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こんにちは。家電ジャーナルの鈴木です。
毎日寒い日が続きますが、皆さんはお家のエアコン暖房の設定温度、今は何度になっていますか?「うちはとりあえず25度」「電気代が怖いから20度で我慢して震えている」など、店頭でお客様とお話ししていても、この「設定温度問題」は冬の最大のトピックと言っても過言ではありません。
ニュースや節電キャンペーンでは「暖房は20度に設定しましょう」と盛んに言われていますが、正直なところ「20度設定じゃ寒くてやってられない!」と感じている方が大半ではないでしょうか。
無理をして風邪をひいてしまっては元も子もありませんし、かといって何も考えずに設定温度を上げ続ければ、来月の電気代の請求書を見た瞬間に凍りつくことになります。
実は、僕自身も家電に詳しくなる前は、この「設定温度と体感温度のギャップ」に毎年悩まされていました。しかし、家電の仕組みと建物の構造、そして空気の性質を正しく理解することで、無理なく快適な環境を作ることは十分に可能なんです。
この記事では、家電量販店の現役販売員としての知識と、エンジニアとしての技術的な視点を交えながら、単なる精神論ではない「論理的な暖房最適化術」を徹底解説します。2026年の最新エネルギー事情も踏まえた、家計と体に優しい冬の過ごし方を一緒に見ていきましょう。
この記事に書いてあること
- 環境省が推奨する「20度」という数値の本当の意味と、正しい室温管理の方法
- 設定温度を1度変えるだけで変わる電気代の具体的な目安と、2026年の補助金情報
- 湿度や気流をコントロールして、設定温度を上げずに体感温度を劇的に上げるプロのテクニック
- 赤ちゃんやペット、高齢者がいる家庭における、安全で健康的な暖房の運用ルール
エアコン暖房の設定温度と電気代の適正な目安
まずは、多くの人が悩んでいる「設定温度」と「電気代」の関係について、基本的な考え方を整理しておきましょう。「設定温度を下げる=節約」というのは間違いではありませんが、それだけで解決しようとすると快適性が犠牲になります。
ここでは、推奨値の背景にあるロジックや、コストと快適性のバランスをどう取るかについて、数字を交えて詳しく解説します。
環境省推奨の20度は寒い?室温との違い

「ウォームビズ」などで耳にする「暖房時の室温は20度を目安に」という言葉。これを「エアコンのリモコン設定を20度にする」ことだと誤解されている方が非常に多いのですが、ここが最初の落とし穴です。
環境省が推奨しているのは、あくまで「室温(部屋の温度)」が20度になることであり、エアコンの設定温度のことではありません。ここを混同してしまうと、「20度に設定しているのに寒い!エアコンが壊れているんじゃないか?」という不満につながります。
なぜ設定温度と室温にズレが生じるのか。理由は主に2つあります。
断熱性能
一つ目は、建物の「断熱性能」です。日本の既存住宅の多くは、残念ながら断熱性能(UA値)が十分ではありません。そのため、エアコンが頑張って温風を出しても、窓や壁から熱がどんどん逃げていってしまいます。
特に「コールドドラフト」と呼ばれる現象は厄介で、冷たい窓ガラスで冷やされた空気が滝のように床へ流れ落ち、足元の温度を極端に下げてしまいます。
この状態では、エアコンの吸い込み口(天井付近)にある温度センサーが「20度になった」と感知して運転を弱めても、人間が生活している床付近は15度程度しかない、ということが頻繁に起こります。
センサーの位置
二つ目は、エアコンのセンサーの位置です。エアコンは本体内部(高い位置)のセンサーで温度を判断しています。暖かい空気は軽くて天井に溜まる性質があるため、エアコン周りはすぐに温まりますが、居住空間はまだ寒いままという「温度ムラ」が発生しやすいのです。
したがって、「20度設定」に固執する必要は全くありません。部屋の中央、できれば自分が過ごす高さに温度計を置き、その数値が20度前後になるようにエアコンの設定温度を調整してください。断熱性の低い家であれば、23度〜25度くらいに設定しないと室温20度をキープできないこともありますが、それは機器の異常ではありません。
ここがポイント
重要なのはリモコンの数字ではなく「実測値」です。高精度なデジタル温湿度計を一つ用意し、それを基準にエアコンを操作するのが、賢い暖房運用の第一歩です。
(出典:環境省『ウォームビズ(WARM BIZ)とは』)
暖房設定温度を1度下げると電気代はいくら節約?

「設定温度を上げれば暖かいのは分かるけど、電気代が…」という不安はもっともです。一般的に、暖房の設定温度を1度下げると、消費電力は約10%削減されるというのが通説です。では、これは実際の金額にするとどれくらいになるのでしょうか。
例えば、10畳〜12畳用の一般的なエアコン(暖房能力3.6kW〜4.0kWクラス)を想定してみましょう。安定運転時の消費電力が平均500W程度だと仮定し、1日18時間使用、電気料金単価を31円/kWhとして計算してみます。
| 設定変更 | 節電効果(目安) | 1日あたりの節約額 | 1ヶ月(30日)の節約額 | ワンシーズン(4ヶ月) |
| 基準(例:23℃) | – | – | – | – |
| 1℃下げる(22℃ | 約10%削減 | 約28円 | 約840円 | 約3,360円 |
| 2℃下げる(21℃) | 約20%削減 | 約56円 | 約1,680円 | 約6,720円 |
いかがでしょうか。「たかが1度」と思いきや、冬の間トータルで見ると数千円単位の差が出てきます。リビングだけでなく、寝室や子供部屋など複数台のエアコンを使っているご家庭なら、この差はさらに大きくなります。
また、2026年のエネルギー事情にも目を向ける必要があります。政府は物価高対策として電気・ガス料金への補助(酷暑乗り切り緊急支援策の冬季版)を行っており、2026年1月〜3月使用分については、家庭用(低圧)で1kWhあたり4.5円の補助が見込まれています。標準的な家庭(月400kWh使用)なら月額1,800円程度の負担軽減になりますが、これはあくまで一時的な措置です。
再エネ賦課金の上昇傾向や、世界的な燃料価格の変動リスクを考えると、補助金があるからといって無駄遣いをして良いわけではありません。「設定温度を1度下げる工夫」は、将来的な電気代上昇への最も確実な自衛策と言えます。無理に寒さを我慢するのではなく、後述する湿度管理やサーキュレーター活用と組み合わせて、「温度を下げても快適な環境」を作ることが節約の王道です。
暖房のつけっぱなしとこまめに消すのはどっちが得

店頭でお客様から受ける質問トップ3に入るのが、この「つけっぱなし vs こまめ消し」論争です。SNSなどでも様々な説が飛び交っていますが、家電エンジニアの視点からメカニズムに基づいて解説すると、答えは非常にシンプルです。
結論から言うと、「30分程度の外出ならつけっぱなし、1時間を超えるなら消す」というのが、今のところの最適解です。
エアコン(ヒートポンプ)が最も電力を消費するのは、止まっている状態から設定温度まで一気に室温を上げる「立ち上がり運転」の時です。この時、コンプレッサーはフル稼働し、安定時の数倍〜10倍近い電力を消費します。一方で、一度設定温度に達した後の「安定運転」では、消費電力は最小限(数百ワット程度)に抑えられます。
- 例えば
- コンビニへの買い物や子供の送り迎えなど、20〜30分程度の外出でいちいち電源を切ってしまうと、帰宅して再びスイッチを入れるたびに「魔の立ち上がり運転」が発生し、そのたびに電気代が跳ね上がります。
これなら、弱運転でアイドリングさせておいた方が、トータルの消費電力は安く済むのです。
ただし、これには「家の断熱性」と「外気温」という重要な変数が関わってきます。断熱性が極端に低い家(昭和の木造住宅など)の場合、エアコンを止めた瞬間に熱が逃げ出し、室温が急降下します。この場合、つけっぱなしにしていると「逃げる熱を補うために常にフルパワーに近い運転」を強いられることになり、逆に電気代が高くなるリスクがあります。
また、外気温が0度を下回るような極寒の日や、雪が降っている日は、エアコンの負荷自体が高いため、数時間の外出であってもつけっぱなしの方が部屋が冷え切らず、帰宅時の快適性も含めてメリットが大きい場合があります。

自分で「弱」や「微風」に固定する人がいますが、これはNG。立ち上がりに時間がかかり余計に電気を食います。風量は迷わず「自動」に設定してください。
エアコンがAI(頭脳)を使って、最強の効率で運転制御してくれます。
湿度が重要!設定温度を上げずに暖かく過ごす方法

「設定温度を20度にすると寒い。でも電気代は上げたくない」。このジレンマを解決する魔法のような数値が「湿度」です。騙されたと思って、まずは湿度計を見てください。もし30%台を表示していたら、それが寒さの原因です。
人間の体感温度は、温度だけでなく湿度に大きく左右されます。具体的には、湿度が10%上がると、体感温度は約1度上がると言われています。つまり、室温20度・湿度30%の部屋と、室温20度・湿度60%の部屋では、後者の方が体感で2度〜3度も暖かく感じるのです。

人間は常に皮膚から水分を蒸発させていますが、空気が乾燥しているとこの蒸発が促進されます。
水分が蒸発する際、周囲の熱を奪う「気化熱」という現象が起きるため、体温が奪われてスースーと寒く感じるのです。汗をかいた後に風に当たると寒いのと同じ理屈ですね。
エアコン暖房は仕組み上、どうしても空気を乾燥させます。室内の水蒸気量は変わらなくても、温度が上がると空気が抱え込める水分の限界量(飽和水蒸気量)が増えるため、相対湿度は下がるからです。そのため、エアコン暖房を使うなら「加湿」はセットで考えなければなりません。
目標湿度は40%〜60%です。40%を下回るとウイルスが活発化し、60%を超えるとカビやダニのリスクが高まります。加湿器を選ぶ際は、以下の表を参考に、ご自身の生活スタイルに合ったものを選んでください。
| 加湿方式 | メリット | デメリット | おすすめユーザー |
| スチーム式 | 煮沸するので衛生的、加湿力が最強、蒸気が暖かい | 電気代が高い、吹き出し口が熱い、ポコポコ音がする | 加湿力重視、衛生面を気にする方 |
| 気化式 | 電気代が安い、熱くならない、過加湿になりにくい | 加湿スピードが遅い、吹き出す風が冷たい、フィルター掃除必須 | 電気代を抑えたい、子供がいる家庭 |
| ハイブリッド式(加熱気化) | 加湿力と電気代のバランスが良い、静音 | 本体価格が高め、構造が複雑でお手入れが手間 | リビングなど広い部屋、バランス重視 |
| 超音波式 | 本体が安い、デザイン豊富、静か | こまめな掃除が必要(雑菌を撒き散らすリスク)、床が濡れやすい | インテリア重視、毎日掃除できる方 |
僕の個人的なおすすめは、電気代はかかりますが、お手入れが圧倒的に楽で部屋の温度も下げない「スチーム式(象印のマホービンタイプなど)」です。ズボラな僕でも清潔に使えています。
足元が寒い原因とサーキュレーターの活用術

「顔は火照るのに足先が氷のように冷たい」。これは「温度成層」と呼ばれる現象です。暖かい空気は軽く、冷たい空気は重いため、どれだけ高性能なエアコンを使っても、自然状態では天井付近が25度、床付近が15度といった具合に、室内で10度近い温度差が生まれてしまいます。
多くの人はこの「足元の15度」を寒く感じて設定温度を上げますが、そうすると天井付近は30度近くになり、頭がボーッとするだけで足元は暖まりません。これを解消するには、空気を物理的にかき混ぜる(ミキシングする)しかありません。
そこで必須アイテムとなるのが「サーキュレーター」です。夏に使うイメージが強いですが、実は冬こそ真価を発揮します。ただし、置き方を間違えると逆効果になります。
【正解の置き方1:対角線配置】
エアコンの対角線上の部屋の隅にサーキュレーターを置きます。そして、首をエアコンに向けて(または天井に向けて)風を送ります。こうすることで、エアコンから出た暖気が壁にぶつかって床に降りてくる流れをアシストし、部屋全体をぐるっと回る大きな空気の循環を作ることができます。
【正解の置き方2:真上吹き】
家具の配置などで対角線に置けない場合は、部屋の真ん中に置いて、真上(天井)に向けて風を送ってください。天井に溜まった暖気を打ち上げ花火のように拡散させ、壁伝いに床へ降ろす効果があります。
NGな置き方
絶対にやってはいけないのが「人に風を当てる」こと。サーキュレーターの風は強いので、冬場に直接当たると体感温度が急激に下がり、寒くて不快なだけです。あくまで「空気を動かす」ために使ってください。
また、エアコン自体の風向設定も超重要です。暖房時は物理法則に逆らって暖気を床に届ける必要があるため、風向は「真下(60度以上)」が基本です。水平やななめ下だと、暖気はすぐに上昇してしまい、足元まで届きません。「風が直接当たって不快」という場合を除き、ルーバーは一番下に向けておきましょう。
状況別エアコン暖房の設定温度と快適な使い方

ここまでは基本的な考え方をお伝えしましたが、実際の生活では「寝るとき」や「赤ちゃんがいるとき」など、シーンに合わせたきめ細やかな使い分けが必要です。
マニュアル通りの20度設定では対応しきれない、ライフスタイル別の最適解とトラブルシューティングをご紹介します。
寝るときは何度?快眠できる暖房設定のコツ
冬の睡眠環境は非常にデリケートです。寒すぎれば布団から出られず、暖かすぎれば睡眠の質が下がる。快眠には「深部体温」のコントロールが欠かせません。人は深部体温が下がることで深い眠りにつきますが、室温が高すぎると放熱がうまくいかず、夜中に目が覚めてしまう原因になります。
寝室の推奨室温は、布団をしっかり被ることを前提に16度〜19度(高くても20度以下)程度が理想とされています。リビングよりも少し低めで大丈夫です。
僕が実践している、翌朝スッキリ起きるための「黄金のタイマー活用術」をご紹介します。
- プレヒート(就寝1時間前〜): 寝る直前に暖房をつけても、壁や布団は冷たいままです。就寝の1時間前から設定温度22度〜23度で運転し、寝室全体と布団を温めておきます。
- 切タイマー(就寝時) :布団に入ったら、設定温度を18度〜20度に下げるか、または「3時間後に切れる」設定にします。断熱性の良い家なら消してしまっても朝まで極端には下がりませんが、古い家の場合は一晩中「18度設定」で弱運転を続けるのがヒートショック防止の観点からも安全です。
- 入タイマー(起床1時間前): これが一番重要です。起きる時間の1時間前に暖房が入るようにセットします(設定温度22度前後)。起床時に室温が上がっていれば、交感神経への切り替えがスムーズになり、あの「布団から出るのが地獄」という苦しみから解放されます。

就寝中にエアコンをつけると喉が乾燥します。
加湿器を併用するか、濡れタオルを枕元に干す、マスクをして寝るなどの対策を必ずセットで行ってください。
赤ちゃんがいる部屋の最適な室温と乾燥対策
赤ちゃん、特に新生児は体温調節機能が未発達で、環境の変化に非常に敏感です。大人が「ちょっと肌寒いかな」と感じるくらいでも、赤ちゃんにとっては適温だったり、逆に大人が快適でも赤ちゃんが暑すぎて汗をかいていたりすることもあります。
一般的に、赤ちゃんがいる部屋の冬の適温は20度〜23度(新生児は23度〜25度)と言われています。しかし、ここで最も注意すべきは温度そのものよりも「風」と「着せすぎ」です。
エアコンの風が直接赤ちゃんに当たると、気化熱で体温が奪われるだけでなく、肌のバリア機能が低下し、乾燥性湿疹などのトラブルにつながります。ベビーベッドはエアコンの風が届かない位置に配置するか、エアコン専用の風よけカバーを取り付けて、間接的な気流で部屋を暖めるようにしてください。
また、心配だからといって厚着をさせすぎたり、設定温度を上げすぎたりするのは、SIDS(乳幼児突然死症候群)のリスク因子の一つとも言われています。赤ちゃんの手足は冷たくても、背中やお腹が温かければ寒くありません。背中に汗をかいていないかこまめにチェックし、室温は22度前後をキープしつつ、スリーパーや肌着で調整するのが安全です。
湿度は50%〜60%を厳守しましょう。赤ちゃんの鼻腔は狭く、乾燥すると鼻詰まりを起こして呼吸が苦しくなったり、ウイルス感染しやすくなったりします。精度の高い温湿度計をベビーベッドの近くに置き、常に監視できる体制を整えておくことを強くおすすめします。
犬や猫の留守番中にエアコンは必要か
「仕事に行っている間、ペットのために暖房はどうすべき?」というのも、飼い主さん共通の悩みです。結論から言えば、真冬に関しては「エアコンはつけっぱなし」が最も安全で推奨される選択肢です。
【犬の場合】
犬種によって耐寒性は大きく異なります。柴犬やハスキーのようなダブルコートの犬種は寒さに強いですが、トイプードルやチワワなどのシングルコート、小型犬、そして老犬は寒さが苦手です。
室温は20度〜23度を目安に管理しましょう。留守番中は、設定温度を少し低めの20度程度にしておき、寒ければ潜り込める毛布やドームベッドを用意しておくことで、犬自身が快適な場所を選べるようにするのがベストです。
【猫の場合】
「猫はこたつで丸くなる」の通り、犬よりも寒がりです。適温は20度〜28度と幅がありますが、留守番中は22度前後をキープしてあげたいところです。猫は上下運動をするので、エアコンの暖かい空気が溜まるキャットタワーの上などは比較的暖かく過ごせます。
留守番中の暖房器具の注意点
こたつ、ホットカーペット、電気ストーブなどは、留守中は火災や低温やけど、コードを噛じっての感電事故のリスクがあるため、スイッチを切るか、コンセントを抜いておくのが鉄則です。
安全性が高いエアコン(またはオイルヒーター)をメインの暖房として使いましょう。
暖房が止まる霜取り運転の原因と対処法

冬の寒い日、雪が降っているような日に限って、「急にエアコンが止まった」「生暖かい風、あるいは冷たい風が出てきた」「室外機から湯気が出ている」という現象に遭遇したことはありませんか?
「故障した!」と慌てて修理センターに電話をする前に、ちょっと待ってください。これは多くの場合、故障ではなくエアコンの宿命とも言える「霜取り運転(デフロスト)」という正常な動作です。
エアコン暖房は、室外機が外の空気から「熱」を奪い取って室内に運んでいます。外気温が低く湿度が高いと、熱を奪う過程で室外機の熱交換器(フィン)がキンキンに冷えて結露し、それが凍って「霜」がつきます。
霜が分厚くなると空気が通らなくなり、暖房能力が落ちてしまうため、エアコンは一時的に暖房をストップし、逆に室外機を温めて霜を溶かす作業を自動的に行います。これが霜取り運転です。
この時間は通常5分から15分程度続きます。ユーザーができる唯一にして最大の対策は、「終わるまでじっと待つ」ことです。ここで「故障だ!」と思って電源を切ったり入れたりすると、霜取りの工程がリセットされてしまい、また最初からやり直しになってしまいます。余計に時間がかかる原因になるので、絶対にやめましょう。
【霜取り運転を減らすためにできること】
霜取り運転はエアコンの仕様上避けられませんが、発生頻度を減らすことは可能です。
- フィルター掃除を徹底する:フィルターが詰まっていると、熱交換の効率が落ちて余計な負荷がかかり、霜が付きやすくなります。2週間に1回は必ず掃除しましょう。
- 室外機の周りを空ける:室外機が雪に埋もれていたり、周りに物が置かれていたりすると、スムーズな吸排気ができずに霜の原因になります。冬場は特に、室外機周りのスペースを確保してください。
- 設定温度を上げすぎない:設定温度を高くすればするほど、室外機はフルパワーで熱を集めようとするため、その分だけ結露・凍結しやすくなります。
最近では、パナソニックの「エネチャージ」のように排熱を利用して暖房を止めずに霜取りをする機種や、三菱電機の「ズバ暖霧ヶ峰」のように寒冷地仕様で圧倒的なパワーを持つ機種も登場しています。
あまりにも霜取りで止まる頻度が高い場合は、こうした「寒冷地向けエアコン」への買い替えを検討するのも一つの手です。
エアコンの設定温度に関するよくある質問
Q1. エアコン暖房の設定温度、20度だと寒すぎる場合はどうすればいいですか?
A. 無理せず21度〜22度に上げてください。ただし、設定温度を上げる前に、サーキュレーターで天井の暖気を下ろしたり、加湿器で湿度を50%以上に上げたりすることで、設定温度を変えずに体感温度を上げることが可能です。まずは環境調整から試してみることをおすすめします。
Q2. エアコンの風量は「弱」と「自動」どちらが電気代の節約になりますか?
A. 「自動」設定が最も節約になります。「弱」運転は静かですが、設定温度に達するまでに時間がかかり、結果としてコンプレッサーが長く稼働して電気代がかさむ原因になります。エアコンのAIに制御を任せる「自動」が、最短かつ高効率で部屋を暖めてくれます。
Q3. 冬のエアコン設定温度、1度変えると電気代はどれくらい変わりますか?
A. 一般的に、暖房の設定温度を1度下げると、消費電力は約10%削減されると言われています。金額に換算すると、使用環境にもよりますが、ワンシーズン(冬の間)で1台あたり3,000円〜4,000円程度の節約効果が見込めます。
Q4. 短時間の外出ならエアコンはつけっぱなしの方がいいですか?
A. おおよそ「30分以内の外出」なら、つけっぱなしの方がお得です。エアコンは起動時に最も電力を消費するため、頻繁なオンオフは逆効果になります。ただし、1時間を超える外出や、断熱性が低くすぐに冷える家の場合は、こまめに消した方が節約になります。
2026年最新|エアコン暖房の設定温度まとめ

ここまで、エアコン暖房の設定温度と快適な運用術について、プロの視点で徹底解説してきました。最後に、今回の記事の重要ポイントをおさらいしましょう。
まとめ:暖かく賢く過ごすための5ヶ条
- 20度は「室温」の目標:設定温度ではなく、温度計の実測値で管理する。
- 湿度は「暖かさ」の源:加湿器で40〜60%をキープすれば、低めの温度でもポカポカ。
- 空気は「混ぜる」もの:サーキュレーターと下向きの風向で、天井の熱を床に届ける。
- 節約は「メリハリ」で:30分以内の外出はつけっぱなし、長期外出はOFF。
- 霜取りは「待つ」が正解:止まっても慌てず、フィルター掃除などの日頃のケアを大切に。
2026年の冬は、政府の補助金があるとはいえ、エネルギー価格の高騰傾向は今後も続くと予想されます。しかし、だからといって「寒さを我慢して体調を崩す」というのは本末転倒です。
「設定温度を1度下げる」という行為は、単なる節約テクニックではありません。「湿度」や「気流」といった環境要素をコントロールし、より少ないエネルギーで最大の快適性を生み出す「スマート・ヒーティング」への第一歩です。
今回ご紹介した方法を一つでも取り入れていただければ、電気代の明細を見た時の安心感と、お部屋の居心地の良さが確実に変わるはずです。
この記事が、皆さんの冬の暮らしをより暖かく、そして家計にも優しいものにする手助けになれば、家電ジャーナルの鈴木としてこれほど嬉しいことはありません。ぜひ、今すぐ温度計と湿度計をチェックして、あなたのお家に最適な設定を見つけてみてくださいね。
