洗濯機の蛇口からポタポタ水漏れが!自分でできる直し方を紹介

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洗濯機の蛇口からポタポタ水漏れが!自分でできる直し方を紹介

こんにちは。家電ジャーナルの鈴木です。

毎日の洗濯で使う蛇口から、ある日突然「ポタポタ」と水漏れしているのを見つけたら、誰だって焦ってしまいますよね。

「もしかして故障?」「業者を呼んだら高そうだな…」と不安が頭をよぎるものです。

特に、洗濯機まわりの水漏れは、床が水浸しになって階下への漏水事故に繋がるリスクもあるため、悠長に構えてはいられません。

ニップルや継手からの水漏れなのか、それともパッキンの劣化なのか、原因がわからないと対処のしようがありませんよね。

賃貸にお住まいの方だと、「自分で勝手に修理していいの?」「管理会社に連絡すべき?」「費用負担はどうなるの?」といった、技術面以外の悩みも尽きないと思います。

また、いざ業者に頼むとしても、ネットで検索すると「格安修理!」を謳う怪しい業者がたくさん出てきて、どこに頼めばいいのか、相場がわからず高額請求が怖いという声も本当によく耳にします。

でも、安心してください。実は洗濯機の蛇口トラブルの多くは、正しい知識と少しの勇気があれば、自分で解決できるケースが非常に多いんです。

今回は、そんな悩みをまるっと解消するために、パッキン交換やシールテープの巻き方といった具体的なDIY手順から、賃貸での立ち回り方、そしてプロに依頼する際の適正価格まで、僕の持てる知識を総動員して徹底的に解説していきますね。

この記事に書いてあること

  1. 水漏れの主な原因となる4本ネジ式ニップルやパッキンの劣化メカニズムとその危険性
  2. 賃貸物件における「小修繕」と「大修繕」の区分および修理費用負担の法的ルール
  3. 自分で修理する際に失敗しないための工具選びと、正確な部品サイズの確認・購入方法
  4. 三角パッキン交換やストッパー付きニップルへの交換手順、壁付水栓の再設置テクニック

洗濯機の蛇口からポタポタ水漏れする時の直し方と準備

洗濯機の蛇口水漏れ修理の正しい手順を示す3ステップの図解。左:焦ってすぐに工具で締め直そうとする危険な例、中央:落ち着いて水漏れ箇所を特定する様子、右:必要な工具と部品を整列させて準備する様子。
まずは水漏れ箇所の特定と、適切な道具の準備から始めましょう。

洗濯機の蛇口から水漏れが発生した際、焦ってすぐに工具を持って締め直そうとするのは大変危険です。原因がわからないまま力を加えると、配管を破損させてしまったり、かえって水漏れを悪化させてしまったりすることがあるからです。修理作業は「段取り八分」と言われる通り、事前の準備で勝負が決まります。

まずは冷静になって「どこから漏れているのか」を特定し、必要な部品や工具を過不足なく揃える準備段階が何よりも重要になります。ここでは、よくある原因である4本ネジの問題点や、賃貸でのルール、そして業者に頼むべきかどうかの判断基準について、僕自身の経験も交えながら詳しく整理していきます。

4本ネジのニップルや継手からの漏水原因

洗濯機の蛇口修理で最も相談が多く、かつトラブルの温床となっているのが、蛇口の吐水パイプ(スパウト)先端に取り付けられた「ニップル」と呼ばれる部品からの水漏れです。ご自宅の洗濯機蛇口を見てみてください。

もし、プラスドライバーで4本のネジを締め込んで固定するタイプの「4本ネジ式ニップル」を使っている場合は、非常に高い確率でここが原因です。

この「4本ネジ式」は、かつては一般的でしたが、構造的に大きな弱点を抱えています。蛇口の金属パイプに対して、4本の鋭利なネジを「点」で食い込ませて固定するため、長期間使用していると洗濯機の振動や、給水・止水を繰り返す際の水圧衝撃(ウォーターハンマー現象)の影響で、徐々にネジが緩んでくるんです。

さらに怖いのは、締め込みすぎによるパイプの破損です。ネジが食い込んでいる部分に応力が集中し、パイプ自体が変形したり、最悪の場合は穴が開いてしまったりすることもあります。

症状としては、最初は接続部から「ポタポタ」と滴る程度ですが、ある日突然、水圧に耐え切れずにニップルごと外れ、勢いよく水が噴き出す「噴水事故」に発展するケースも少なくありません。

特に、ニップル内部にある黒いゴムパッキンも経年劣化で硬化しやすく、プラスチックのようにカチカチになると密閉性を失い、隙間から水が滲み出してきます。

鈴木
鈴木

蛇口とホースのつなぎ目(継手)から漏れている場合、まずは4本のネジが均等に締まっているか確認しましょう。

どれか1本でも緩んでいると、そこから水が漏れます。

ただし、増し締めはあくまで一時的な応急処置です。構造的に緩みやすい部品であり、多くの家電メーカーや水道部品メーカーも現在は使用を推奨していません。

後述する「ストッパー付きニップル」への交換こそが、水漏れ再発を防ぐ根本的な解決策になります。

賃貸物件での修理費用負担と管理会社の役割

賃貸物件における修理費用負担(貸主・借主の区分)の原則と、水漏れトラブル発生時の推奨対応フロー(証拠保全、連絡・確認、指示に従う)、自己判断のリスクとトラブル回避のポイント(管理会社への事前連絡の重要性など)をまとめたインフォグラフィック図解。
費用負担のトラブルを避けるため、自己判断せずに必ず管理会社へ連絡・確認しましょう。

アパートやマンションなどの賃貸物件にお住まいの場合、技術的な直し方よりも先に確認すべきなのが「契約内容」と「責任の所在」です。「水漏れ修理の費用は誰が負担するのか?」という問題は、対応を間違えると大家さんや管理会社とのトラブルに発展しかねません。

原則として、日本の賃貸借契約では以下のような区分が一般的です。

  1. 貸主(大家さん)負担:建物の構造躯体や、壁の中の配管、蛇口本体の経年劣化(寿命)による故障など、「大修繕」に該当するもの。これらは物件の維持管理義務に含まれます。
  2. 借主(入居者)負担:パッキンの消耗、電球の交換、あるいは入居者の不注意(過失)による破損など、「小修繕」に該当するもの。多くの賃貸契約書には「小修繕特約」があり、消耗品の交換費用は入居者が持つことになっています。

「じゃあパッキン交換なら自分でやっていいの?」と思うかもしれませんが、ここが落とし穴です。たとえ数百円のパッキン交換であっても、無断で作業を行い、万が一失敗して階下への水漏れ(漏水事故)を起こしてしまった場合、あなたは「善管注意義務違反」を問われ、莫大な損害賠償を請求されるリスクがあります。

また、退去時に「純正と違う部品がついている」として、原状回復費用を請求される可能性もあります。

そのため、僕が推奨する対応フローは以下の通りです。

  1. まず水漏れを発見したら、動画や写真を撮って証拠を残す。
  2. 契約書を手元に用意し、管理会社(または大家さん)へ電話する。
  3. 「洗濯機の蛇口から水漏れしています。パッキンの劣化のようですが、こちらで修理業者を手配しても良いですか? それとも指定業者はありますか?」と確認する。

物件によっては、管理会社が提携している指定業者しか作業が認められていない場合や、パッキン交換程度なら管理会社のスタッフが無料で対応してくれる場合もあります。自己判断で動く前に、必ず「報・連・相」を徹底することが、無用なトラブルと出費を防ぐ最大の防御策です。

トラブル回避のために
自分で直せる自信があっても、必ず管理会社へ連絡を入れましょう。

「自分でパッキンを交換しても良い」という許可(言質)を取ってから作業すれば、退去時のトラブルも防げます。

また、万が一の漏水事故に備えて、入居時に加入した「火災保険(借家人賠償責任保険・個人賠償責任保険)」の内容も確認しておくと安心です。

水道業者に依頼する場合の費用と相場

「自分での修理は自信がない」「工具を持っていない」「壁の中の配管を壊しそうで怖い」という場合は、無理をせずプロの水道業者に依頼するのが賢明です。

しかし、皆さんが一番心配なのは「ぼったくり被害」ではないでしょうか。ネットで「トイレ修理380円〜」のような広告を見て依頼したら、数十万円を請求されたというニュースは後を絶ちません。

適正な価格で修理を依頼するために、まずは信頼できる業者の相場感を知っておきましょう。一般的な水道局指定工事店クラスの業者に依頼した場合の目安は以下の通りです。

作業内容費用目安(部品代・工賃・出張費込)作業時間の目安
パッキン交換のみ8,000円 〜 12,000円15分〜30分
ニップル交換10,000円 〜 15,000円15分〜30分
単水栓本体の交換15,000円 〜 25,000円15分〜30分
壁付混合水栓の交換35,000円 〜 70,000円60分〜90分

これは、技術料(工賃)、部品代、出張費を含んだ「総額」の目安です。パッキン1枚は数百円ですが、プロが車で駆けつけ、技術を提供し、保証をつけるためのコストが含まれているため、どうしても最低8,000円程度はかかります。

逆に言えば、「数百円で直します」と謳う業者は、現場で高額な追加オプションを迫ってくる可能性が高いと言えます。

業者選びの際は、以下のポイントをチェックしてください。

  1. 水道局指定工事店であるか:各自治体の水道局から、適切な工事ができると認定された業者です。技術力とコンプライアンスがある程度の水準で担保されています。
  2. 見積もりの透明性:作業前に必ず「総額」の見積もりを提示し、サインをしてから作業を始める業者を選びましょう。電話口で「見てみないとわからない」の一点張りで、概算すら教えない業者は避けた方が無難です。
  3. キャンセル料の有無:見積もり金額に納得できない場合、無料でキャンセルできるか確認しましょう。

もしも高額請求のトラブルに巻き込まれてしまった場合は、クーリング・オフが適用できる可能性がありますので、消費生活センター等へ相談してください。

(出典:国民生活センター『水回り修理「950円~」のはずが…数十万円の高額請求に!』

パッキン交換に必要なサイズと種類の確認

サイズや形状が異なる様々な洗濯機蛇口用ゴムパッキンとメジャー、スマートフォン
パッキンは種類とサイズが重要。現物を確認するか、型番を調べて購入しましょう。

ここからは、DIYで修理に挑戦する方向けの実践的な準備編です。修理の成功率を大きく左右するのが「正しい部品選び」です。せっかく蛇口を分解したのに、「買ってきたパッキンのサイズが合わなかった!」となっては、水も使えず途方に暮れてしまいます。

日本の家庭用蛇口の規格は、JIS(日本産業規格)によってある程度統一されています。一般的な家庭の洗濯機用蛇口であれば、99%以上が「呼び径13(1/2インチ)」というサイズです。ホームセンターの売り場に行くと、「呼び13」と「呼び20」が並んでいますが、普通の家なら「13」を選べば間違いありません。

ただし、パッキンと一口に言っても、使う場所によって形状も役割も全く異なります。以下の3種類をしっかりと区別しましょう。

  1. 三角パッキン(水栓上部パッキン):ハンドルのすぐ下、カバーナットの内側に入っているパッキンです。円錐台(プリンのような形)をしており、ハンドルの軸(スピンドル)からの水漏れを防ぎます。
  2. Uパッキン(パイプパッキン):蛇口本体と吐水パイプの接続部に使われます。断面が「Uの字」になっており、パイプを左右に動かしても水が漏れない構造になっています。
  3. コマパッキン(ケレップ):蛇口内部の一番底にある部品です。ハンドルを閉めた時に水の流れを止める弁の役割を果たします。蛇口の吐水口から「ポタポタ」水が垂れる場合は、このコマパッキンの劣化が原因です。寒冷地では「固定コマ」、一般地では「節水コマ」などが使われることもあります。
鈴木
鈴木

品番や規格を調べるのが難しい場合は、修理する蛇口のメーカー名と型番を控えるか、スマホで写真を撮ってホームセンターに行き、店員さんに「これに合うパッキンをください」と相談するのが一番確実です。

可能であれば、外した古いパッキンをジップロックに入れて持参し、現物合わせをするのが失敗しない秘訣ですよ。

修理に必要な工具の選び方と止水栓の閉め方

プロのような高価な工具セットを揃える必要はありませんが、最低限、用途に合った適切な工具を用意することで、部品を傷つけずにスムーズな作業が可能になります。僕がDIY修理で推奨する「三種の神器」は以下の通りです。

  1. モンキーレンチ:六角ナットを回すための必須アイテムです。
    100円ショップのものはガタつき(遊び)が大きく、真鍮製の柔らかいナットをナメて(角を削って)しまいやすいため、JIS規格品やロブテックス、KTCなどのしっかりしたメーカー製(最大開口25mm〜30mm程度)を1本持っておくと一生使えます。
  2. ウォーターポンププライヤー:丸いパイプや、固着して手で回せない部品を掴むのに使います。ただし、強力な歯がついているため、直接掴むと蛇口のメッキが剥がれてボロボロになります。
    必ず不要な布(ウエス)やゴムシートを挟んで使うのが鉄則です。
  3. 精密ドライバー(マイナス):ハンドルの上にあるカラーキャップ(赤・青)を外す際に使います。カッターの刃先でも代用できますが、怪我をするリスクがあるので精密ドライバーが安全です。

そして、実際の作業に入る前に、何があっても絶対に守らなければならないルールがあります。それは「必ず水道の元栓(止水栓)を閉めてから作業すること」です。

洗面台やキッチンの場合は収納内に止水栓があることが多いですが、洗濯機用の蛇口には個別の止水栓がついていないケースがほとんどです。その場合は、家全体の水を止める必要があります。

戸建住宅なら敷地内の地面にある「量水器(メーターボックス)」、マンションなら玄関ドアの横にあるパイプスペース(扉)の中にある「水道元栓」を時計回りに回して閉めてください。

元栓を閉めた後、一度蛇口のハンドルを回して、配管内に残っている水(残圧)を出し切ることも忘れないでください。これを怠ってナットを緩めると、プシューッ!と水が噴き出して、洗面所や脱衣所が水浸しになる大惨事を招きます。

洗濯機の蛇口からポタポタ水漏れ|具体的な直し方

洗濯機の蛇口からのポタポタ水漏れを修理する具体的な手順を示した図解イラスト。発生箇所を「ハンドル下(三角パッキン)」「パイプ根元(Uパッキン)」「吐水口(ニップル交換)」の3つのゾーンに分け、それぞれの分解、部品交換、組み立てのステップをイラストで分かりやすく解説している。
水漏れ箇所に応じた手順を見て、落ち着いて部品を交換しましょう。

準備が整ったら、いよいよ修理の実践編です。ここでは、水漏れの発生箇所(ゾーン)別に、プロも実践している具体的な修理手順をステップバイステップで詳しく解説します。

「分解したら元に戻せるかな…」と不安になるかもしれませんが、構造さえ理解してしまえば、パッキン交換などはプラモデルよりもシンプルな作業です。

ハンドル下の三角パッキンを交換する手順

「ハンドルを回すと、その根元から水がジワジワと滲み出てくる」あるいは「ハンドルを開けている時だけ水が漏れる」という症状の場合、原因はハンドルの軸(スピンドル)を密閉している三角パッキンの劣化です。

このパッキンは摩耗すると痩せて隙間ができ、そこから水が毛細管現象で上がってきてしまいます。

交換ステップ詳細

  1. キャップを外す:ハンドルの上部についているカラーキャップ(「水」などの文字が入っているフタ)の隙間に精密ドライバーを差し込み、テコの原理でパカッと外します。
  2. ビスを緩める:中にあるプラスビスをドライバーで反時計回りに回して外します。錆びて固着している場合は、潤滑剤(KURE 5-56等)を少量吹き付けて5分ほど待ってから回しましょう。ビスが取れたら、ハンドルを真上に引き抜きます。
  3. カバーナットを外す:ここでモンキーレンチの出番です。パッキンを押さえている「カバーナット」を反時計回りに回して外します。この時、ナットと一緒に蛇口本体が回ってしまう(共回りする)と、壁の中の配管を痛めてしまう恐れがあります。必ずもう片方の手で蛇口本体をしっかりと支えながら回してください。
  4. パッキン交換:ナットを外すと、その内側あるいはスピンドル側に古い三角パッキンと座金(金属のリング)が残っています。これらを全て取り除き、スピンドルについた汚れを拭き取ります。そして、新しい座金、新しい三角パッキンの順にセットします。三角パッキンは向きがあり、広い面が下、狭い面が上になります。
  5. 組み戻しと調整:カバーナットを手でねじ込み、最後にモンキーレンチで締めます。ここで重要なのが「締め加減」です。

締め付けのコツ
カバーナットを全力で締め付けるのは間違いです。

締めすぎるとパッキンが圧迫されすぎて、ハンドルが重くて回らなくなってしまいます。

ハンドルを仮付けして回し心地を確認しながら、「水が漏れてこないギリギリの強さ」かつ「ハンドルがスムーズに回る」ポイントを見極めて止めるのがコツです。

パイプ根元のUパッキン交換と水漏れ修理

蛇口本体と、水が出る吐水パイプの継ぎ目から水が「ポタポタ」と滴っている場合、パイプの回転部分をシールしているUパッキンの寿命です。

万能ホーム水栓のようにパイプを左右に動かすタイプの場合、摩擦でパッキンがすり減りやすいため、定期的な交換が必要な消耗品と言えます。

交換ステップ詳細

  1. パイプナットを緩める:パイプの根元にある大きな袋ナットにモンキーレンチをかけ、反時計回りに回して緩めます。完全に緩むと、パイプごと手前に引き抜くことができます。
  2. 古いパッキンの除去:パイプを抜いた後、蛇口本体側の穴を覗き込むと、黒いパッキンが残っているはずです。指で取れない場合は、マイナスドライバーなどで引っ掛けて取り出しましょう。この時、本体の金属面を傷つけないように注意してください。
  3. 新しいパッキンの挿入:ここが最大のポイントです。Uパッキンには明確な「向き」があります。
    断面を見ると「Uの字」のように溝がありますが、必ず「溝が開いている側を本体の奥(水圧がかかる方向)」に向けて挿入してください。
    水が流れてくると、その水圧でパッキンの溝(リップ)が広がり、パイプに密着して水を止めるという合理的な仕組みになっています。逆向きに入れると、水圧で隙間ができてしまい、交換したのに水漏れが直りません。
  4. リングの確認:パイプ側に白いプラスチックのリングがついている場合、これが割れていないか確認します。これはパイプのガタつきを抑えるための部品です。割れていればセットで交換しましょう。
  5. パイプの装着:パイプを差し込み、ナットを締めます。ここも締めすぎるとパイプが動かなくなるので、適度なトルクで締めてください。

ストッパー付きニップルへの交換と取り付け

冒頭で解説した「4本ネジ式ニップル」からの水漏れや、ニップルの劣化、あるいはホースが外れる事故への不安を解消するために、僕が最も強くおすすめしたいのが「ストッパー付きニップル」への全交換です。

これは、既存の吐水パイプを修理するのではなく、パイプごと取り外して、蛇口の先端を「洗濯機専用の接続口」に変えてしまうという方法です。いわば、古い蛇口を現代の仕様にアップグレードする作業です。

交換の手順とメリット

  1. 既存パイプの撤去:先ほどの「Uパッキン交換」の手順と同様に、パイプのナットを緩めて、吐水パイプを根元から取り外します。4本ネジを調整する手間をかけるより、パイプごと交換する方が圧倒的に早くて確実です。
  2. 適合ニップルの準備:万能ホーム水栓の本体ネジ規格(W26山20)に適合する洗濯機用ニップルを用意します。SANEI(サンエイ)、KAKUDAI(カクダイ)、TOTOなどの主要メーカーから、2,000円〜3,000円程度で販売されています。
  3. 取り付け:新しいニップルを蛇口本体にねじ込みます。この時、付属の平パッキンを入れ忘れないようにしてください。モンキーレンチでしっかりと締め込めば完了です。

メリットだらけの選択

ストッパー付きニップルに交換すると、以下のような大きなメリットがあります。

1. 安全性向上:万が一ホースが外れても、内蔵された「緊急止水弁」が作動し、自動で水を止めてくれます。地震時などの水没事故を防げます。
2. 確実な接続:ホースを「カチッ」とワンタッチで接続でき、4本ネジのように緩む心配がありません。
3. コンパクト化:長いパイプがなくなり、蛇口周りがスッキリして洗濯機上のスペースが広くなります。

もしDIYで部品を買うなら、迷わずこのタイプを選ぶことを推奨します。

壁付水栓のシールテープの正しい巻き方

壁から取り外した蛇口のネジ山に、シールテープを時計回りに巻く様子
シールテープは「時計回り」に巻くのが鉄則。逆回転は水漏れの原因になります。

最後に、難易度が少し高い「上級編」です。もし、水漏れが「蛇口と壁の隙間」から起きている場合や、単水栓の本体そのものを新品に交換する場合は、蛇口を壁から取り外してシールテープを巻き直し、再設置する作業が必要になります。

この作業は、一歩間違えると「壁の中の配管を折る」や「壁内で水漏れさせてしまう」という重大なリスクを伴います。自信がない場合は、この作業だけはプロに依頼することも検討してください。

手順とプロのテクニック

  1. 取り外し:蛇口本体を両手で持ち、反時計回りに回して取り外します。長年の錆やカルシウムで固着して回らない場合、無理に力をかけると配管がねじ切れます。ビクともしない場合は作業を中止してください。
  2. 配管の掃除(最重要):取り外した後、壁側の配管(メスネジ)の中には、ボロボロになった古いシールテープや錆が残っています。これを歯ブラシや専用のワイヤーブラシを使って、ネジ山が見えるまで徹底的に掃除してください。ゴミが少しでも残っていると、新しいテープを巻いても密着せず、必ず水漏れします。
  3. ねじ込みの絶対ルール:テープを巻いた蛇口を壁にねじ込んでいきます。ここで最大の注意点があります。蛇口が垂直になる位置で止めたいとき、「あ、少し回しすぎて傾いちゃった」と思っても、「絶対に逆回転(戻す方向)させない」ことです。
鈴木
鈴木

一度でも逆回転させると、密着していたシールテープとネジの間に隙間ができ、防水効果が完全に失われます。

もし回しすぎてしまったら、そのまま戻すのではなく、面倒でも一度蛇口を完全に取り外し、古いテープを除去して、最初から巻き直す必要があります。

これを怠ると、後から壁の中でジワジワと水漏れし、気付いた時には壁紙がカビだらけ…ということになりかねません。

蛇口からポタポタ水漏れする時の直し方に関するよくある質問Q&A

Q:賃貸物件ですが、管理会社に連絡せず自分で修理しても大丈夫ですか?

A:原則として、まずは管理会社や大家さんへの連絡をおすすめします。契約内容によっては「小修繕」として入居者負担で修理可能な場合もありますが、無断で作業して配管を傷つけた場合、多額の損害賠償を請求されるリスクがあるためです。トラブルを避けるためにも、事前に許可を取ってから作業するのが確実です。

Q:パッキンを購入したいのですが、サイズや種類がわかりません。

A:一般的な家庭用洗濯機蛇口の規格は「呼び径13(1/2インチ)」がほとんどです。ただし、使用箇所によって「三角パッキン(ハンドル下)」や「Uパッキン(パイプ根元)」など種類が異なります。失敗を防ぐため、取り外した古いパッキンをホームセンターに持参し、店員さんに確認してもらうのが最も確実な方法です。

Q:4本ネジ式のニップルを使っていますが、漏れていなければそのままで良いですか?

A:現在は漏れていなくても、早めの交換を強くおすすめします。4本ネジ式は構造上、振動で緩みやすく、パイプを変形させて突発的な水漏れ事故(脱落)を起こすリスクが高いためです。数千円で導入できる「ストッパー付きニップル」へ交換することで、安全性と利便性が格段に向上します。

Q:水道業者に修理を依頼した場合、費用はどれくらいかかりますか?

A:作業内容によりますが、パッキン交換のみであれば8,000円〜12,000円程度、蛇口本体の交換であれば15,000円〜25,000円程度が一般的な相場(部品代・工賃・出張費込)です。「数百円〜」といった極端に安価な広告には注意し、必ず作業前に「総額」の見積もりを提示してくれる「水道局指定工事店」を選ぶようにしましょう。

洗濯機の蛇口からポタポタ水漏れする時の直し方まとめ

今回は「洗濯機蛇口水漏れ ポタポタ 直し方」をテーマに、原因の特定から具体的な修理手順、そしてプロに依頼する場合の知識まで網羅的に解説してきました。最後に、重要なポイントを振り返りましょう。

  1. まずは水漏れ箇所が「ハンドル」「パイプ」「ニップル」のどこなのかを見極めることが解決への第一歩です。
  2. 4本ネジ式ニップルは構造的に緩みやすいため、安全性の高い「ストッパー付きニップル」への交換を強く推奨します。
  3. パッキンや部品を購入する際は、「呼び径13」が一般的ですが、失敗を防ぐために必ず現物や型番を確認しましょう。
  4. 賃貸物件の場合は、自分で作業する前に必ず管理会社へ連絡し、費用の負担区分や修理の許可を確認することがトラブル回避の鍵です。
  5. 壁付水栓の脱着など、配管破損のリスクがある作業は、無理をせず信頼できるプロ(水道局指定工事店)に依頼する勇気も必要です。

洗濯機の蛇口からの水漏れは、放置すればするほど水道代がかさむだけでなく、床の腐食や階下への損害賠償など、取り返しのつかない事態に発展する可能性があります。しかし、正しい知識と事前の準備さえあれば、DIYで安価かつ迅速に解決できることも多いトラブルです。

「自分にもできそう!」と思ったら、ぜひこの記事を参考に、安全確実な修理にチャレンジしてみてくださいね。ただし、少しでも不安を感じたら、無理せず専門家を頼るのも賢い選択の一つですよ。