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こんにちは。家電ジャーナルの鈴木です。
風量重視のドライヤーといえば、真っ先に名前が挙がるコイズミのモンスター。あのダブルファンから繰り出される爆風は、髪を乾かす時間を劇的に短縮してくれる頼もしい存在です。
でも、購入を検討する中でどうしても気になってしまうのが、ネット検索で出てくる「すぐ壊れる」「火花」「焦げ臭い」といった不安な言葉の数々ではないでしょうか。せっかく買ったのに1年ちょっとで壊れてしまったら、修理代もかかるしショックですよね。
実は、モンスターが壊れやすいと言われるのには、この製品ならではの明確な理由があるんです。そして、その原因を知っていれば、寿命を延ばすことも十分に可能です。
この記事では、モンスターのユーザーが実際に直面しているトラブルの傾向と、そこから見えてきた故障のメカニズム、そして今日からできる具体的な対策について、僕自身の見解を交えて詳しく解説していきます。
この記事に書いてあること
- ネットで見かける故障事例と具体的な症状の傾向
- なぜモンスターは他よりも壊れやすいと言われるのか
- 自分で簡単にできる寿命を延ばすためのメンテナンス法
- 修理に出すべきか買い替えるべきかの判断基準
ドライヤー モンスターがすぐ壊れる原因と寿命の真実

そもそも、なぜモンスターだけがこれほどまでに「壊れる」と言われてしまうのでしょうか。
モンスターは大風量で人気ですが、そのパワーゆえに他のドライヤーにはない負担を内部にかかえているのも事実です。
まずは実際にユーザーの間で起きているトラブルの実態と、その背景にある技術的な「アキレス腱」について、包み隠さずお話ししていきましょう。
口コミで懸念される寿命と故障の傾向

ネット上の口コミやレビューを徹底的に分析してみると、モンスターの故障報告にはある奇妙な共通点が見えてきます。それは、故障が発生するタイミングです。具体的には、メーカー保証(1年)が切れた直後の「1年2ヶ月~1年半」、そして「2年~3年」という時期にトラブルが集中しています。
これは僕たち家電好きの間では「モンスタータイマー」なんて冗談めかして呼ばれることもありますが、実はこれ、偶然ではないんです。多くのモンスター(特に数千円台で購入できる普及モデル)で採用されている「ブラシ付きDCモーター」という部品の寿命特性と深く関係しています。

この「ブラシ付きDCモーター」は、内部にあるカーボンブラシという部品が回転するたびに少しずつ削れていく消耗品のような構造をしています。一般的なドライヤーであれば、毎日使っても3年~4年は持つように設計されています。しかし、モンスターの場合は事情が少し違います。

モンスター最大の特徴である「ダブルファン」を高速で回転させるためには、モーターに非常に大きなトルク(回転力)が必要です。
エンジンで言えば常にレッドゾーンまで回して走っているような状態ですね。この高負荷な運転は、カーボンブラシの摩耗を早める大きな要因になります。
さらに、家族みんなで使っている場合、稼働時間は1日あたり20分、30分と積み重なっていきます。モーターの寿命が仮に300時間~400時間だとすると、1日20分の使用で計算すれば約2年半~3年で寿命を迎える計算になります。
ここに「ホコリ詰まり」による過熱や負荷が加わると、寿命は一気に縮まり、保証期間が切れた直後の「1年半」というタイミングで力尽きてしまうケースが出てくるのです。
寿命の計算式(目安)
・1日10分(1人暮らし想定)× 365日 = 年間約60時間 → 寿命まで約5~6年
・1日30分(4人家族想定)× 365日 = 年間約180時間 → 寿命まで約1.5年~2年
※あくまでモーター単体の一般的な寿命目安であり、使用環境によって大きく異なります。
つまり、「すぐ壊れる」という声の正体は、製品の欠陥というよりも、モンスター特有の「高負荷設計」と、ユーザーの「使用頻度・環境」が噛み合わなかった結果である可能性が高いと僕は考えています。
火花や焦げ臭いなどの危険な症状

「使っていたら急に火花が見えた」「焦げ臭いにおいがする」という報告も少なくありません。これらは非常に怖い症状ですが、実はドライヤー内部で起きていることはシンプルかつ深刻です。
火花の原因として最も多いのが、先ほどお話ししたモーター内部の「ブラシ」が摩耗しきってしまい、電気的な接触不良(スパーク)を起こしているケースです。
ブラシがすり減ってバネの力が届かなくなると、回転部分(整流子)との間に隙間ができ、そこでバチバチと火花が散るようになります。こうなるとモーターは回転ムラを起こし、最終的には動かなくなります。
また、もう一つの原因として「ホコリの燃焼」があります。吸気口から侵入した微細なホコリや髪の毛が、赤熱したヒーター線に接触して燃える現象です。これが「焦げ臭いにおい」の正体です。
単に臭いだけでなく、炭化したホコリが通電部に付着すると「トラッキング現象」を引き起こし、発火に至るリスクもあります。
危険!すぐに使用を中止してください
火花が出たり、焦げ臭いにおいがした状態で使い続けるのは大変危険です。髪の毛が焦げるだけでなく、最悪の場合は発火や火傷につながる恐れがあります。これらの症状が出たら寿命のサインと割り切り、直ちに使用をやめましょう。
独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)も、ドライヤーの不具合による発火事故について注意喚起を行っており、異音や火花が発生した際は直ちに使用を中止するよう呼びかけています。
(出典:NITE 製品安全センター『ドライヤー「1.電源コードの発火」』)
火花が見えた時点で、そのドライヤーは「修理」ではなく「寿命」を迎えたと判断するのが賢明です。無理に使えば、髪を乾かすどころか、火事の元になりかねません。
異音やファンが止まるトラブルの原因
「キュルキュル」という高い音や、「ガラガラ」という異音が聞こえ始めたら要注意です。これはモーターの軸受(ベアリングのような部分)が摩耗しているか、ファンに異物が絡まっているサインです。
特にモンスター最大の特徴である「ダブルファン」は、形状の異なる2つのファンを直列に配置して強力な風を生み出していますが、この構造は非常にデリケートでもあります。2つのファンが高速で回転しているため、どちらか片方のファンに髪の毛や大きなホコリの塊が絡まるだけで、回転バランスが崩れてしまいます。
バランスが崩れた状態で高速回転を続けると、ドライヤー全体が激しく振動し始めます。この振動が、内部の基板やハンダ付け部分にダメージを与え、接触不良を引き起こすこともあります。「叩くと動く」「角度を変えると音が止まる」といった症状は、内部で部品が外れかけている証拠です。
また、軸受のオイル(グリス)切れも異音の大きな原因です。モンスターは発熱量も大きいため、長期間メンテナンスをせずに内部に熱がこもる状態が続くと、軸受のグリスが蒸発して乾いてしまいます。
いわゆる「油切れ」の状態ですね。こうなると金属同士が擦れ合って「キーッ」という金属音が発生し、そのまま焼き付いてロック(回転停止)してしまいます。
異音はドライヤーからの「悲鳴」です。この段階でメンテナンス(掃除)をしても手遅れなケースが多いですが、もしホコリが原因であれば、徹底的な掃除で改善することもあります。
温風が出ず冷風しか出ない時の対処
「風はすごい勢いで出るのに、全然暖かくならない」という症状もよく耳にします。これはモーター自体は元気なのに、熱を作るヒーター部分に問題が起きている状態です。
ドライヤーには、安全のために大きく分けて2種類の温度管理装置が入っています。一つは「サーモスタット(バイメタル)」。これは温度が上がりすぎるとカチッと音を立てて一時的に電気を切るスイッチで、冷めればまた元に戻ります。
もう一つは「温度ヒューズ」。これは異常な高温になった時に、回路を物理的に遮断して二度と通電させない「最後の砦」です。
もし吸気口がホコリで塞がれていると、新鮮な空気が十分に入ってこないため、ヒーター周辺の温度が設計値を超えて急上昇します。すると、まずはサーモスタットが作動して「温風が出たり止まったり」を繰り返します。
これを「故障かな?」と思いながら無理に使い続けると、ヒーター線自体に過度な負担がかかって断線するか、あるいは温度ヒューズが溶断して完全に冷風しか出なくなります。

ヒーター線(ニクロム線)は、一度切れてしまうと交換するしかありません。
修理代も高額になるため、冷風しか出なくなったら基本的には買い替えのサインです。
埃が取れない構造と掃除の重要性

ここまで読んでいただいて分かる通り、故障の最大の引き金は「ホコリ」です。そして残念なことに、モンスター(特に初期~中期のKHD-W700番台などのモデル)は、この「ホコリ掃除」が非常にしにくい構造をしていました。
モンスターは毎分2.0立方メートルを超えるような大風量を生み出すために、周囲の空気を猛烈な勢いで吸い込みます。その吸引力は凄まじく、空気中のチリ、ホコリ、ヘアスプレーの粒子などを掃除機のように強力に集めてしまいます。つまり、普通のドライヤーよりも「汚れるスピードが圧倒的に速い」のです。
それなのに、一部のモデルでは吸気口のフィルターカバーが本体と一体化していて取り外せません。表面を撫でることはできても、メッシュの網目の奥に入り込んだ微細なホコリや、内部のファンに絡みついた汚れにアクセスすることができないのです。
ここが故障の分かれ道
吸気口にホコリがびっしり溜まった状態(グレーのフェルト状になった状態)で使い続けると、吸気抵抗が増えてファンに負荷がかかり、さらに冷却不足でヒーターも過熱します。
まさに「百害あって一利なし」。寿命は一気に半分以下になります。逆に言えば、このホコリ対策さえクリアできれば、モンスターはもっと長く使える優秀な家電なんです。
ドライヤー モンスターがすぐ壊れるのを防ぐ対策と修理
構造的な弱点はあるものの、あの圧倒的な大風量はやはり魅力的ですよね。「壊れやすいなら買わない」と決める前に、ちょっとした工夫で寿命を延ばす方法を知っておいて損はありません。
ここでは、僕も実践している対策や、万が一の時の対応についてお伝えします。
分解せずに埃を除去する掃除テクニック

「掃除してください」と取扱説明書には書いてありますが、カバーが外れないモデルの場合、具体的にどうすればいいのか悩みますよね。
分解は故障や保証対象外の原因になるので絶対NGですが、外からできる「積極的な掃除」の手順をご紹介します。
| 手順 | 内容 |
| 1. 乾いた歯ブラシで掻き出す | 使い古しの歯ブラシ(乾いたもの)を使い、吸気口のメッシュに詰まったホコリを優しく掻き出します。 強く押し込むと中に落ちてしまうので、手前にかき出すようなイメージで行います。 |
| 2. 掃除機で強力に吸い出す | これが一番重要です。 掻き出したホコリを、家庭用掃除機の隙間ノズルを使って「最強モード」で吸い取ります。 ドライヤーの吸気口にノズルを密着させて、内部の浮遊ホコリまで吸い出すつもりで入念に行いましょう。 |
| 3. 月1回は必ず実施 | 「ホコリが見えてから」では遅いです。 内部は見えなくても汚れています。 スマートフォンのカレンダーに登録するなどして、ルーチンワークとして月1回は必ず行いましょう。 |
エアダスターには注意
パソコン掃除などに使うスプレー式のエアダスターは便利ですが、ドライヤー掃除に使うときは要注意です。
外からプシュッと吹きかけると、ホコリをドライヤーの奥深くに押し込んでしまい、かえってモーターの故障や焦げ臭さの原因になることがあります。
基本は「吸い出す」掃除を心がけ、どうしても吹き飛ばしたい場合は、吸気口を下に向けて重力を利用するなどの工夫が必要です。
コード断線を防ぐ使い方のポイント

電源コードの根本が断線して使えなくなるケースも非常に多いです。モンスターのコードは太くて一見丈夫に見えますが、中の銅線は繰り返しの曲げ伸ばしや「ねじれ」に強くありません。
やりがちなのが、収納するときに本体のハンドル部分にコードをきつく「グルグル巻き」にする行為。これをやると、本体とコードの接合部(ブッシングと呼ばれるゴムの部分)に常に強い引っ張り力がかかり続けます。
これを毎日繰り返すと、1年もしないうちに内部の銅線が金属疲労でちぎれてしまいます。「ドライヤーの角度を変えると電源が落ちる」「コードの付け根が異常に熱い」という症状が出たら、断線の初期症状です。
長持ちさせたいなら、以下の3点を意識してください。
- 本体に巻き付けない: コードは束ねずにフックに掛けるか、付属のマジックテープで「ゆるく」まとめます。
- ねじれを直す: 使っているうちにコードがクルクルとねじれてきますが、これを放置せずに定期的に伸ばしてねじれを解消します。
- 抜くときはプラグを持つ: コンセントから抜く際、コードを引っ張って抜くのは厳禁です。必ずプラグ本体を持って抜きましょう。
保証期間と修理代にかかる料金の目安

もし壊れてしまった場合、修理に出すべきでしょうか?結論から言うと、保証期間(1年)を過ぎているなら、修理はせずに買い替えをおすすめします。
なぜなら、修理コストと新品価格の差が小さいからです。メーカーに修理を依頼した場合、一般的には以下のような費用が発生します。
- 技術料:約3,000円~4,000円
- 部品代:約500円~2,000円(モーター交換などは高くなります)
- 送料:往復で約1,500円~2,000円(自己負担の場合)
合計すると5,000円~8,000円程度の出費になります。一方で、モンスターの普及モデル(KHD-W700系など)は、セール時期や店舗によっては6,000円~8,000円前後で購入できることもあります。
修理しても、交換していない他の部品(スイッチやヒーター)がすぐに壊れる可能性も考えると、新品に買い替えて再び1年の保証を得る方が経済的合理性が高いのです。
これから購入する方は、家電量販店などが提供している「5年延長保証」への加入を強く推奨します。数百円~千円程度の加入料で、もっとも故障が多発する「1年半~3年」の魔の期間をカバーできるので、これほどコストパフォーマンスの良い保険はありません。
ネット通販の最安値を追い求めるよりも、保証付きで買う方がトータルの満足度は高くなるはずです。
壊れにくいBLDCモデルや他社比較
「モンスターの風量は好きだけど、すぐ壊れるのは嫌だ」という方には、選択肢があります。それは、少し高価になりますがBLDC(ブラシレスDC)モーターを搭載した上位モデル(KHD-W995など)を選ぶことです。
一般的なモンスターが搭載している「ブラシ付きモーター」に対し、「BLDCモーター」はその名の通り、摩耗部品である「ブラシ」が存在しません。そのため、機械的な摩耗による寿命がほとんどなく、理論上の寿命は従来のモーターより格段に長くなります(数倍~10倍とも言われます)。
また、最新の上位機種は吸気口カバーが取り外して水洗いできる構造になっているものも多く、メンテナンス性も劇的に改善されています。
他社製品で言えば、パナソニックの「ナノケア」などは耐久性において非常に評価が高く、5年以上使っているユーザーもザラにいますが、価格も3万円~4万円と高額です。ダイソンも大風量ですが、こちらも高価で、かつ修理コストは高めです。
「1万円以下で、ダイソン並みの圧倒的な風量が欲しい」というニーズにおいて、モンスターはやはり唯一無二の存在です。「耐久性は価格相応」と割り切って普及モデルを使い倒すか、初期投資をして高耐久なBLDCモデルを買うか。ご自身の予算と価値観に合わせて選ぶのが良いでしょう。
ドライヤーモンスターがすぐ壊れることに関するよくある質問
Q. ドライヤーモンスターの寿命は平均でどれくらいですか?
A. 一般的なDCモーター搭載ドライヤーの寿命は約3~4年と言われていますが、モンスターは大風量で内部負荷が高いため、吸気口の掃除を怠ると1年半~2年程度で故障してしまうケースも少なくありません。月1回のメンテナンスを行うことで、本来の寿命まで長く使うことが可能です。
Q. 壊れた場合の修理代はいくらくらいかかりますか?
A. 故障箇所にもよりますが、技術料・部品代・送料を合わせると概ね5,000円~8,000円程度になることが多いです。普及モデルの新品価格とほとんど変わらないため、保証期間(1年)を過ぎている場合は、修理よりも新品への買い替えをおすすめします。
Q. 掃除をしても焦げ臭いにおいが消えないのですが?
A. 掃除機で吸っても取れない内部の深い場所に髪の毛やホコリが入り込み、ヒーターに接触して炭化している可能性が高いです。これは発火の前兆であり非常に危険ですので、直ちに使用を中止してください。
Q. 最新のモデルなら壊れにくいですか?
A. はい、最新の上位機種(KHD-W995など)には、摩耗するブラシ部品がない高耐久な「BLDCモーター」が採用されており、従来機よりも格段に寿命が延びています。初期費用は高くなりますが、長く安心して使いたい方には特におすすめです。
ドライヤーのモンスターがすぐ壊れる不安への結論

結論として、モンスターは「壊れやすい欠陥品」というわけではありませんが、「ハイパワーゆえにメンテナンスをサボると短命になりやすい製品」であることは間違いありません。
フェラーリのようなスポーツカーが頻繁なメンテナンスを必要とするように、規格外の大風量を生み出すモンスターもまた、こまめな手入れを求めているのです。普通のドライヤーと同じ感覚で「ノーメンテ」で使い倒そうとすると、どうしても早く壊れてしまいます。
- 吸気口のホコリは掃除機で月1回吸い取る
- 使用後は冷風(COOL)で20秒ほど冷ましてから電源を切る(余熱による劣化を防ぐ)
- コードは本体に巻き付けず、優しく扱う
- 購入時は可能な限り「延長保証」に入る
この4点を守れば、1年半で壊れるリスクは大幅に減らせますし、もし壊れても保証でカバーできます。あの爆風による速乾体験は、一度味わうと他のドライヤーには戻れない魅力があります。その特性(弱点)をしっかりと理解した上で、上手に付き合っていくのが賢い選び方かなと思います。
※本記事の情報は執筆時点のものです。正確な仕様や保証内容は必ず公式サイトや製品の取扱説明書をご確認ください。