶対に市販の「エアコン洗浄スプレー」だけで済ませようとしないでください。噴射圧が弱いため、汚れを奥に押し込んで詰まらせてしまうリスクがあります。

エアコン洗浄スプレーのリスクについては、以下の記事でも詳しく解説しています。安易に使う前にぜひ一度目を通してみてください。
>>エアコン 洗浄スプレー 使ってはいけない理由とは?
カビを落とす洗浄剤と付け置きの手順

無事にシロッコファンを取り外せた勇者には、最高のご褒美が待っています。それは「カビの完全除去」です。取り外したファンは、お風呂場やベランダで丸洗いが可能です。表面的な拭き掃除とは異なり、薬剤にドブ漬けすることで、目に見えない菌糸の根まで死滅させることができます。
用意するものは、ファンがまるごと入る大きさの容器です。衣装ケースなどが理想ですが、なければ厚手のゴミ袋を二重にして代用できます。そこに、40度〜50度程度のお湯を張り、洗剤を溶かします。
使用する洗剤は、カビ汚れがひどい場合は「カビキラー」などの塩素系漂白剤が最強ですが、匂いがきつい場合は「マジックリン」などの強アルカリ性洗剤でも十分に効果があります。お湯を使うことで洗剤の酵素や化学成分が活性化し、冷水で洗うよりも何倍もの洗浄効果を発揮します。
この洗浄液にファンを30分〜1時間ほど浸け置きします。時間が経つと、黒いワカメのような汚れがフワフワと浮いてくるはずです。これが長年あなたの肺に入り込んでいたカビの正体です。浸け置きが終わったら、シャワーの水圧で汚れを一気に洗い流し、残った汚れをブラシで擦り落とします。最後に、洗剤成分が残らないよう徹底的にすすぎを行ってください。
アルカリ洗剤の取り扱い注意
シロッコファン(プラスチック)にはアルカリ洗剤や塩素系漂白剤を使っても問題ありませんが、本体側の熱交換器(アルミフィン)には絶対に使わないでください。
アルミはアルカリに弱く、腐食して白錆が発生したり、ボロボロになったりします。熱交換器を洗う場合は、必ず「アルミフィン専用」の中性〜弱アルカリ性の洗浄剤を使用しましょう。
組み立て時のグリス塗布と位置決め
洗浄が終わってピカピカになったファンを乾燥させたら、いよいよ組み立てです。「外した手順の逆をやるだけでしょ?」と思われがちですが、ここにも重要なコツがあります。
まず、モーター軸にファンを差し込む前に、軸の部分に薄く「グリス(シリコングリス等)」を塗布してください。これは滑りを良くするためだけでなく、金属表面を油膜でコーティングして錆を防ぐ効果があります。この一手間をかけるかかけないかで、数年後のメンテナンス時に再び「固着地獄」を味わうかどうかが決まります。
次に重要なのが、ファンの「位置決め(センタリング)」です。ファンを軸のどの位置(深さ)で固定するかは、ミリ単位で決まっています。もし奥に差し込みすぎると、回転したときにケーシングの壁に接触し、手前に出しすぎるとドレンパンなどに接触します。その状態で運転すると「ガガガガ!」「カラカラカラ!」という凄まじい異音が発生し、再度分解する羽目になります。
これを防ぐために、分解前の工程で「軸がファンのボスから何ミリ飛び出していたか」を写真に撮ったり、マジックでマーキングしたりしておくことが重要だとお伝えしました。その記録を頼りに、正確な位置に戻してからイモネジを締め込んでください。組み上げたら、カバーを閉める前に必ず手でファンを回し、どこにも干渉していないことを確認しましょう。
エアコンの分解に関するよくある質問
Q1. エアコンを自分で分解して壊した場合、メーカー保証は効きますか?
A. 基本的にメーカー保証の対象外となります。取扱説明書に記載された「お手入れ」の範囲を逸脱した分解行為は、たとえ購入から1年以内であっても有償修理となる可能性が高く、最悪の場合は安全上の理由から修理を断られるケースもあります。
Q2. シロッコファンを外さずに、ある程度キレイにする方法はありますか?
A. はい、可能です。柄の長い「隙間ブラシ」や、シロッコファン専用の掃除グッズ(ファンファンなど)を使用すれば、分解せずにカビを掻き出すことができます。仕上げに蓄圧式の噴霧器で水を吹き付けて汚れを洗い流すとより効果的ですが、電装部への水濡れには厳重な注意が必要です。
Q3. 初心者が分解洗浄を行う場合、作業時間はどれくらいかかりますか?
A. 慣れていない場合、養生から片付けまで含めて3時間〜4時間程度を見積もっておくべきです。特にネジが固着していたり、構造が複雑な機種(お掃除機能付きなど)の場合は、半日以上かかることも珍しくありません。時間に余裕がある日に行いましょう。
Q4. 自分で分解するのが難しいと感じたら、業者に頼むといくらかかりますか?
A. 一般的な壁掛けエアコンのクリーニング相場は1台あたり10,000円〜14,000円程度です。お掃除機能付きの場合は構造が複雑なため、+5,000円〜10,000円ほど高くなるのが一般的です。故障のリスクや手間を考えると、プロへの依頼はコストパフォーマンスの良い選択肢と言えます。
Q5. 分解したエアコンが元に戻せなくなったらどうすればいいですか?
A. 無理に戻そうとせず、メーカーの修理窓口か、エアコン取り付け・修理の専門業者に相談してください。ただし、「分解後の復旧」は通常の修理よりも高額な出張費・技術料を請求される場合があるため、分解前の写真は必ず撮影し、手順を記録しながら作業することが重要です。
自分でエアコンのシロッコファンの外し方を行うリスクを総括

ここまで、シロッコファンの外し方について、プロの視点からかなり踏み込んで解説してきました。しかし、最後に改めてお伝えしたいのは、「エアコンの分解洗浄は、ハイリスク・ハイリターンな行為である」という現実です。
自分でやれば、費用は道具代と洗剤代の数千円で済み、新品同様の綺麗さを手に入れられます。しかし、その代償として「故障のリスク」を全て自分で背負うことになります。作業中にプラスチックのツメを折ってカバーが閉まらなくなる程度なら可愛いものですが、養生が不十分で電装基板に水がかかり、ショートして基板交換(2〜3万円)になったり、最悪の場合は発火事故につながったりする可能性もゼロではありません。
また、自分で分解した形跡があると、メーカー保証期間内であっても保証対象外となり、修理を断られることもあります。「自分にはちょっとハードルが高いな」「壊したら困るな」と少しでも感じた方は、無理をせずプロのクリーニング業者に依頼することを強くおすすめします。
プロなら、万が一の破損に対する損害賠償保険に入っていますし、何より確実に綺麗にしてくれます。
プロに頼む場合の料金相場や、業者選びのポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。「安心をお金で買う」というのも、賢い選択肢の一つですよ。
>>エアコン掃除をダスキンに頼むと料金はいくら?他社との比較
エアコンは私たちの健康と快適な生活を支える大切なパートナーです。自分のスキルとリスクを天秤にかけ、最適なメンテナンス方法を選んで、気持ちの良い風を取り戻してくださいね。この記事が、あなたのエアコン掃除の一助になれば幸いです。
