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こんにちは。家電ジャーナルの鈴木です。
毎日使う洗濯機ですが、普段のお手入れで「糸くずフィルター」のゴミは捨てていても、フィルターを外したそのさらに「奥」を覗いてみたことはありますか?
もし一度も見たことがないなら、少し勇気を持って懐中電灯で照らしてみてください。
そこには、ヘドロのように堆積した汚れや、びっしりと張り付いた黒カビが広がっていて、思わず息を呑んでしまうかもしれません。
実は、「フィルター自体は毎回きれいに洗っているのに、なぜか洗濯機から下水のようなドブ臭いニオイがする」「排水できないというエラーが頻繁に出て止まってしまう」といった深刻なトラブルの多くは、この手が届きにくい「奥」の汚れが原因なんです。
フィルターの奥は、単なる空洞ではなく、汚れた水が通る重要な交差点であり、構造上どうしても汚れが溜まりやすい「魔のゾーン」とも言えます。
特に、使い古した歯ブラシや普通のスポンジでは届かないデッドスペースに汚れが残っていると、そこからヌメリや悪臭が発生し続けるだけでなく、センサーの誤作動や排水ポンプの故障といった機械的なトラブルに直結することもあります。
また、いざ掃除をしようとしても、間違った手順でフィルターを抜いて床を水浸しにしてしまったり、パッキンにゴミを挟んで水漏れを引き起こしたりと、思わぬ二次被害を招くリスクも潜んでいます。
今回は、そんな厄介な洗濯機フィルターの奥を、安全かつ徹底的にきれいにするための具体的な手順と、僕が実際に使ってみて効果絶大だった専用の道具について、プロの視点を交えながら詳しく解説していきます。
この記事に書いてあること
- 見えない場所に溜まるヘドロや黒カビが引き起こす排水エラーや悪臭の正体
- 縦型とドラム式それぞれの構造に合わせた効果的な奥の掃除方法
- 歯ブラシや専用のL字ブラシ、塩素系漂白剤を使ったプロレベルの洗浄テクニック
- 掃除後の水漏れトラブルを防ぐためのパッキンの扱いと緊急時の対処法
洗濯機の糸くずフィルター奥を掃除する重要性と汚れ

「フィルターのゴミは毎回捨てているし、見た目は綺麗だから大丈夫」と思っていませんか。
実は、フィルターを取り外した奥の空間こそが、洗濯機のトラブルを引き起こす最大の震源地になり得るのです。
ここでは、なぜその場所がこれほどまでに汚れるのか、そして放置するとどのようなリスクがあるのかを、洗濯機の構造的な視点から深掘りして解説します。
届かない場所に潜むヘドロと黒カビの原因

まず、洗濯機の糸くずフィルターが収まっている空間(フィルターハウジング)の役割について理解しておきましょう。ここは単なるフィルターの収納ボックスではありません。
洗濯槽から排出された、皮脂や泥、洗剤を含んだ汚水が最初に通過し、排水ホースやポンプへと送られるための非常に重要な「中継地点(マニホールド)」なのです。
洗濯中、この狭い空間には、衣類から出た繊維クズ(リント)だけでなく、体から出た皮脂汚れ、食べこぼしのタンパク質、そして溶け残った洗剤成分などが高濃度で流れ込みます。
フィルターの網目は大きな固形ゴミをキャッチしてくれますが、網目をすり抜けるような微細な粒子や、ドロドロとした液状の脂質汚れまでは防ぐことができません。
そして最も厄介なのが、洗濯機が停止して排水が完了した後も、構造上どうしてもこの場所に少量の水が残ってしまう(残水・デッドボリューム)という点です。これはポンプの呼び水として必要な場合もあるのですが、衛生面では大きな弱点となります。
バイオフィルムの恐怖
この残水は、洗剤成分(界面活性剤)と有機汚れが濃縮された栄養豊富なスープのような状態です。
しかも、フィルター奥は光が届かない暗闇で、湿度は常に100%近い状態。まさに細菌やカビにとっては理想的な培養環境と言えます。
掃除をせずに放置すると、この栄養満載の残水の中で雑菌が爆発的に繁殖し、ヌルヌルとした「バイオフィルム(生物膜)」を形成して内壁に張り付きます。
このバイオフィルムは接着剤のような役割を果たし、後から流れてくる糸くずや髪の毛を次々と吸着して巨大なヘドロの塊へと成長させてしまうのです。
これが、フィルター奥を指で触ったときに感じるあの不快なヌメリの正体です。
掃除不足が招く強烈な臭いと排水エラー

「定期的に洗濯槽クリーナーを使って槽洗浄をしているのに、どうも生臭いニオイやドブのような臭いが消えない」というご相談をよくいただきますが、その犯人は多くの場合、このフィルター奥のデッドスペースに潜んでいます。
洗濯槽クリーナーは槽内を循環して洗浄しますが、排水フィルターの奥にある一部の空間は、洗浄液が十分に循環せず、汚れが留まりやすい「死水域」になっていることがあります。
ここで腐敗したヘドロ状の汚れは、硫黄化合物のような強烈な悪臭を放ちます。この臭気が排水ホースを通じて逆流したり、乾燥運転中に温風に乗って槽内に拡散したりすることで、せっかくきれいに洗ったはずの衣類に嫌なニオイを移してしまうのです。
さらに深刻なのが、洗濯機の運転に関わる「排水エラー」です。パナソニックの「U11」や「U18」、日立の「C02」といったエラーコードを見たことはありませんか。
これらは「排水できない」「排水時間がかかりすぎている」ことを知らせる警告ですが、フィルターのネット自体がきれいでも頻発することがあります。
エラーが出るメカニズム
- 流路の閉塞: フィルターハウジングの奥から排水ポンプへと続く流路が、ヘドロや堆積した糸くずで狭くなり、水がスムーズに抜けなくなります。
- センサーの誤検知: フィルター奥には、水位を検知するためのセンサー孔(小さな穴)がある機種が多いです。この穴がバイオフィルムやヌメリで塞がれてしまうと、実際には水が抜けているのに「まだ水が残っている」とセンサーが誤判断し、エラーを出して停止させてしまいます。
このように、センサーや排水機能のトラブルは、機械の故障ではなく「奥の掃除不足」が原因であることが非常に多いのです。
脱水ができずにすすぎに戻ってしまう症状なども、このセンサー異常が関係していることがあります。詳しくは以下の記事でも解説しています。
縦型の循環水路とドラム式の排水ポンプの違い
「奥」の構造や汚れ方は、洗濯機のタイプ(縦型かドラム式か)によって大きく異なります。
ドラム式洗濯機の場合
ドラム式のフィルターは本体下部にあり、フィルター奥は「排水ポンプ」への入り口(前室)になっています。
ここに汚れが溜まると、最悪の場合、排水ポンプのインペラー(回転羽根)に異物が噛み込み、ポンプ自体の破損やモーターの焼き付き故障につながります。
また、循環ポンプの取水口も兼ねている機種では、ここが詰まると循環シャワーが出なくなり、洗浄力が低下する原因にもなります。
縦型洗濯機の場合
一方、縦型洗濯機の多くは、フィルター奥が「循環水路」の一部になっています。
洗濯中、パルセーター(回転翼)の力で水を循環させ、上からバシャバシャと掛ける機能がありますが、この水路の入り口や経路がフィルター奥の凹み部分です。
ここが黒カビで埋め尽くされているとどうなるでしょうか。想像してみてください。せっかくのきれいな水や洗剤液が、カビだらけの水路を通ってから衣類に降り注ぐことになるのです。
これは、カビの胞子を含んだ水を衣類に吹きかけ続けているのと同じこと。部屋干ししたときに衣類が臭う原因が、実はこの循環経路の汚れにあることも少なくありません。
放置すると危険な水漏れリスクのメカニズム
意外と知られていませんが、フィルター奥の掃除を怠ることは、家財を脅かす「水漏れ事故」に直結します。特にドラム式洗濯機において、このリスクは顕著です。
ドラム式洗濯機のフィルターは、本体の最下部に位置しており、洗濯中やすすぎ中には常に強い水圧がかかっています。この水圧に耐えて水を漏らさないようにしているのは、フィルターについているたった一つの「ゴムパッキン」です。このパッキンがハウジングの入り口に密着することで止水しています。
もし、フィルターのねじ込み口(開口部)の周りや奥の壁面に、乾いて硬化した洗剤カス、微細な砂粒、あるいは髪の毛一本でも付着したままフィルターを締め込んだらどうなるでしょうか。
パッキンがそれらの異物を噛み込んでしまい、ほんのわずかな隙間が生まれます。髪の毛一本分の隙間があれば、そこから水は毛細管現象と水圧によって確実に漏れ出します。
これを専門用語で「噛み込みリーク」と呼ぶことがありますが、最初は「ポタポタ」程度の漏れでも、気づかずに運転を続けると、床材を腐らせたり、階下への漏水トラブルに発展したりする可能性があります。
定期的に掃除をして、パッキンが密着する面を常にツルツルの清潔な状態に保つことは、洗濯機の性能維持だけでなく、家を守るためにも必須のメンテナンスなのです。
洗濯機の糸くずフィルター奥の掃除手順とおすすめ道具

「奥が汚れているのはわかったけど、どうやって掃除すればいいの?」と思われた方も多いでしょう。
狭くて暗く、複雑な形状をしている場所なので、適当な道具でやろうとしても汚れに届かなかったり、逆に奥へ押し込んでしまったりします。
ここからは、僕が実際に試して効果的だった専用ツールや、メーカーのサービスマンも実践している安全確実な清掃プロトコルをご紹介します。
歯ブラシや専用ブラシを使った汚れの取り方

まず道具選びですが、使い古しの歯ブラシだけでは正直不十分なことが多いです。もちろん細かい隙間には有効なのですが、特にドラム式の奥は筒状で奥行きがあるため、一般的な歯ブラシでは奥の壁面や天井部分に毛先が届かず、汚れを取り逃がしてしまいます。
僕のイチオシは、「L字型」または先端が「360度植毛」された専用の排水口ブラシです。例えば、「まめいた」などのメーカーから出ている洗濯機用ブラシは、先端が直角に曲がっていたり、ボール状に全周ブラシがついていたりします。
これをハウジング内に突っ込んでクルクルと回すだけで、円筒形の内壁全周の汚れを一度にこそぎ落とすことができます。
| 掃除道具 | 特徴 | おすすめの用途・メリット |
| 専用ブラシ(L字・360度) | 先端が曲がっている、全周植毛 | ドラム式のハウジング内部(天井・側面)を一気に洗える。 奥の壁面にも届きやすい。 |
| 歯ブラシ(ソフト) | ヘッドが小さく、小回りがきく | ねじ込み口のネジ山の溝、パッキン周辺の細かい汚れ。 縦型の狭いスリットなど。 |
| 極細繊維ブラシ | 傷をつけずに汚れを掻き出す | センサー周辺のデリケートな部分。 プラスチックを傷つけたくない場合。 |
| ピンセット(長め) | 細かい固形物をつまめる | 奥に詰まった大きな糸くずの塊や、硬貨などの異物を取り除く際に必須。 |
実際の掃除の動作で最も重要なコツは、汚れを「奥に押し込む」のではなく、「手前にかき出す」ように動かすことです。

ゴシゴシと前後に動かすと、剥がれたヘドロの塊が奥の排水ポンプ側に押し込まれてしまい、インペラーに詰まってエラーの原因になることがあります!
ブラシを入れたら、壁面に押し当てながら手前に引く、この動作を繰り返してくださいね!
カビキラーや泡漂白剤でバイオフィルムを除去
ブラシで物理的に擦っても取れないヌメリや、プラスチックに色素沈着してしまった頑固な黒カビには、化学的なアプローチが不可欠です。ここで活躍するのが、「カビキラー」や「キッチン泡ハイター」などの塩素系漂白剤です。
液体の漂白剤よりも、壁面に留まりやすい「泡タイプ」が断然おすすめです。使い方のポイントは以下の通りです。
- まず、ブラシで取れる汚れはある程度取り除いておきます。
- 専用ブラシ、または古歯ブラシに泡スプレーをたっぷりと吹き付けます(直接ハウジング内に噴射するのは、奥に飛び散りすぎる可能性があるため、ブラシに取るのが無難です)。
- そのブラシで、ハウジング内部全体に泡を塗り広げるように塗布します。特に天井面や奥の角など、カビやすい部分を重点的に。
- そのまま5分〜10分程度放置します。この間に塩素成分がバイオフィルムを分解し、黒カビの細胞膜を破壊して殺菌します。
- 最後に、コップの水などで十分に洗い流すか、濡れ雑巾で洗剤分がなくなるまで丁寧に拭き取ります。
【重要】取り扱い上の注意点
- 換気必須: 塩素系漂白剤を使用する際は、必ず窓を開けるか換気扇を回してください。閉鎖空間での使用は危険です。
- パッキンへの配慮: ゴムパッキンに高濃度の原液が長時間付着すると、ゴムが劣化・硬化し、ひび割れの原因になります。放置時間は守り、パッキン付近は特に入念にすすいでください。
- 酸性タイプとの併用禁止: クエン酸や酸性洗剤と混ざると有毒ガスが発生します。絶対同時に使用しないでください。
「カビキラーを洗濯機に使って本当に大丈夫?」と不安な方は、プロの視点で使用可否やリスクをまとめた以下の記事もぜひ参考にしてください。
水漏れさせないための正しい外し方と脱水準備

ドラム式洗濯機のフィルター掃除で最も多い失敗談といえば、「フィルターを外したら、まだ中に水がたっぷり残っていて、床が水浸しになった」というものです。これを防ぐためには、フィルターを抜く前の「事前準備」が全てです。
メーカーのマニュアルにも記載されていますが、以下の手順を必ず守ってください。
ステップ1:脱水運転で残水を減らす
まず、洗濯機の中に残っている水を極限まで減らすために、「脱水」のみを1分間程度運転してください。これにより、ドラム内の水だけでなく、配管内の水圧もある程度下げることができます。
(出典:Panasonic よくあるご質問「排水フィルターのお手入れ」)
※メーカー公式でも、水漏れ防止のために事前の脱水運転が推奨されています。
ステップ2:万全の養生をする
脱水をしたからといって、水が完全にゼロになるわけではありません。構造上、コップ1〜2杯分(約200ml〜500ml)の水は必ず出てきます。
フィルター投入口の下に、吸水性の高い厚手のバスタオルを敷き、その上に縁の低い洗面器やトレイをセットしてください。
ステップ3:「寸止め」テクニックで水を抜く
ここがプロの技です。いきなりフィルターを全開にして引き抜いてはいけません。フィルターのつまみをゆっくりと左に回し、ネジが緩んだ状態で「寸止め」します。
すると、フィルターと本体の隙間から、残水がチョロチョロと流れ出てきます。この状態で一旦手を止め、水が出切るのを待ちます。
もし洗面器がいっぱいになりそうなら、一度締めて水を捨ててから再開します。「水流が完全に止まった」ことを確認してから、ようやくフィルターを本体から引き抜いてください。
フィルター奥に異物を落とした時の緊急対処
掃除中に、「あっ!」と手を滑らせて、掃除に使っていた歯ブラシや、つまみ出したペットボトルのキャップなどを、フィルター奥の穴(ポンプへの流路)に落としてしまう事故が後を絶ちません。
これは非常に焦る状況ですが、対応を一歩間違えると致命的な故障につながります。
【絶対禁止事項】そのまま「見なかったこと」にして洗濯機を回すこと。
これは自殺行為です。異物が排水弁に挟まれば水が溜められなくなりますし、高速回転する排水ポンプのインペラーに硬い異物が噛み込めば、モーターが焼損したり、樹脂製のケーシングが割れて大規模な水漏れが発生したりします。
【対処法】
- 目視できる場合: 懐中電灯で奥を照らし、異物が見えているなら、ラジオペンチやピンセットを使って慎重に引き上げます。
普通のピンセットで届かない場合は、針金ハンガーを伸ばして先端を小さなフック状に加工したもので引っ掛けて取る方法もあります。 - 見えない・届かない場合: すでに配管の奥深くまで落ちてしまった場合は、絶対に無理をして針金などで突き回さないでください。
異物をさらに奥へ押し込んだり、センサーを破損させたりする恐れがあります。
この場合は、潔くメーカーの修理窓口か、水回りの専門業者に依頼して分解除去してもらう必要があります。数万円の出費になることもありますが、洗濯機を買い替えるよりは安く済みます。
掃除後の水漏れはパッキンのゴミ挟まりを確認
「せっかくきれいに掃除をしたのに、次の洗濯で洗濯機の下から水が漏れてきた…」。これは「The Sandwich Leak(挟み込み漏水)」と呼ばれる現象で、掃除後のトラブルとして非常に多いものです。
原因の9割以上は、パッキンへの異物の挟み込みか、締め付け不足です。
掃除を終えてフィルターを本体に戻す前に、必ず以下のチェックを行ってください。
- 本体側の接触面(リム)の清掃: フィルターのパッキンが当たる、本体側の円周部分(入り口のフチ)を指で触ってみてください。ザラザラしていませんか?ここに砂粒や乾燥した洗剤カスが残っていると、確実に水漏れします。濡れ雑巾で指を使って一周拭き上げ、ツルツルの状態にします。
- パッキンの確認: フィルター側のゴムパッキンに、髪の毛や糸くずが付着していませんか?また、パッキンがねじれていたり、外れかかっていたりしないか確認します。
- グリスの保持: 新品のパッキンには潤滑用のグリスが塗られています。過度な洗浄でこのグリスを完全に拭き取ってしまうと、ねじ込む際の滑りが悪くなり、パッキンがよじれて隙間ができる原因になります。汚れだけを優しく洗い流すイメージで。
- 確実な締め込み: 多くの機種には「締め込み位置」を示すマーク(△印や線)があります。そこまで確実に回し切ってください。日立製などの一部機種では、「カチッ」と音がするまで回さないと、センサーが「フィルターなし」と判断してエラー(C16など)で動かない安全設計になっています。
理想的な掃除頻度と汚れを溜めない予防策

この面倒でリスクもある「奥」の掃除、一体どれくらいの頻度でやるべきなのでしょうか。メーカー推奨は「週1回」などと記載されていることもありますが、現実的なラインとして、僕は「2週間に1回」を目安にすることをおすすめしています。
なぜ2週間なのかというと、汚れ(バイオフィルム)が硬化して落ちにくくなる前のギリギリのラインだからです。2週間程度であれば、汚れもまだ柔らかいヌメリの状態なので、洗剤を使わなくてもブラシでサッと擦るだけで簡単に落ちます。
これが1ヶ月、2ヶ月と放置されると、黒カビが根を張ったり、水垢(スケール)と混ざって石のように硬くなったりして、掃除の難易度が格段に上がってしまうのです。
また、日頃から以下の習慣をつけることで、汚れの蓄積スピードを劇的に遅らせることができます。
- 洗剤・柔軟剤を入れすぎない: これが最も重要です。「香りをつけたいから」と規定量より多く柔軟剤を入れると、溶け残った成分が大量にフィルター奥に滞留し、最強のヘドロ発生源となります。
自動投入機能を使うか、計量を厳守しましょう。 - 使用後は乾燥させる(通気): カビは湿気を好みます。洗濯後はドアや洗剤ケースを必ず開けっ放しにし、可能であれば糸くずフィルターも少しだけ緩めて(水が出ない程度に)空気の通り道を作っておくと、内部が乾燥しやすくなり、カビの繁殖を抑えられます。
- 排水口もセットでケア: フィルター奥だけでなく、その先の排水ホースや床の排水口(トラップ)が詰まり気味だと、排水の流れが悪くなり、フィルター奥に汚水が滞留する時間が長くなります。
「排水口からボコボコ音がする」「なんだか臭う」という方は、排水口側のトラブルも併発している可能性があります。こちらの記事もあわせてチェックして、水回りをトータルでケアしてあげてください。
糸くずフィルター奥の掃除に関するよくある質問
Q:100均のブラシでも奥の掃除は代用できますか?
A:代用は可能ですが、推奨はしません。100円ショップのブラシは柄が短かったり、毛先が柔らかすぎてヘドロを掻き出せなかったりすることが多いからです。特にドラム式の場合、誤ってブラシを落としてしまうリスクもあるため、グリップがしっかりした「まめいた」等の専用ブラシ(数百円程度)を使う方が、結果的に安全かつ短時間で済みます。
Q:カビキラーを使った後、すぐに洗濯しても大丈夫ですか?
A:念のため、一度「すすぎ」運転を行ってから洗濯することをおすすめします。カビキラー(塩素系漂白剤)の成分が残っていると、衣類の色落ちや生地の傷みの原因になります。掃除後はコップで水を流して洗剤分を落とし、さらに洗濯機に何もない状態で「すすぎ・脱水」を1回回しておけば安心です。
Q:掃除をしても排水エラー(U11など)が消えない場合は?
A:フィルター奥以外の場所が詰まっている可能性があります。フィルターの奥をきれいにしてもエラーが出る場合、その先につながっている「排水ホース」の中や、床の「排水口(トラップ)」に汚れが詰まっているケースが多いです。ホースを取り外して洗浄するか、専門業者に高圧洗浄を依頼する必要があるかもしれません。
Q:縦型洗濯機でブラシが届かない場所はどうすればいいですか?
A:無理にブラシを突っ込むのは故障の原因になるためやめましょう。ブラシが届かないほど狭い循環経路の汚れには、物理的なこすり洗いよりも、過炭酸ナトリウム(酸素系漂白剤)や専用の洗濯槽クリーナーを使った「浸け置き洗い」が効果的です。お湯を使って時間をかけて汚れを浮かし、溶かして落とす方法に切り替えてください。
まとめ:洗濯機の糸くずフィルター奥の掃除で快適に長く使う
洗濯機の「糸くずフィルター奥」は、普段は見えない場所ですが、洗濯機の健康状態を左右する心臓部のようなスポットです。
ここを定期的にメンテナンスすることで、嫌な臭いや排水エラーに悩まされることなく、洗濯機を長く快適に使い続けることができます。
「奥の掃除」と聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、特別な技術は必要ありません。
適切な道具(L字ブラシなど)を用意し、ちょっとしたコツ(脱水してから外す、パッキン面を拭く)さえ知っていれば、誰でもプロ並みのリカバリーが可能です。
ぜひ今度の週末、懐中電灯を片手に、ご自宅の洗濯機の「奥」を覗いてみてください。そこにある汚れをリセットすれば、洗い上がりのスッキリ感もきっと変わるはずですよ。